【メンズカット】ベリーショートの「切り方」。ただの坊主で終わらない、プロの設計術
潔さ、男らしさ、そして、圧倒的な清潔感。メンズカットの中でも、特に「ベリーショート」は、その人の持つ、揺るぎない自信と、本質的な魅力を、最もストレートに表現する髪型です。
その、究極にシンプルな見た目から、「バリカンさえあれば、自分でもできるのでは?」と、その「切り方」に、興味を持っている方も、いらっしゃるかもしれません。
しかし、プロの理容師が創り上げる、洗練されたベリーショートと、ただ短く刈り揃えただけの「坊主頭」との間には、天と地ほどの、決定的な違いが存在します。その違いを生み出すのが、プロだけが知る、緻密な「設計術」なのです。この記事では、あなたのベリーショートを、芸術の域へと高める、プロの「切り方」の秘密を、詳しく解説します。
全ては「設計」から。プロの「切り方」は、バリカンを持つ前に始まる
プロの仕事は、いきなりバリカンを頭に入れることから、始まることはありません。全ては、お客様一人ひとりの、頭という、唯一無二のキャンバスを、深く理解するための「設計」からスタートします。
あなたの「頭の形」という、キャンバスを、診断する
まず、プロの理容師は、お客様の頭の形を、指で触れ、目で見て、正確に「診断」します。どこが出っ張っていて、どこが平らか。どこに、美しい丸みを持たせるべきか。この、骨格という名のキャンバスの特性を完璧に理解することが、最高の作品を創り上げるための、絶対的な出発点です。
濃淡のグラデーションを、頭の中に描く
次に、診断した情報と、お客様のなりたいイメージを基に、完成形の「設計図」を、頭の中に、立体的に描き上げます。特に、ベリーショートの生命線である、刈り上げ部分の、滑らかで、美しい濃淡のグラデーションを、どの位置から、どのくらいの角度で創り上げていくか。その全てが、この段階で、緻密に計算されているのです。
彫刻のように髪を削る、プロの「切り方」全工程
設計図が完成したら、いよいよ、バリカンやハサミを手に取ります。
工程1:ベースとなる、最も短い部分から始める
プロのやり方は、まず、襟足など、スタイルの中で、最も短くする部分に、トリマーや、短いミリ数のバリカンで、最初の「ガイドライン」を引くことから始まります。この、最初の一本の線が、その後の、全てのグラデーションの、基準点となります。
工程2:ミリ単位で、グラデーションを積み重ねる
ここからが、プロの真骨頂です。最初に引いたガイドラインを、消していくように、それよりも少しだけ長いミリ数のバリカンを使い、手首を返すような、独特の動きで、滑らかに「ぼかし」ていきます。そして、さらに少し長いミリ数で、その上をぼかしていく。この、気の遠くなるような、緻密な作業を繰り返すことで、一切の境目を感じさせない、美しいグラデーションが生まれるのです。
工程3:トップと、滑らかに「繋ぐ」
最後に、バリカンで作った刈り上げ部分と、その上の、僅かに長さを残したトップの髪とを、ハサミとコーム(櫛)だけを使い、完璧に、そして、自然に「馴染ませて」いきます。この工程があって初めて、ベリーショートは、ただの坊主頭ではない、洗練された、一つの「作品」として完成するのです。
なぜ、この「切り方」を、自分で真似してはいけないのか
あなたには、あなたの「後頭部」が見えない
言うまでもなく、あなた自身が、自分の後頭部を、直接見ることはできません。合わせ鏡を使っても、プロと同じ精度で、左右対称の、美しいシルエットを創り上げることは、まず不可能です。
0.1ミリを操る、神業的な「手先の感覚」
プロが、グラデーションをぼかす際に使う、手首の、絶妙な動き。あれは、コンマ数ミリの世界で、濃淡をコントロールするための、長年の訓練の賜物であり、一朝一夕で真似できるものではありません。
虎刈りという、取り返しのつかない失敗
知識のないまま、バリカンを頭に入れてしまうと、多くの場合、仕上がりは、ムラだらけの、いわゆる「虎刈り」になってしまいます。一度、短く刈ってしまった髪は、伸びてくるまで、数週間、あるいは、数ヶ月間、元には戻りません。
まとめ:究極のシンプルは、究極の技術の、結晶である
メンズカットにおける、ベリーショート。それは、数あるヘアスタイルの中で、最もごまかしが効かず、理容師の純粋な「技術力」と「美的センス」が、最も正直に問われる、究-極の髪型です。
その、シンプルを極めた髪型にこそ、ミリ単位のグラデーションを彫刻し、お客様一人ひとりの骨格を、最も美しく見せる、プロの理容師の、魂が宿るのです。
当サロンは、このベリーショートという、シンプルでありながら、最も奥深いスタイルに、絶対の自信と誇りを持っています。ぜひ一度、プロの技術が創り出す、究極のシンプルをご体験ください。