刈り上げのバリカンとハサミの決定的違い。プロの使い分けで仕上がりは変わる
メンズヘアの定番である「刈り上げ」。
理容室でカットする際、スピーディーにバリカンで刈り上げる光景や、理容師がハサミとクシで丁寧に形作っていく光景、どちらも目にしたことがあるのではないでしょうか。
この「バリカン」と「ハサミ」には、それぞれ明確な役割があり、どちらを使うかで仕上がりの印象は大きく変わります。
今回は、刈り上げにおけるバリカンとハサミの決定的な違いと、プロがどのようにこれらを使い分けているのか、その奥深い世界を詳しく解説します。
一目でわかる。バリカンとハサミ、仕上がりの違い
刈り上げの質感を大きく左右する、バリカンとハサミ。
まずは、それぞれの道具が生み出す仕上がりの違いを見ていきましょう。
質感と手触り
- バリカン
設定した長さで髪を均一に刈り取るため、髪の断面が揃い、やや硬めでシャープな質感が生まれます。
触った感じも、ある程度しっかりとした感触になります。 - ハサミ
髪を一本一本、線ではなく点でカットしていくため、毛先に自然なばらつきが生まれます。
これにより、ふんわりと柔らかく、手触りの良いナチュラルな質感を表現することができます。
見た目と印象
- バリカン
濃淡がはっきりとした、シャープなグラデーションを作るのを得意とします。
特に、地肌から滑らかに繋がるフェードスタイルのような、クリーンで男らしい印象のスタイルに不可欠な道具です。 - ハサミ
地毛が伸びてきたかのような、非常に自然なグラデーションを作ることができます。
人工的ではない、温かみのある優しい印象のシルエットを求める場合に最適です。
【道具別】メリットと特徴を徹底比較
それぞれの道具が持つメリットを理解することで、自分のなりたいスタイルにどちらがより適しているかが見えてきます。
- バリカン刈り上げのメリット
- スピードと効率性
広範囲を均一な長さに、素早く刈り上げることができます。 - 精密なグラデーション
フェードスタイルのような、ミリ単位以下の滑らかな濃淡を作るのに適しています。 - シャープな表現力
エッジの効いた、清潔感あふれるクリーンなスタイルを実現します。
- スピードと効率性
- ハサミ刈り上げのメリット
- 自然な仕上がりと持続性
伸びてきてもスタイルが崩れにくく、自然に馴染みます。 - 柔らかな質感の調整
髪の質感を柔らかく見せたり、毛量を細かく調整したりすることが可能です。 - オーダーメイドのフィット感
頭の細かな凹凸に、より柔軟に対応でき、骨格に合わせたシルエットが作れます。
- 自然な仕上がりと持続性
プロはこう使い分ける!最高のスタイルを生む判断基準
「結局、どっちが良いの?」という疑問が浮かぶかもしれませんが、プロの理容師は「どちらか一方」を選ぶわけではありません。
お客様の理想を形にするために、両方の道具の長所を最大限に引き出す「合わせ技」でスタイルを創り上げています。
「どちらか」ではなく「両方の融合」
プロの仕事の神髄は、この使い分けにあります。
例えば、まずバリカンを使って全体の長さとグラデーションのベースをスピーディーに作り、その後ハサミに持ち替えて、質感の調整やトップとの自然なつながりを作っていく。
このように、バリカンとハサミをシームレスに連携させることで、それぞれの道具のデメリットを補い合い、メリットだけを最大限に引き出すのです。
お客様の要望による使い分け
カウンセリングでお客様のなりたいイメージを伺い、道具を選択します。
「シャープで、清潔感のあるビジネススタイルに」という要望ならバリカンを主体に、「あくまで自然に、柔らかい雰囲で」という要望ならハサミを主体に、といった具合に、理想のイメージに合わせて最適なアプローチを選びます。
髪質と骨格による使い分け
硬くて立ちやすい髪質の方には、ハサミを使って馴染ませる。
後頭部の絶壁をカバーして丸みを持たせたい場合は、バリカンで緻密なグラデーションを作る。
このように、プロは長年の経験から、お客様一人ひとりの髪質や骨格という「素材」を瞬時に見抜き、最も効果的な道具と技術を選択しています。
まとめ
刈り上げにおけるバリカンとハサミの違いは、どちらが優れているかという単純な話ではなく、それぞれに異なる「役割」と「得意分野」があるということです。
そして、最高の刈り上げスタイルとは、お客様の理想と素材に対し、理容師が持つ全ての技術(バリカンとハサミのテクニック)を惜しみなく注ぎ込んで創り上げる、あなただけのオーダーメイド作品に他なりません。
バリカンとハサミ、両方の良さを知り尽くした私たちに、ぜひあなたの理想のスタイルをお聞かせください。