ヘアオイルは濡れた髪にこそ効果的。その理由と正しい使い方
ヘアオイルをお使いになる際、「乾いた髪と濡れた髪、どちらに付けるのが良いのだろうか」という疑問は、多くの方が一度は抱くものです。どちらのタイミングにもそれぞれの利点がありますが、こと髪の健康を育む「お手入れ」という観点から申し上げますと、ヘアオイルはその真価を「濡れた髪」にこそ、最大限に発揮します。特に、お風呂上がりのドライヤーで髪を乾かす前のひと手間は、美しい髪を維持するために欠かせない、非常に重要な工程です。この記事では、なぜ濡れた髪にヘアオイルを使うのが良いのか、その理由と効果的な使い方について、理容師の視点から詳しく解説いたします。
なぜ濡れた髪にヘアオイルを使うのが良いのか
濡れた髪にヘアオイルを塗布することが推奨されるのには、いくつかの明確で、科学的な理由があります。
まず、髪を「ドライヤーの熱から守る」ためです。ドライヤーの温風は、髪を乾かす上で避けられないものですが、同時に髪の水分を奪い、たんぱく質を硬化させるなど、ダメージの大きな原因にもなります。濡れた髪にヘアオイルを先になじませておくことで、オイルの油分が髪一本一本を薄い膜で覆い、熱が直接当たるのを防ぐ保護シールドの役割を果たしてくれるのです。
次に、髪の「潤いを閉じ込める」ためです。洗髪後の髪は、水分をたっぷりと含んでいますが、それは同時に最も水分が蒸発しやすい、無防備な状態でもあります。このタイミングでオイルによって髪の表面に蓋をすることで、内部の必要な水分が逃げてしまうのを防ぎ、しっとりとした潤いのある仕上がりを実現することができます。
そして、髪の「ダメージを補修する」絶好の機会であるためです。濡れている時の髪は、表面を覆ううろこ状の組織(キューティクル)が少し開いている状態にあります。この性質により、オイルに含まれる保湿成分や補修成分が、髪の内部まで浸透しやすくなります。つまり、濡れた髪への塗布は、髪のダメージを内側から補修するための、最も効果的なタイミングなのです。
濡れた髪への正しいヘアオイルの使い方
その効果を最大限に実感いただくためには、正しい手順で行うことが大切です。
まず、洗髪を終えたら、清潔なタオルで髪を強くこするのではなく、優しく頭皮をマッサージするように、そして髪を挟み込むようにして、できる限り水気を丁寧に拭き取ってください。これを「タオルドライ」と呼びます。
次に、ご自身の髪の長さに合わせた適量のヘアオイルを手のひらに取ります。そして、指の間まで含めて、両方の手のひらで透明になるまで均一にしっかりと伸ばしてください。この一手間が、オイルが一部分に固まって付くのを防ぎます。
そして、最もダメージを受けやすい毛先から付け始め、徐々に髪の中間部分へと、手ぐしを通すようになじませていきます。根元付近はべたつきの原因になりやすいため、付けすぎないように注意しましょう。最後に、目の粗い櫛などで髪全体を優しくとかし、オイルを均一に行き渡らせてから、ドライヤーで髪を乾かせば、理想的なお手入れが完了です。
まとめ
濡れた髪にヘアオイルを使用することは、「熱からの保護」「保湿」「ダメージ補修」という、美しい髪を維持するために欠かせない、三つの重要な役割を同時に果たしてくれます。日々のドライヤーをかける前に、このひと手間を習慣にするだけで、あなたの髪の状態は、見違えるほど健やかで美しいものへと変わっていく可能性を秘めています。この重要な役割を担うヘアオイルだからこそ、質の高いサロン専売品のご使用をおすすめいたします。お客様の髪質に最適な一本を、私たち理容師が責任をもってお選びしますので、ぜひお気軽にご相談ください。