ヘアオイルとヘアミルク、どう使い分ける?髪の悩みで選ぶ正解
髪のお手入れに関心を持ち始めると、必ずと言って良いほど出会うのが、「ヘアオイル」と「ヘアミルク」という二つの存在です。どちらも洗い流さないトリートメントとして人気ですが、その一方で、「この二つは一体何が違い、自分の髪にはどちらを使えば良いのだろう」と、その使い分けに迷われている男性は非常に多くいらっしゃいます。実は、この二つは似ているようで、その役割と得意分野は全く異なります。この記事では、それぞれの特性を解き明かし、ご自身の髪の悩みに合わせた最適な選び方と使い分けについて、理容師の視点から詳しく解説いたします。
まずは基本から。ヘアミルクの役割とは
まず、ヘアミルクについてご説明します。ヘアミルクは、水分と油分がバランス良く配合された、髪にとっての「乳液」や「保湿液」のような存在と考えると分かりやすいでしょう。水分を豊富に含んでいるため、髪の内部まで浸透しやすく、乾燥してパサついた髪に潤いと栄養を補給することを、最も得意としています。
髪の内部から水分で満たすことで、硬くなった髪をしなやかに、そして柔らかくする効果が期待できます。お手入れの主な目的が、髪の乾燥やダメージを内側から補修し、潤いに満ちた柔らかな質感を手に入れることであるならば、ヘアミルクがその力を発揮します。
次に理解する。ヘアオイルの役割とは
次に、ヘアオイルの役割です。ヘアオイルは、その名の通り「油分」が主成分であり、髪にとっては「美容液」や、髪を外部から守る「コーティング剤」のような存在です。ヘアミルクが髪の内部に働きかけるのに対し、ヘアオイルは主に髪の表面でその効果を発揮します。
その油分で髪一本一本を薄い膜で覆うことで、ヘアミルクなどで補給した髪内部の水分や栄養分が逃げてしまうのを防ぎます。さらに、このコーティングは、ドライヤーの熱や紫外線、湿気といった外部の刺激から髪を守る、強力なバリアの役割も果たします。また、髪の表面を滑らかに整えることで、美しい艶を生み出し、サラサラとした指通りを良くすることも、ヘアオイルの大きな得意分野です。
あなたの髪にはどっち?「使い分け」の具体的な基準
では、ご自身の髪にはどちらがより適しているのでしょうか。髪質や、お悩みに合わせて考えてみましょう。
まず、「ヘアミルク」がおすすめなのは、髪の内部が乾燥してパサつく方、髪が硬く、ごわつきを感じる方、そして、しっとりとして柔らかい質感を何よりも重視する方です。
一方、「ヘアオイル」がおすすめなのは、髪に美しい艶や、サラサラとした指通りが欲しい方、湿気が多い日に髪が広がりやすい方、そして、毎日ヘアアイロンを使うなど、熱からの保護を特に重視したい方です。
最上級のケア。「併用」という選択肢
もし、ご自身の髪を最高の状態に保ちたいと考えるのであれば、「併用する」という最上級の選択肢もあります。これは、私たち専門家も実践する、非常に効果的なお手入れの方法です。
夜、お風呂上がりのタオルで拭いた後の濡れた髪に、まずヘアミルクをなじませて、髪の内部に水分と栄養をしっかりと補給します。そして、その上からヘアオイルを重ね付けすることで、補給した潤いに完全に蓋をし、さらにドライヤーの熱から髪を保護するのです。このように、「内側をミルクで潤し、外側をオイルで守る」という使い分けをすることで、それぞれの長所を最大限に活かした、完璧なケアが実現します。
まとめ
ヘアオイルとヘアミルクは、どちらが優れているということではなく、それぞれに異なる、素晴らしい役割を持っています。「内側を潤すミルク」と、「外側を守り、輝かせるオイル」。ご自身の髪の状態と、なりたい髪の姿を想像し、それに合わせて正しく使い分けることが、理想の髪への最も確実な近道です。
あなたの髪に今本当に必要なのは、水分による「補修」なのか、それとも油分による「保護」なのか。その的確な診断と、最適な製品のご提案こそが、私たち髪の専門家である理容師の役割です。お手入れの方法に迷われた際は、ぜひ一度、サロンでご相談ください。