なぜ毛染めで根元が染まらない?失敗の原因と確実に美しく染めるプロの技
ご自身でヘアカラーをされた後、仕上がりを確認するために鏡を覗き込んだ瞬間、「毛先は綺麗に染まったのに、一番肝心な根元の部分が全く染まっていない…」と、思わずため息をついてしまったご経験はございませんか。特に、気になる白髪を隠すために染めた場合、そのがっかり感は計り知れないことでしょう。
この、非常にもどかしい「根元が染まらない」という失敗。実は、そこには髪の性質や薬剤の特性に基づいた、いくつかの明確な理由が存在します。今回は、この失敗がなぜ起きてしまうのか、その原因を究明し、どうすれば根元を確実に、そして美しく染め上げることができるのか、プロフェッショナルならではの視点と技術について詳しく解説してまいります。
「根元が染まらない」失敗を引き起こす主な原因
根元だけが染まらないという現象は、決して珍しいことではなく、多くの場合、いくつかの原因が複合的に絡み合って発生しています。
最も多い原因として考えられるのが、薬剤の「塗布量不足」です。特に根元部分は髪が密集しており、またご自身では見えにくい場所でもあるため、無意識のうちに薬剤を塗る量が少なくなりがちです。薬剤の量が不足すれば、当然ながら髪の芯まで浸透せず、染まりが浅くなる原因となります。
次に、根元の髪そのものが持つ性質も関係しています。生えてきたばかりの健康な髪(新生毛)は、キューティクルがしっかりと閉じており、薬剤を弾きやすい「撥水毛」であることが少なくありません。ダメージを負っている毛先よりも、かえって薬剤が浸透しにくいというケースがあるのです。また、白髪は黒髪に比べて硬く、染料が入りにくいという特性も持っています。
さらに、見落としがちなのが頭皮から分泌される皮脂や、普段お使いのスタイリング剤の残留です。これらが根元部分の髪に付着していると、油分が薬剤の浸透を妨げるバリアとなってしまい、染まりを悪くする原因となることもございます。
染まらなかった根元、自己流での再挑戦は慎重に
染まらなかったからといって、すぐに同じ薬剤をその上から重ねて塗布するという自己流の対処は、あまりお勧めできません。なぜなら、一見染まっていないように見える根元にも、薬剤はわずかに反応している可能性があるからです。そこにさらに薬剤を重ねることで、部分的に色が濃く入りすぎてしまったり、既に染まっていた毛先との色の差がさらに広がってしまったりと、まだら模様になるリスクがございます。また、短期間で同じ部位に薬剤を塗布することは、頭皮への大きな負担となることも忘れてはなりません。
プロフェッショナルは「根元」をどう攻略するのか
この、最も染まりにくく、かつ最も正確な技術が求められる「根元」を、いかにして美しく染め上げるか。そこにこそ、私達プロフェッショナルの真価が問われます。
まず、お客様の根元の髪質(健康毛か、白髪か、撥水毛か)をカウンセリングと診断によって正確に見極め、その髪を確実に染め上げるための最適な浸透力と発色力を持つ薬剤を選定します。時には、根元専用の特別な薬剤を調合することもございます。
そして、塗布の際には、薬剤を髪に「塗る」というよりも、髪が透けて見えなくなるくらい、たっぷりと薬剤を「置く」という意識で塗布していきます。髪を数ミリ単位の薄い毛束で正確に分け取りながら、根元の一本一本にまで薬剤が確実に行き渡るよう、精密な作業を繰り返します。この緻密な技術こそが、確実な染まりを実現するのです。
「根元」という最も重要な部分だからこそ、専門家にお任せください
ヘアスタイル全体の清潔感や若々しい印象は、実は根元が美しく均一に整っているかどうかで、その大半が決まると言っても過言ではありません。その最も重要で、かつ最もごまかしの効かない部分の施術にこそ、専門家の知識と経験が必要不可欠です。
「根元が染まらない」というストレスから解放され、心からご満足いただける完璧な仕上がりを手に入れるために。ぜひ一度、そのお悩みを私達にご相談いただけますと幸いです。