酸化しにくいヘアオイルの選び方。品質を保つための知識と保管方法
日々の髪のお手入れにヘアオイルをお使いになる際、その「品質」や「鮮度」について、深く意識されたことはありますでしょうか。実は、私たちが使うヘアオイルは、食用の油などと同じように、時間と共に空気や光、熱の影響を受けて「酸化」という化学変化を起こします。この酸化は、オイルが持つ本来の効果を損なうだけでなく、時には髪や頭皮に好ましくない影響を与えることもあります。ここでは、大切な髪のために、酸化しにくいヘアオイルの選び方と、その品質を長く保つための正しい知識について、理容師の視点から解説いたします。
ヘアオイルの「酸化」とは何か
まず、「酸化」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。これは、ヘアオイルの主成分である油分が、空気中の酸素に長時間触れることで成分が変質し、品質が劣化してしまう現象を指します。簡単に言えば、「油が古くなってしまう」状態のことです。
酸化してしまったオイルは、髪に潤いや艶を与えるといった本来の効果が低下してしまいます。それだけでなく、古い油特有の不快な匂いが発生したり、場合によっては酸化した油分が頭皮への刺激となり、肌トラブルの原因になったりする可能性も指摘されています。だからこそ、できるだけ酸化しにくい製品を選び、新鮮な状態で使い切ることが大切なのです。
酸化安定性に優れたオイルの種類
オイルの種類によって、酸化のしやすさには差があります。一般的に、酸化しにくい、つまり安定性が高いとされるオイルにはいくつかの種類があります。
植物性のオイルの中では、人間の皮脂の成分と構造がよく似ていて安定している「ホホバオイル」や、酸化しにくい性質を持つオレイン酸を豊富に含む「ツバキオイル」「アルガンオイル」などが知られています。また、品質が非常に安定しており変化しにくい「鉱物油(ミネラルオイル)」や、指通りを良くしながら酸化安定性も高く設計された「シリコンオイル」も、ヘアオイルの成分として広く活用されています。
酸化を防ぐための製品設計
優れたヘアオイルは、ベースとなるオイルの種類だけでなく、製品全体の酸化を防ぐための工夫が凝らされています。その代表的なものが、天然の酸化防止剤とも言われる「ビタミンE(成分表示ではトコフェロールと記載)」の配合です。ビタミンEを含む製品は、オイル自体の酸化を抑制し、品質を長持ちさせる効果が期待できます。サロンで扱う専門的な製品は、こうした品質の安定性まで緻密に計算され、髪への効果と安全性を両立するよう処方が組まれているものが多く見られます。
品質を保つための最も重要な習慣:正しい保管
どのようなオイルであっても、日々の保管方法を誤ると品質の劣化は早まってしまいます。大切なオイルの鮮度を保つために、いくつかの習慣を心がけましょう。
まず、酸化を促進させる光と熱を避けることが基本です。日光や室内の蛍光灯が直接当たる場所を避け、戸棚の中など光の当たらない場所で保管してください。また、温度変化の少ない涼しい場所が理想的で、高温多湿になりやすい浴室での保管は避けるのが賢明です。そして、使用した後は必ず蓋をしっかりと閉め、オイルが空気に触れる時間をできるだけ短くすることも、品質を保つための重要なポイントです。
まとめ
酸化しにくい種類のオイルが使われている製品を選び、ご自宅で正しく保管することは、ヘアオイルの品質を保つ上で非常に重要です。しかし、その製品がいつ作られ、お店に届くまでどのような環境で管理されていたかまでを、お客様自身が知ることは困難です。私たち理容師は、お客様の髪に直接触れるものだからこそ、お渡しする製品の品質管理を徹底しております。専門家が選び抜いた、品質の確かな製品を、最も良い状態でお渡しできるのがヘアサロンです。品質と安心にこだわりたい方こそ、ぜひ私たちにご相談ください。