ヘアオイルとヘアミルクの併用。効果を最大化する正しい順番と使い方
髪のお手入れへの関心が深まるにつれて、多くの方が「ヘアオイル」や「ヘアミルク」といった、洗い流さないトリートメントを使い始めます。そして、それぞれの役割を理解した次に出てくるのが、「この二つを一緒に使っても良いのだろうか」「もし併用する場合、どのように使えば効果的なのだろうか」という、より一歩進んだ疑問です。結論から申し上げますと、ヘアオイルとヘアミルクの併用は、ただ可能なだけでなく、髪を最高の状態へと導くための、非常に効果的で理想的なお手入れの方法なのです。この記事では、その効果を最大限に引き出すための、正しい順番と使い方について、理容師の視点から詳しく解説いたします。
なぜ「併用」が最上級のケアなのか
ヘアオイルとヘアミルクを併用することが、なぜ最上級のお手入れと言えるのでしょうか。それは、それぞれが持つ異なる役割を組み合わせることで、髪の内側と外側の両方から、隙のない完璧なケアが実現できるからです。
ヘアミルクの主な役割は、髪の「内部」に水分と栄養を補給し、髪をしなやかに、そして柔らかくすることです。一方で、ヘアオイルの主な役割は、髪の「外部」をコーティングし、補給した潤いが逃げないように蓋をすると同時に、ドライヤーの熱や紫外線といった刺激から髪を保護することです。
つまり、この二つを併用することは、髪の内側を潤いで満たし、その潤いを外側からしっかりと閉じ込めて守るという、二段階の鉄壁なケアを一度に行うことに他なりません。
最も重要な「正しい順番」:ミルクが先、オイルが後
併用する上で、その効果を左右する最も重要な点が、付ける「順番」です。これは、お顔のスキンケアを想像していただくと、非常に分かりやすいでしょう。洗顔後、まず化粧水や乳液で肌に水分を与え、その後に美容液やクリームといった油分で蓋をします。髪もこれと全く同じです。
必ず、「ヘアミルクを先に」、そして「ヘアオイルを後から」という順番を徹底してください。
なぜなら、先に油分であるヘアオイルを付けてしまうと、その油膜が髪の表面を覆ってしまい、後から付けるヘアミルクの水分や補修成分が、髪の内部に浸透するのを妨げてしまうからです。まず、水分ベースのミルクで髪の芯まで潤いを届け、その潤いが逃げないように、後から油分ベースのオイルでしっかりと蓋をする。この順番こそが、二つの製品の能力を最大限に引き出すための、唯一の正解なのです。
「併用」を実践する、具体的な手順
では、具体的な使い方を手順に沿ってご説明します。このお手入れを実践するのに最も効果的なタイミングは、夜、お風呂上がりのタオルで拭いた後の濡れた髪です。
まず、適量のヘアミルクを手のひらに取り、特に乾燥やダメージが気になる髪の中間から毛先を中心になじませ、髪の内部へ水分を補給します。
次に、ヘアミルクが髪になじんだのを確認してから、適量のヘアオイル(ミルクよりも少量で構いません)を手のひらに薄く伸ばし、ミルクを付けた部分を覆うように、上から優しく重ね付けします。これが、潤いを閉じ込めるための「蓋」の役割となります。
その後、目の粗い櫛などで髪全体を優しくとかし、二つの製品を均一になじませてから、ドライヤーで髪を乾かせば、サロンで行うような本格的なお手入れが完了です。
まとめ
ヘアオイルとヘアミルクの併用は、ご自宅での髪のお手入れを、より専門的で、より効果的なものへと向上させるための素晴らしい方法です。そして、その成功の鍵は、「ミルクが先、オイルが後」という、正しい順番を守ることに尽きます。お客様の髪質やダメージの度合いによって、最適なミルクとオイルの組み合わせや、その使用量のバランスは微妙に異なります。その究極の処方箋を、私たち髪の専門家である理容師が、お客様のためだけにご提案させていただきます。日々の髪のお手入れを、次の段階へと進めたいとお考えでしたら、ぜひ一度、サロンでご相談ください。