毛染め後のリンスは必要?髪色を美しく保つための、正しいケアの知識
ヘアカラーをしたその日の夜、シャンプーをする際に、「いつもと同じように、リンスを使っても良いのだろうか」「そもそも、リンスとコンディショナー、そしてトリートメントには、一体どのような違いがあるのだろう」と、ふと手が止まってしまったご経験はございませんか。
毎日、何気なく行っているシャンプー後のこのケアこそが、実は染めたての美しい髪色をどれだけ長く、そして良いコンディションで保てるかを決定づける、非常に重要なポイントなのです。今回は、多くの方が混同しがちなリンス、コンディショナー、トリートメントの役割の違いを明確にし、ヘアカラー後のあなたの髪に本当に必要なケアとは何かについて、プロフェッショナルの視点から分かりやすく解説してまいります。
まずは知りたい、「リンス」と「トリートメント」の根本的な違い
まず、これらの製品が持つ、それぞれの役割について正しく理解することから始めましょう。メーカーによって多少の定義の違いはございますが、一般的に、その目的は大きく二つに分けることができます。
「リンス」、そしてそれに近い役割を持つ「コンディショナー」は、主に髪の「表面」を保護することを目的としています。油分を含んだ成分で髪一本一本の表面をコーティングし、キューティクルの状態を整えることで、シャンプー後の髪のきしみを防ぎ、指通りを滑らかにします。また、静電気の発生を抑えたり、ドライヤーの熱から髪を守ったりといった効果も期待できます。
一方で、「トリートメント」は、髪の「内部」に働きかけることを主な目的としています。ヘアカラーやパーマなどでダメージを受けた髪の内部に、タンパク質や水分といった栄養成分を浸透させ、内側から髪のダメージを補修し、髪そのものをより健やかな状態へと導きます。つまり、「外部の保護」がリンスやコンディショナー、「内部の補修」がトリートメント、と覚えていただくと分かりやすいかと存じます。
ヘアカラーをした「後」の髪に、本当に必要なのはどちらか
それでは、ヘアカラーをした直後のデリケートな髪には、どちらのケアがより重要となるのでしょうか。ヘアカラー後の髪は、薬剤の化学反応によってキューティクルが開きやすく、内部の栄養分や染料が外部へと流出しやすい状態になっています。
この状態の髪に、ただ表面をコーティングするだけのリンスやコンディショナーを用いるだけでは、根本的なケアとしては十分とは言えません。失われた栄養分を髪の内部へとしっかりと補給し、ダメージホールを埋めてくれる「トリートメント」による内部補修こそが、より重要かつ効果的なケアとなるのです。市販のヘアカラー剤に、小さなパックでトリートメントが付属しているのも、この内部補修の重要性を示しています。
カラーをする「前」のリンス、その注意点について
ヘアカラーの「後」だけでなく、「前」のケアについても触れておきましょう。結論から申し上げますと、ヘアカラーをする当日の朝などに、リンスやコンディショナー、あるいはトリートメントを念入りに行っていただく必要はございません。
これらの製品に含まれているコーティング成分が髪の表面に強く残留していると、ヘアカラー剤が髪の内部へ浸透するのを妨げてしまい、染まりムラの原因となる可能性がございます。施術当日は、シャンプーのみで済ませるか、あるいは前日の夜にシャンプーを済ませ、当日は何もしない状態でご来店いただくのが、実は最も理想的なのです。
プロフェッショナルがご提案する、ワンランク上のカラーケア
私達がサロンでご提供するヘアカラーの施術には、お客様の髪を最高の状態に導くための、専門的なケアが組み込まれています。カラーの直後に、お客様一人ひとりのダメージレベルや髪質に合わせて、最も効果的な栄養分を髪の深層部まで浸透させる「サロントリートメント」は、ご自宅でのケアでは決して到達できない、特別な内部補修です。
また、お客様の髪質や、今回染めさせていただいた色味(アッシュ系、ブラウン系など)を考慮し、ご自宅でご使用いただくべき最適なトリートメントや、色持ちを格段に良くする「カラーケア専用」の製品を、数ある選択肢の中から的確にアドバイスさせていただくこと。それもまた、私達プロフェッショナルの重要な役割であると考えております。
正しいケアの知識が、美しい髪色を育てる
ヘアカラー後の髪は、いつも以上に繊細で、正しい栄養と保護を求めています。リンスとトリートメントの役割の違いを正しくご理解いただき、今のあなたの髪に本当に必要なものを選ぶこと。それが、美しい髪色を一日でも長く楽しむための、最も確実な近道です。どのケアがご自身にとって最適か迷われた際には、ぜひお気軽に、私達のような髪の専門家にご相談ください。