短髪こそ「髪をすく」技術で差がつく。男らしさを磨く、プロのひと手間
清潔感に溢れ、その人の持つ潔さや力強さを、何よりもストレートに引き立てるヘアスタイル、「短髪」。それは、いつの時代も多くの男性に愛され続ける、究極のメンズヘアと言えるでしょう。その無駄を削ぎ落としたシンプルさゆえに、ほんのわずかな髪の質感の違いが、スタイル全体の印象を大きく左右します。そして、その決定的な違いを生み出しているのが、実は「髪をすく」という、非常に繊細で、計算され尽くしたプロのひと手間なのです。
なぜ、短い髪でも「梳く」ことが不可欠なのか
「こんなに短い髪なのに、わざわざすく必要があるのだろうか?」と、不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、髪が短いからこそ、そのひと手間が、お客様のスタイルに劇的な違いを生み出すのです。
骨格を、よりシャープに見せるため
短髪は、お客様ご自身の頭の形が、ヘアスタイルのシルエットにダイレクトに影響します。特に、日本人に多いと言われるハチ(頭の角の部分)が張った骨格は、ただ全体を短くしただけでは、頭が大きく、どこか四角い印象に見えてしまいがちです。私たちプロは、膨らんで見える部分の髪の内側を的確にすくことで、骨格そのものを補正し、シャープで男らしい理想的なシルエットを創り出します。
力強い「動き」と「束感」を宿すため
短く、硬い髪質の髪は、何もしなければ、まるでハリネズミのようにツンツンと立ち、どことなく野暮ったい印象になってしまうことがあります。毛先を中心に丁寧に髪をすき、毛束に自然な強弱をつけてあげることで、ご自宅でワックスなどのスタイリング剤をつけた際に、力強くも洗練された、立体的な動きと束感を、驚くほど簡単に表現できるようになります。
清潔感を、より長く維持するため
髪が伸びてきた時に、重さが溜まりやすい部分や、バランスが崩れやすい部分をあらかじめ予測し、軽くしておく。このプロならではの配慮が、スタイルが崩れるのを遅らせ、短髪ならではの命とも言える、清潔感を一日でも長くキープするための秘訣となるのです。
失敗を許さない。短髪の「梳き」でプロが守る鉄則
短い髪は、一度梳きすぎてしまうと、ごまかしが効かず、修正するのも非常に困難です。だからこそ、私たちはお客様を絶対に失敗させないための、いくつかの鉄則を自らに課しています。まず、全体のバランスをミリ単位で見極め、本当に必要な箇所に、最小限の梳きを入れること。そして、短い毛が不自然に立ち上がる原因となる、根元の部分は決して触らないこと。お客様一人ひとりの髪質と真剣に対話し、最適な道具と技術を選択すること。これらの一つひとつが、お客様への誠実な仕事の証なのです。
オーダーで伝えるべき「なりたい短髪」のイメージ
私たちにオーダーをされる際は、ぜひお客様の「なりたいイメージ」をお聞かせください。「サイドはタイトに、トップには少し高さを出したスタイルにしたい」「後頭部の絶壁が気にならないように、丸みのあるシルエットにしてほしい」といった、全体の形に関するご希望は、私たちにとって最高の道しるべとなります。もちろん、理想とする短髪のスタイル写真をお見せいただくのが、最も誤解のない確実な方法です。
誠実な理容師は、細部にこそ魂を込める
短髪のデザインとは、細部の美しさの、丁寧な積み重ねです。襟足のライン、もみあげの形、そして毛先一本一本の質感。そのすべてに一切妥協しないことこそが、究極のスタイルを創り上げると、私たちは固く信じています。私たち誠実な理容師は、お客様の骨格を最も美しく見せ、その男らしさを最大限に引き出すために、その一ミリ一ミリに、持てる全ての技術と情熱を込めてハサミを握っています。
シンプルだからこそ、この上なく奥が深い。プロの魂が凝縮された、本物の短髪を、ぜひ私たちのサロンでご体験ください。鏡に映る、これまで以上にシャープで、精悍なご自身の姿に、きっと心からご満足いただけるはずです。