夏の髪にこそヘアオイルを。べたつかずに快適な髪を保つ秘訣
汗によるべたつき、湿気による広がり、そして強い日差しによる髪のごわつき。夏は、男性の髪にとって最も過酷で、悩みの多い季節と言えるかもしれません。「こんな暑い季節に、さらに油分であるヘアオイルを使うなんて考えられない」と、敬遠してしまっている方も少なくないのではないでしょうか。しかし、実はその考えとは全く逆に、夏の厳しい環境から髪を守り、一日中快適な状態を保つため、そして格好良い髪型を維持するためにこそ、ヘアオイルが不可欠な役割を果たしてくれるのです。この記事では、夏のヘアオイルとの上手な付き合い方について、理容師の視点から詳しく解説いたします。
夏の三大敵から髪を守る、ヘアオイルの必要性
夏にこそヘアオイルを使うべきである、その理由は、夏の髪が直面する「紫外線」「湿気」「室内の乾燥」という三大敵の存在にあります。
まず、容赦なく降り注ぐ強烈な「紫外線」。お肌と同じように、髪も紫外線を浴びることで日焼けをします。これにより、髪は乾燥してぱさついたり、ごわごわとした手触りになったり、せっかく染めた髪色が落ちてしまったりと、深刻なダメージを受けてしまいます。ヘアオイルが髪の表面をコーティングすることで、髪の「日焼け止め」のような役割を果たし、この紫外線ダメージを軽減してくれます。
次に、日本の夏特有の不快な「湿気」。湿気が多いと、髪は空気中の余分な水分を吸い込み、うねりや広がりの原因となります。ヘアオイルは、髪の表面に薄い防水膜のようなバリアを張り、湿気が髪の内部に侵入するのを防ぎます。これにより、一日中まとまりやすい、扱いやすい髪の状態を保つ手助けとなります。
そして、意外な盲点である「冷房による乾燥」。屋外は高温多湿でも、一歩室内に入れば、冷房によって驚くほど空気は乾燥しています。この屋外と室内の急激な環境変化は、髪の水分バランスを大きく乱す原因となります。ヘアオイルは、髪内部の潤いが逃げないように蓋をし、冷房による過乾燥から髪を守ってくれるのです。
夏を快適に過ごすためのヘアオイル選び
夏のヘアオイル選びには、冬とは違う、いくつかの大切なポイントがあります。
まず、選び方の絶対条件となるのが「軽い質感」であることです。夏に最も避けたいのは、汗や皮脂とオイルが混ざり合うことによる不快なべたつきです。そのため、冬に使うような保湿力の高い重いオイルではなく、水のようにさらっとした「ライトタイプ」の製品を選びましょう。
より積極的に髪を守りたいと考えるなら、「紫外線対策」の機能性で選ぶのも良い方法です。製品によっては、紫外線から髪を保護する成分が配合されたものもあり、夏の強い日差しから髪を守る上で、より高い効果が期待できます。
そして、夏ならではの楽しみ方として、「清涼感」のある香りで選ぶのもおすすめです。シトラス(柑橘系)やミント、ハーブといった爽やかで清涼感のある香りのオイルは、気分をリフレッシュさせ、夏のうだるような暑さを心地よく乗り切るための、ささやかな助けとなってくれるでしょう。
夏場に絶対べたつかせないための使い方
夏仕様のヘアオイルを選んだら、次は夏仕様の使い方をマスターしましょう。まず、使用量は「冬の半分以下」を目安に、いつも以上に少量にすることを意識してください。米粒一粒ほどのごくわずかな量から試してみるのが良いでしょう。
そして、付ける場所を限定することも重要です。汗をかきやすい生え際や襟足、もみあげ周辺は避け、特に紫外線ダメージを受けやすく乾燥しがちな「髪の中間から毛先」にだけ付けることを徹底してください。
夜、お風呂上がりのケアで、その日に受けた紫外線などのダメージをしっかりとリセットし、髪の基礎体力を高めておくことも、日中を快適に過ごすための秘訣です。そうすることで、朝は整髪のために必要最低限の量を使うだけで、十分にまとまりのある髪を維持できます。
まとめ
ヘアオイルは、夏の「紫外線」「湿気」「乾燥」という三大敵から髪を守り、快適な状態を保つための、非常に頼もしい味方です。「軽い質感のオイル」を選び、「ごく少量を毛先中心に」という夏ならではの使い方をマスターすることが、べたつかずに夏を乗り切るための鍵となります。お客様の夏の過ごし方によって、最適なオイルやお手入れの方法は異なります。屋外での活動が多いのか、あるいは一日中冷房の効いた室内で過ごすのか。私たち髪の専門家である理容師は、お客様一人ひとりの生活に寄り添い、その夏を最も快適に、そして格好良く過ごすための、最適な一本をご提案します。夏の髪の悩みを諦める前に、ぜひ一度、ご相談ください。