毛染めは健康に影響する?誠実な理容師が語る、髪・頭皮・身体への配慮
ヘアカラーがもたらす、新しい自分に出会えるような胸の高鳴り。その素晴らしい魅力の一方で、「化学的な薬剤を髪や頭皮に直接つけることは、本当に健康に影響はないのだろうか」という、ご自身の身体を思うがゆえの、根源的なご不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。健康という、何にも代えがたい大切なテーマだからこそ、不確かな情報に一喜一憂するのではなく、正しい知識を持っていただくことが何よりも重要です。今回は、ヘアカラーと健康の関係について、現在わかっていること、そして私たちがお客様の健康を守るために行っている配慮について、プロの立場から誠心誠意お話しさせていただきます。
まず知っておきたい、ヘアカラー剤の成分と身体への影響
まず、皆様が最もご心配されるであろう、身体全体への健康への影響についてお話しいたします。一般的なヘアカラー剤には、髪を染めるという目的を果たすために、様々な化学物質が含まれているのは事実です。過去には、一部の成分について健康へのリスクが議論された歴史もございますが、現在、日本国内で国の認可を受け、理容室で適切に使用されている製品に関しましては、重篤な全身疾患との直接的な因果関係は科学的に確認されておりません。
しかし、だからといって全ての方にとって全く安全であると断言することはできません。最も注意すべき影響は「アレルギー反応」です。特に、ヘアカラー剤に含まれる「ジアミン」という染料は、体質によってアレルゲンとなり、痒みやかぶれといった皮膚炎を引き起こすことがございます。そして、これまで何の問題もなかった方でも、ある日突然アレルギーを発症する可能性があるということを、ぜひ心に留めておいていただきたく存じます。
髪と頭皮の「健康」を守るための視点
次に、より身近な、髪と頭皮の健康という視点から見てまいりましょう。薬剤が頭皮に付着することによる刺激は、乾燥やフケ、炎症といった頭皮トラブルを引き起こす一因となり得ます。健やかな髪は、健康な頭皮という土壌があってこそ育まれるものですから、この頭皮環境への影響は決して軽視できません。また、ヘアカラーは髪の内部構造に化学的な作用を及ぼす行為である以上、程度の差こそあれ、髪の体力を奪う、いわゆる「ダメージ」を与えることは避けられません。このダメージの蓄積が、髪本来のツヤや潤いを失わせ、パサつきや切れ毛に繋がり、髪そのものの健康を損なう可能性がございます。
お客様の健康を最優先に、私たちが実践していること
これまで述べてまいりました様々なリスクに対し、私たちプロフェッショナルは、お客様の健康を何よりも最優先に考え、そのリスクを最小限に抑えるための知識と技術を備えております。初めてご来店されたお客様には、必ず丁寧なカウンセリングの時間を設け、アレルギー歴の有無や、現在の頭皮の状態などを詳しくお伺いいたします。少しでもご不安な方には、事前に「パッチテスト」を行い、アレルギー反応が出ないことを確認してから施術に入ることを徹底しております。施術の際には、頭皮を刺激から守るための保護剤を塗布し、薬剤を極力地肌につけない「ゼロテク」という専門技術を駆使することで、薬剤が身体に触れる機会を最小限に抑える努力を重ねています。
「美しさ」と「健康」、どちらも諦めない選択を
ヘアカラーを楽しむ上で、その影響の可能性を正しくご理解いただき、ご自身のリスクを管理することは非常に重要です。そして、美しいヘアスタイルを追求することと、ご自身の健康を大切にすること、この二つは決して相反するものではございません。その両立を高いレベルで実現するためには、お客様一人ひとりの身体と真摯に向き合い、専門的な知識と技術をもって安全を確保してくれる、信頼できる理容師の存在が不可欠です。私たちは、お客様のお洒落への想いと、ご自身の健康への願い、その両方に誠実にお応えいたします。どうぞ、安心してあなたの髪をお任せください。