ヘアオイルは毛先だけ?効果を最大化する正しい付け方とその理由
ヘアオイルをお使いのお客様から、「オイルは髪のどの範囲まで付ければ良いのでしょうか」「毛先だけに付けるのが正しいと聞いたのですが」といったご質問をいただくことがあります。せっかく質の良いヘアオイルを使っていても、付け方を誤ると、べたつきの原因になったり、本来の効果を十分に発揮できなかったりします。結論から申し上げますと、ヘアオイルの効果を最大限に引き出すための基本は、「毛先を中心になじませる」ことです。ここでは、その理由と具体的な方法について、理容師の視点から詳しく解説いたします。
なぜヘアオイルは「毛先中心」に付けるべきなのか
ヘアオイルを毛先中心に塗布することが推奨されるのには、二つの明確な理由があります。
一つ目の理由は、髪のダメージが最も毛先に集中しているためです。髪は根元から生え、時間をかけて毛先へと成長していきます。つまり、毛先は髪の中で最も年齢を重ねた部分であり、長期間にわたって紫外線やドライヤーの熱、日々の摩擦といった様々な外的刺激に晒され続けています。そのため、乾燥や枝毛、切れ毛といったダメージが最も現れやすく、重点的な保湿と補修を必要としているのです。
二つ目の理由は、髪の根元のべたつきを防ぐためです。髪の根元、特に頭皮に近い部分は、皮脂腺から分泌されるご自身の皮脂によって、天然の油分で潤っています。ここにさらに油分であるヘアオイルを過剰に付けてしまうと、油分が多すぎて髪が重くなったり、洗っていないようなべたついた印象になったりする原因となります。清潔感を損なうだけでなく、頭皮の毛穴が詰まる一因にもなりかねません。
全体になじませたい場合の正しい手順
「毛先中心」と聞くと、毛先以外には一切付けてはいけないように思われるかもしれませんが、そういうわけではありません。髪全体に艶やまとまりを出したい場合には、正しい手順を踏むことが大切です。
まず、手のひらに取ったヘアオイルを、最もケアが必要な毛先部分に、髪を優しく握るようにもみ込み、しっかりと浸透させます。そして、その後に手のひらにごくわずかに残ったオイルを、髪の中間部分や表面に、手ぐしを通すようにしてさっと軽くなじませるのです。この手順を守ることで、必要な場所を重点的にケアしつつ、根元のべたつきを避けながら、髪全体を自然に美しく整えることができます。
毛先のケアに効果的な付け方のコツ
毛先への効果をさらに高めるための、簡単なコツもございます。ヘアオイルを手に取ったら、指先だけでなく、手のひら全体から指の間まで均一に伸ばしてから髪に付けるようにしてください。こうすることで、オイルが一部分に固まって付くのを防ぎ、毛先一本一本にまで均一になじませることができます。
また、毛束を両方の手のひらで優しく挟み込み、上から下に向かって滑らせるようになじませると、髪の表面が整い、より一層艶やかな仕上がりになります。特にダメージが気になる方は、髪を洗った後の濡れた状態でこのケアを行うことで、オイルの成分が浸透しやすくなり、ドライヤーの熱からも毛先を守ることができます。
まとめ
ヘアオイルを「毛先中心」に付けることは、ダメージが集中する部分を効果的にケアし、同時に根元のべたつきという失敗を防ぐ、非常に合理的で理にかなった使い方です。この基本をマスターするだけで、ヘアオイルがもたらす髪への恩恵を、より深く実感いただけるはずです。お客様の髪の長さやダメージの状態によって、最適な量やなじませ方は微妙に異なります。私たち理容師は、お客様一人ひとりに合わせた最適なケア方法を直接ご指導いたしますので、サロンにお越しの際は、ぜひお気軽にご相談ください。