刈り上げの“伝え方”一つで劇的に変わる。失敗しないオーダーの教科書
頭の中に、理想のヘアスタイルのイメージは完璧にある。
しかし、サロンの椅子に座った途端、それをどう言葉にして良いか分からなくなり、仕上がりはなぜかいつもイメージと違う。
その、もどかしくて、少し残念な経験。それは、決してあなたのせいではありません。
理想のヘアスタイル創りは、あなたと理容師との「共同作業」。そして、その共同作業を成功に導くには、ほんの少しの「伝え方の技術」を知っているだけで良いのです。
この記事は、あなたの理想を完璧に形にするための、誰でも今日から実践できる「伝え方の教科書」です。
なぜあなたのイメージは、今まで伝わらなかったのか?
オーダーが失敗に終わる時、そこには、あなたと理容師との間の、ほんの少しの「イメージのズレ」が存在します。
そのズレは、なぜ生まれてしまうのでしょうか。
- オーダーが失敗する、よくある3つの原因
- ① 抽象的な言葉の罠
「かっこよく」「すっきりと」「いい感じに」。これらの言葉は、非常に便利ですが、人によってその解釈は千差万別です。あなたの思う「かっこいい」と、理容師が思う「かっこいい」が、必ずしも一致するとは限りません。 - ② 写真の“雰囲気”だけを伝えようとしてしまう
写真を見せるのは素晴らしい方法ですが、そのモデルの「雰囲気」だけを求めてしまうと、骨格や髪質が全く違うため、再現は困難です。写真の「どの部分」が好きなのかを、具体的に伝える必要があります。 - ③ 自分の髪質という“前提条件”を無視してしまう
例えば、くせ毛の方が、直毛のモデルの写真を見せても、全く同じにはなりません。ご自身の髪質という、最も重要な前提条件を考慮せずに、理想だけを伝えてしまうと、失敗の原因となります。
- ① 抽象的な言葉の罠
これで完璧!理想を形にする「5つの魔法の伝え方」
専門用語を知らなくても、口下手でも大丈夫。
以下の5つの「魔法の伝え方」を組み合わせるだけで、あなたのイメージは、驚くほど正確にプロに伝わります。
- 誰でもできる具体的な伝え方
- 【伝え方①】
写真で「この形で」と、ベースを示す
最も確実な方法です。理想のスタイルの写真を見せ、「ベースは、この形でお願いします」と伝えましょう。これが、全ての設計図の基本となります。 - 【伝え方②】
ミリ数で「この厚みで」と、質感を伝える
刈り上げ部分の厚みは、ミリ数で伝えるのが最も正確です。「6mmくらいで、地肌が少し見えるくらい」「9mmで、自然な感じに」といったように、具体的な数字を使いましょう。 - 【伝え方③】
高さで「この範囲で」と、エリアを伝える
サイドの刈り上げは、「耳が全部見えるくらいの高さで」「こめかみくらいまで、高めでお願いします」というように、耳や顔のパーツを基準に高さを伝えると、イメージのズレがなくなります。 - 【伝え方④】
悩みで「これを解決したい」と、目的を伝える
「サイドが膨らむのが悩みなので、ここを一番抑えたいです」「M字の部分が目立たないようにしたいです」と、あなたの悩みを伝えることは、プロにとって最高のヒントになります。 - 【伝え方⑤】
NGで「こうはなりたくない」と、地雷を伝える
「子どもっぽく見えるのは嫌です」「襟足がスカスカになるのはNGです」といった、「なりたくないイメージ」を伝えることで、失敗のリスクを大幅に減らすことができます。
- 【伝え方①】
プロが本当に知りたい、「プラスα」の情報
上記の5つに加えて、あなたの「ライフスタイル」に関する情報を伝えることで、プロは、よりあなたに寄り添った、最高のスタイルを提案することができます。
- さらに差がつくプラスαの伝え方
- 普段の「ファッション」を伝える
あなたが普段、どのような服装を好むか(スーツ、カジュアル、ストリートなど)を伝えることで、理容師は、そのファッションに最も似合うヘアスタイルを提案しやすくなります。 - スタイリングに「かけられる時間」を伝える
「朝は、5分以内でセットを終えたい」「セットは全くしない」といった、あなたのリアルな日常を伝えましょう。それによって、再現性の高い、あなたにとって本当にベストな髪型が見つかります。
- 普段の「ファッション」を伝える
なぜプロの理容師は、言葉足らずでも理解してくれるのか
なぜ、プロの理容師は、私たちの拙い言葉や、漠然としたイメージから、驚くほど正確に、私たちの“なりたい姿”を読み取ることができるのでしょうか。
その答えは、プロが、カット技術だけでなく、あなたの頭の中にある設計図を引き出す「カウンセリング」の専門家でもあるからです。
プロは、長年の経験から、あなたの言葉の裏にある、本当の願望や、隠されたコンプレックスを読み解く、卓越した「読解力」を持っています。
そして、あなたの骨格や髪質を瞬時に見抜き、あなたの理想のイメージを、あなたの素材で実現可能な、最高の形へと「翻訳」してくれるのです。
あなたに必要なのは、完璧な指示書ではなく、プロとの「対話」を楽しむ、ほんの少しの勇気だけなのです。
上手な「伝え方」で、最高のパートナーシップを築く
上手な「伝え方」とは、自分の理想を、一方的に理容師に指示することではありません。
それは、あなたの持つ最高の「素材(悩みや願聞)」を、プロという最高の「料理人」に、最高の形でパスすることです。
最高のパスは、プロのパフォーマンスを最大限に引き出し、その結果として、あなた史上最高のヘアスタイルという、最高のゴールを生み出します。
もう、「おまかせ」や「なんとなく」から、卒業しませんか。
ぜひ一度、最高の共同作業を、プロの理容師と一緒に始めてみてはいかがでしょうか。