【メンズカット】サイドの切り方で全てが決まる。プロが教える失敗しないオーダー術
「トップのスタイリングは上手くいくのに、なぜかヘアスタイル全体が決まらない」
「横に髪が膨らんで、頭が大きく見えてしまう」
そうした悩みの根本原因は、ほとんどの場合、顔の印象を決定づける「サイド」のヘアデザイン、つまり「サイドの切り方」にあります。サイドのシルエット一つで、あなたの印象は、シャープにも、野暮ったくもなり得るのです。
セルフカットを考える方もいるかもしれませんが、サイドのカットは、プロの理容師が最も神経を使い、技術を凝縮させる場所の一つです。この記事では、プロが実践するサイドの基本的な「切り方」から、その技術を最大限に引き出すためのオーダーの秘訣まで、詳しく解説します。
なぜ「サイドの切り方」がこれほど印象を左右するのか
ヘアスタイル全体の中で、なぜサイドがこれほどまでに重要なのでしょうか。
正面から見たときの「顔の印象」を決定づける
サイドのヘアラインは、顔の輪郭と直接隣り合っています。この部分がタイトに引き締まっているか、あるいは膨らんでしまっているかで、顔の大きさの印象は劇的に変わります。サイドを制する者は、小顔効果とシャープな印象を手に入れることができるのです。
骨格の悩みを補正する「キーポイント」
特に日本人男性に多い、側頭部が張り出している「ハチ張り」の骨格。この悩みが最も顕著に現れるのがサイドです。このハチの張りを、カット技術によっていかに目立たなくさせ、頭全体のシルエットを美しく見せるか。これこそが、メンズカットの腕の見せ所と言えます。
プロが実践する、サイドの代表的な「切り方」
プロの理容師は、お客様の骨格や髪質、そしてなりたいイメージに合わせて、様々な「切り方」を複合的に用いて、理想のサイドを創り上げます。
技法1:刈り上げ(クリッパーカット)
バリカン(クリッパー)を使い、サイドをミリ単位の長さに刈り上げる切り方です。膨らみの原因となる髪を物理的に取り除くため、最も効果的にタイトなシルエットを作ることができます。ツーブロックスタイルや、美しいグラデーションを描くフェードスタイルのベースとなる技術です。
技法2:グラデーションカット(シザーオーバーコーム)
バリカンを使わず、ハサミとコーム(櫛)だけを駆使して、自然で柔らかいグラデーションを作り上げる、非常に高度な切り方です。刈り上げの硬い質感が苦手な方や、よりナチュラルで上質な仕上がりを求める方に適しています。理容師の経験と技術力が光る技法です。
技法3:セニング(質感・毛量調整)
すきバサミ(セニングシザー)を使い、サイドの毛量を調整する切り方です。プロの仕事は、ただやみくもに軽くするのではありません。膨らみの原因となっている髪の内側だけをピンポイントで取り除き、表面の長さやツヤは保ったまま、ボリュームを内側からコントロールします。
なぜサイドのセルフカットは失敗しやすいのか
これらのプロの技術を知ると、なぜサイドのセルフカットが極めて難しいのかが理解できます。
左右非対称という最大の罠
利き手で自分のサイドを切るのは、まだ可能かもしれません。しかし、その反対側を、全く同じ角度、同じ長さ、同じ質感で切ることは至難の業です。結果として、左右のシルエットが非対称になり、不自然なヘアスタイルになってしまうケースが後を絶ちません。
耳周りの繊細なカーブ
耳の周りの曲線に沿って、ハサミで美しいラインを描くのは、プロでも集中力を要する作業です。セルフカットでは、この部分を切り込みすぎてしまったり、逆に切り残してしまったりと、失敗のリスクが非常に高い場所です。
自分の骨格を客観視できない
自分のハチがどこから一番張っているのか、どこにボリュームを残せばバランスが良いのか。これを客観的に判断し、補正するためのカットを自分自身で行うことは、物理的に不可能です。
理想のサイドを叶えるための「切り方」オーダー術
サロンで、あなたの理想を120%実現してもらうための、オーダーのコツです。
「悩み」を基点にオーダーを組み立てる
「サイドが膨らんでしまうのを、すっきり抑える切り方にしてください」
「もみあげが浮きやすいので、自然に収まるように切ってほしいです」
このように、あなたの具体的な悩みを最初に伝えることで、理容師はそれを解決するための最適な「切り方」を提案することができます。
仕上がりの「質感」を伝える
「バリカンで刈り上げて、シャープな質感にしたいです」
「刈り上げずに、ハサミで柔らかい雰囲気に仕上げてほしいです」
このように、仕上がりの「質感」のイメージを伝えることも重要です。それによって、理容師は使用する道具や技法を選択します。
写真を見せて「このサイドの感じ」と伝える
これが最も確実な方法です。理想とするヘアスタイルの写真、特にサイドのシルエットがよく分かるものを見せ、「この写真の、このサイドのすっきりした感じが好きです」と、部分的にでもイメージを共有しましょう。言葉以上の情報が、そこには詰まっています。
まとめ:「サイドの切り方」は、理容師の技術と経験の結晶
サイドのカットは、単一の技術で成り立つものではありません。刈り上げ、グラデーション、セニングといった様々な「切り方」を、お客様一人ひとりの骨格、髪質、そしてライフスタイルに合わせて、まるでオーダーメイドのスーツを仕立てるように組み合わせる、まさに技術と経験の結晶なのです。
その複雑で繊細な作業を完璧にこなし、あなたの長年のコンプレックスを揺るぎない自信へと変えることができるのは、日々の鍛錬を積んだプロの理容師だけです。
当サロンでは、骨格補正カット、とりわけお客様一人ひとりの個性を最大限に活かす「サイドの切り方」に、絶対の自信を持っています。あなたの理想のサイドラインを、ぜひ私たちにデザインさせてください。