ヘアオイルとヘアミルクの正しい使い方。効果を引き出すプロの技
髪を美しく健やかに保つための代表的なお手入れ品、「ヘアオイル」と「ヘアミルク」。これらの製品を手に取ってみたものの、その正しい使い方が分からず、なんとなく自己流で使ってしまっている、という男性は少なくないかもしれません。しかし、せっかくの優れた製品も、その使い方を誤ると、べたつきの原因になったり、本来の効果を十分に発揮できなかったりします。この記事では、ヘアオイルとヘアミルク、それぞれの効果を最大限に引き出すための、正しい使い方について、理容師の視点から詳しく解説いたします。
ヘアミルクの基本的な使い方:「内側へ潤いを届ける」
まず、髪の「保湿乳液」とも言えるヘアミルクの基本的な使い方です。その主な目的は、髪の内部に水分と栄養を届け、髪をしなやかに、そして柔らかくすることにあります。
この効果を最も発揮できる最適なタイミングは、夜、お風呂上がりのタオルで拭いた後の、まだ髪が濡れている状態です。適量(肩につかない程度の長さであれば1プッシュから2プッシュが目安)を手のひらに取り、特に乾燥やダメージが気になる髪の中間から毛先にかけて、優しくもみ込むようになじませていきます。髪の芯まで潤いを届けるようなイメージで、丁寧に行うのがこつです。
ヘアオイルの基本的な使い方:「外側を守り、艶を出す」
次に、髪の「保護美容液」であるヘアオイルの基本的な使い方です。その主な目的は、髪の表面を覆い、外部の刺激から守ると同時に、美しい艶とまとまりを与えることにあります。
ヘアオイルは、二つの重要なタイミングで活躍します。一つは、夜、ヘアミルクと同様にドライヤーで乾かす前です。この場合は、熱から髪を保護する役割が主となります。もう一つは、朝、整髪の際の乾いた髪です。こちらは、髪に艶を与え、日中の紫外線や乾燥から守るための仕上げとして使います。
いずれの場合も、使用量はごく少量(短い髪なら米粒一粒ほど)にとどめるのが鉄則です。手のひらに薄く完全に伸ばしてから、根元を避け、毛先を中心になじませます。髪の表面に、輝くヴェールを纏わせるようなイメージで、優しく塗布しましょう。
効果を最大化する「併用」の正しい使い方と順番
もし、ご自身の髪を最高の状態に保ちたいと考えるのであれば、ヘアオイルとヘアミルクを「併用する」という、最も効果的な使い方をおすすめします。その際に、絶対に守るべきなのが「付ける順番」です。
正解は、必ず「ミルクが先、オイルが後」です。
まず、お風呂上がりの濡れた髪に、ヘアミルクを先になじませて、髪の内部に水分と栄養をしっかりと補給します。そして、その潤いが逃げてしまわないように、上からヘアオイルを重ね付けして、完璧に蓋をし、保護膜を作ります。この順番で使うことで、髪の内側と外側の両方から、隙のないお手入れが実現するのです。
使い方に迷ったら、専門家の診断を
ここまで、基本的な使い方について解説してまいりました。しかし、お客様一人ひとりの髪質、ダメージの度合い、そしてお使いになる製品の特性によって、最適な使用量や、ミルクとオイルのバランスは微妙に異なります。
その究極のさじ加減を見極め、お客様のためだけの「使用説明書」を作成することこそが、私たち髪の専門家である理容師の役割です。ご自身の髪の状態を正確に診断し、今、本当に必要なケアとその方法を的確に知りたいとお考えであれば、ぜひ一度、サロンでご相談ください。
まとめ
ヘアオイルとヘアミルクは、それぞれの役割を理解し、正しく使うことで、その真価を発揮します。「内側を潤すミルク」と、「外側を守り、輝かせるオイル」。そして、その二つを「ミルクが先、オイルが後」という正しい順番で併用する。この基本をマスターするだけで、ご自宅での髪のお手入れは、より専門的で、より効果的なものへと変わるはずです。正しい使い方を身につけ、ご自身の髪が持つ、最高の可能性を引き出してあげましょう。