自然な「もみあげの刈り上げ」の作り方。やりすぎ感のないメンズヘアの秘訣
サイドをすっきりとさせたいけれど、「いかにも刈りました、という感じになるのは避けたい」「あくまで自然な仕上がりにしたい」。ヘアスタイルに清潔感を求める多くの男性が、そう考えています。
やりすぎ感のない「自然な刈り上げ」は、清潔感を最大限に引き出しつつ、誠実で知的な印象を与えてくれるため、まさに大人の男性にふさわしいスタイルと言えるでしょう。
しかし、この「自然な」という言葉が指す絶妙なバランスは、セルフカットではなかなか実現が難しいものです。この記事では、洗練された自然な刈り上げを実現するための、デザインのポイントやオーダー方法を詳しく解説していきます。
「自然な刈り上げ」が好印象を与える3つの理由
なぜ、シャープすぎる刈り上げよりも「自然な刈り上げ」が多くのシーンで好まれるのでしょうか。それには、いくつかの理由があります。
- 誠実で親しみやすい印象
過度に攻撃的でなく、柔らかい雰囲気を持つため、ビジネスシーンやプライベートでの人間関係において、相手に威圧感を与えず、親しみやすい印象をもたらします。 - どんなファッションにも馴染む
奇抜なスタイルとは異なり、スーツやジャケットといったフォーマルな服装から、Tシャツにデニムといったカジュアルな服装まで、どんなファッションにも自然にマッチします。 - 年齢を問わない普遍的な魅力
流行に大きく左右されることがなく、幅広い年代の男性が取り入れられる、好感度の高い普遍的なスタイルです。
自然に見せるための刈り上げデザインとテクニック
「自然さ」を演出するためには、いくつかのデザインとテクニックがあります。
- ミリ数でコントロールする「ソフト刈り上げ」
バリカンを使う場合、自然に見せるための基本は、地肌が透けすぎないことです。9mmや12mmといった長めのアタッチメントを選ぶことで、黒々とした自然な濃さを保ちながら、すっきりとさせることができます。 - ハサミで作る「ナチュラル刈り上げ」
バリカンを使わず、ハサミとコーム(櫛)だけで丁寧に作り上げる刈り上げです。バリカンよりも毛先が柔らかく仕上がるため、より自然な質感を求める方に最適です。 - 隠すデザイン「シークレットツーブロック」
刈り上げ部分を上の髪で隠してしまうスタイルです。普段は自然なヘアスタイルに見えながら、内側はすっきりしているため、機能性だけを取り入れたい方や、規則が厳しい環境の方におすすめです。 - 鍵は「グラデーション」
自然に見せる最大のポイントは、刈り上げた部分と、その上の長い髪との境目を、いかに滑らかな濃淡の「グラデーション」で繋げるかにかかっています。
【セルフカット】自分で自然な刈り上げに挑戦する際の限界
ご自宅で自然な刈り上げを目指す場合、長めのアタッチメント(9mm以上)を使う、刈りたくない髪をしっかりブロッキングする、ハサミを縦に入れて毛先をぼかす、といった工夫である程度のすっきり感は得られます。
しかし、そこには明確な限界も存在します。セルフカットでは、どうしても刈り上げた部分とそうでない部分の境目がくっきりと出てしまいがちです。また、自分では見えない後頭部や耳周りを、左右対称に、かつ滑らかなグラデーションで仕上げるのは至難の業と言えるでしょう。
サロンで「自然な刈り上げ」を完璧にオーダーする伝え方
サロンで理想のスタイルを手に入れるためには、曖昧な「自然に」という言葉に、少しだけ具体的な情報をプラスするのが成功のコツです。
- 具体的な伝え方の例
- 「地肌が透けないくらい、自然な感じで刈り上げてください」
- 「バリカンを使わず、ハサミで柔らかい感じに短くしてほしいです」
- 「普段は仕事でバレないくらいの、隠せるツーブロックでお願いします」
写真を見せながら、「この写真くらいの、自然な刈り上げがいいです」と伝えるのも、イメージを共有する上で非常に確実な方法です。
なぜプロが作る刈り上げは、圧倒的に「自然」なのか?
プロの理容師が作る刈り上げが、なぜあんなにも自然に見えるのでしょうか。その理由は、目に見えない部分の緻密な技術に隠されています。
- 「すく」技術による質感の調整
プロはただ短くするだけでなく、すきバサミを髪の内側に入れ、毛量を減らしながら毛先の質感を柔らかくしています。これにより、人工的ではない、地毛がそのまま短くなったかのような自然な馴染みが生まれます。 - 骨格と毛流れに逆らわないカット
一人ひとりの頭の形や髪の生え方を完全に見極め、髪が最も自然に収まるようにデザインするため、仕上がりに無理がありません。伸びてきた時も、自然にまとまりやすくなります。 - ミリ単位以下の世界観
プロの理容師は、アタッチメントだけに頼らず、コームをミリ単位で動かしながらバリカンやハサミを操ることで、セルフカットでは到達不可能な滑らかなグラデーションを実現します。 - シェービングによる境界線のぼかし
理容室では、カミソリで産毛を処理することで、肌と髪の境界線を美しく、かつ自然にぼかすことができます。このひと手間が、仕上がりの質を大きく左右します。
まとめ
もみあげの「自然な刈り上げ」は、清潔感と誠実な印象を与え、大人の男性の魅力を引き立てる最適なスタイルです。その「自然さ」の鍵は、やりすぎない長さと、滑らかなグラデーションにありますが、これを自分で完璧に再現するのは非常に難しいものです。
計算され尽くした技術で、まるで元からそうであったかのような、究極に自然な刈り上げスタイルを創り出すこと。それこそが、私たちメンズカットの専門家である理容師の仕事です。
「やりすぎない、でも確実にかっこいい」。その絶妙なバランスは、ぜひプロにお任せください。