「ツイスパがノーセットで決まらない」知恵袋で見かける、その悩みに専門家が答えます
「ツイストスパイラルパーマ」、通称「ツイスパ」。その無造作でありながら、計算され尽くしたお洒落な質感に憧れて、勇気を出して挑戦したものの、「整髪をしないと、どうもうまくいかない」と、インターネットの質問サイトで、ご自身と似たような悩みを持つ方の声を探してしまった、というご経験はございませんか。「サロンで仕上げてもらった時は格好良かったのに、自分で乾かすとただ広がってしまう」「チリチリに見えて、清潔感がない気がする」。そこには、多くの方が抱える、共通の切実な声が溢れています。今回は、そんな「ツイスパの理想と現実」の間に生まれるギャップがなぜ起こるのか、その原因を解き明かし、本当の意味で「ノーセット」でも格好良く決まるための考え方を、私たち髪の専門家として、お話しさせていただきます。
ご質問①「なぜ、乾かすとチリチリ・パサパサに見えるのですか?」
これは、皆様が抱えるお悩みの中で、最も多いものかもしれません。そのように感じられてしまう主な原因は、二つ考えられます。一つは、パーマによる「髪のダメージと乾燥」です。特に、髪にねじりを加えるツイスト系のパーマは、髪の内部の水分が失われやすい状態になります。そしてもう一つは、そもそも「パーマが少し強すぎる」という可能性です。濡れている時に丁度良く見える強さでパーマをかけてしまうと、髪が乾いた時に、カールが必要以上に細かく、そして強く出てしまい、結果として「チリチリ」とした質感に見えてしまうことがあるのです。
ご質問②「サロンの仕上がりと、自宅での仕上がりが全く違います」
サロンではあんなに格好良かったのに、ご自身で再現しようとすると、全く違う髪型になってしまう。この現象の裏側には、私たち専門家が、そのパーマの特性を最大限に活かすために行っている、「特別な乾かし方」があります。特にツイスパの場合、カールを不必要に伸ばさず、かつ広げずに乾かすための、非常に繊細な技術が求められます。しかし、より本質的な問題として、そのパーマの土台となる「カット」が、お客様がご自宅で手軽に再現することを、必ずしも考慮して設計されていない、という可能性も考えられます。
ご質問③「結局、ツイスパにワックスなどの整髪料は必須なのでしょうか?」
もし、髪に束感を強調させたり、濡れたような質感に仕上げたりしたい、という明確なご希望がおありであれば、ワックスなどの整髪料は大変有効な手段です。しかし、「ノーセット」で、あくまでドライな質感を楽しまれたいのであれば、決して必須ではございません。その代わり、髪の乾燥を防ぎ、自然なまとまりを与えるための「保湿剤」、例えば、洗い流さないタイプのトリートメントなどを、髪を乾かす前にほんの少量つけることを、「髪の手入れ」の一環として、私たちは強くお勧めいたします。
本当の「ノーセット・ツイスパ」を創るために
ここまでのお話でお察しいただけるように、本当の意味で「ノーセットでも決まるツイスパ」とは、お客様の髪質、つまり髪の硬さや太さ、そして現在のダメージの状態などを、私たち専門家が正確に見極めた上で、それに耐えうる最適な薬剤を選び、乾いた時の状態を完璧に予測してパーマの強さを設計し、そして、そのパーマの動きが最大限に活きるようにカットを施す、という一連の、極めて緻-PĐなプロセスそのものなのです。それは、理容室の椅子に座り、お客様と担当者が言葉を交わし始めた、その瞬間から、すでに創り始められています。
次に失敗しないための、理想の頼み方
もし、次に理容室を訪れる機会がございましたら、ぜひ、過去のご経験を、正直な言葉でお聞かせください。「以前にパーマをかけた際、ノーセットだとチリチリになってしまった経験があるんです」と。その上で、「今回は、ワックスなどをつけなくても、乾かすだけで自然な質感にまとまるようにしてほしいです」と、あなたの明確なゴールをお伝えください。その言葉は、私たち理容師にとって、お客様の悩みを深く理解し、二度と同じ失敗を繰り返さないための、最善の技術を提供する、何よりの道しるべとなります。
悩みを知るからこそ、最高の髪型は生まれる
ツイスパに関する悩みや、少し残念なご経験は、決して恥ずかしいことではございません。むしろ、その経験があったからこそ、ご自身の髪と真剣に向き合い、本当に信頼できる専門家を見つけることの大切さに、気づくことができたのかもしれないのです。インターネットで同じ悩みを持つ人を探すことに、もし少し疲れてしまったら、ぜひ一度、その悩みを、直接私たちに聞かせていただけないでしょうか。お客様が抱える、そのリアルな「なぜ?」という声に真摯に耳を傾け、それを最高の「これだ!」という心からの喜びに変えることこそ、誠実な理容師の、最も大切な使命だと、私たちは信じております。