ヘアオイルとドライヤーの正しい順番。髪を熱から守り、美しく仕上げる秘訣
髪のお手入れに欠かせない二つの工程、「ヘアオイルを付ける」ことと、「ドライヤーで乾かす」こと。この二つの作業の「順番」を、あなたは正しく理解されていますでしょうか。実は、この順番を正しく守るかどうかが、髪の健康と、仕上がりの美しさを大きく左右する、非常に重要な分岐点となるのです。「どちらが先でも、大して変わらないのでは?」と思われるかもしれませんが、そこには明確な理由と、プロが必ず守る鉄則が存在します。この記事では、ヘアオイルとドライヤーの正しい順番とその理由について、理容師の視点から詳しく解説いたします。
絶対の法則:「オイルが先、ドライヤーが後」
まず、結論から申し上げます。髪のお手入れにおける、ヘアオイルとドライヤーの絶対的な法則。それは、必ず「ヘアオイルを先に付けてから、ドライヤーで乾かす」ということです。これは、髪をダメージから守り、健やかに保つための、最も基本的なルールです。
なぜなら、ドライヤーから出る温風は、髪を乾かす上で避けられないものですが、同時に髪の水分を必要以上に奪い、ダメージを与えてしまう大きな原因にもなるからです。お風呂上がりの濡れた髪は、表面の組織(キューティクル)が開き、最も無防備で、熱の影響を受けやすい状態にあります。この状態で、何も付けずに直接ドライヤーの熱を当ててしまうことは、髪にとって大きな負担となってしまいます。
ドライヤーの前にオイルを付けるべき、三つの理由
ドライヤーの前にヘアオイルを付けるべき理由は、主に三つあります。
一つ目は、先ほど述べた、髪を「熱から保護する」ためです。ヘアオイルを先になじませておくことで、オイルの油分が髪一本一本を薄い膜で覆い、熱が直接当たるのを防ぐ、保護シールドの役割を果たしてくれます。
二つ目は、髪の「潤いを閉じ込める」ためです。洗髪後の髪が含んでいる水分は、ドライヤーによって乾かされますが、その際に内部の必要な潤いまで失われがちです。先にオイルで髪に蓋をすることで、内部の水分を閉じ込め、乾燥を防ぎ、しっとりとした仕上がりを実現します。
三つ目は、髪の「ダメージを補修する」ためです。濡れてキューティクルが開いている状態は、オイルに含まれる補修成分が、髪の内部まで浸透しやすい絶好の機会です。このタイミングでオイルを付けることで、髪を内側から補修する効果も期待できるのです。
仕上げにオイルを使う場合の役割
では、ドライヤーで髪を乾かした「後」に、オイルを使うのは間違いなのでしょうか。いいえ、それもまた、目的によっては正しい使い方です。
ドライヤーの後に使うオイルの役割は、主に「仕上げ」です。乾いた髪の表面を整え、美しい艶を与えたり、パサつきや広がりを抑えてまとまりを良くしたり、あるいは自然な束感を作ったりといった、髪型をより美しく見せるための、整髪料としての役割を担います。
つまり、「ドライヤー前のオイルは、髪の健康を守るための『基礎工事』」であり、「ドライヤー後のオイルは、髪の美しさを際立たせるための『最終仕上げ』」であると、その役割を使い分けるのが、最も理想的なのです。
まとめ
ヘアオイルとドライヤーの正しい順番は、まず「オイルを付けてから、ドライヤーで乾かす」。これが、髪をダメージから守り、健やかに保つための絶対的な基本です。そして、より完璧な艶とまとまりを求めるのであれば、乾かした後の仕上げとして、もう一度、ごく少量のオイルをなじませる。この二段階の使い方が、プロが実践する、理想的なヘアオイルとの付き合い方です。お客様の髪質や、目指す髪型によって、どちらの工程で、どのようなオイルを使うのが最適かは異なります。その究極の答えを、ぜひ私たち髪の専門家にご相談ください。