後悔しない「髪の梳き方」頼み方講座。理想の軽さを伝える魔法の言葉
バーバーサロン(理容室)でのオーダーは、ご自身の理想の髪型を、言葉という設計図で描くようなもの。特に、ヘアスタイル全体の印象や質感を大きく左右する「髪の梳き方」については、その「頼み方」一つで、仕上がりが良くも悪くも、驚くほど変わってきます。「量を減らしたいだけだったのに、梳かれすぎてスカスカになってしまった」「軽くしたかったのに、ほとんど変わらなかった」。そんな、お客様と私たち技術者の間で起こる、悲しいすれ違いは、もう今日で終わりにしましょう。今回は、あなたの想いをプロに120%伝えるための、シンプルで効果的な「頼み方」の全てを、順を追ってご紹介いたします。
最高の頼み方①:あなたの「悩み」をそのまま伝える
私たちプロの理容師にとって、お客様からの最高のオーダーとは、実は、お客様が日常生活の中で感じている、リアルな「悩み」そのものなのです。飾らない、ありのままの言葉で、ぜひ私たちにお聞かせください。例えば、「髪の量が多くて、お風呂上がりにドライヤーで乾かすのが本当に大変なんです」「サイドの髪が膨らんで、キノコのようなシルエットになるのが嫌で…」「ワックスをつけても、髪が重たくて、すぐにペタッとしてしまいます」といった具体的なお悩みは、私たちがその原因を正確に分析し、解決策としての最適な「梳き方」を導き出すための、何よりも重要なヒントとなります。
最高の頼み方②:なりたい「目的」を言葉にする
お悩みを解決したその先に、お客様が「どのようになりたいか」というポジティブなゴールイメージを添えていただくと、オーダーの精度はさらに、そして格段に向上します。「悩みを解決する」という視点から、「理想を叶える」という、より創造的なステージへとステップアップすることができるのです。例えば、「量を減らして、朝のヘアセットを楽にしたいです」「今の重たい印象をなくして、もっと爽やかな雰囲気になりたいです」「束感が出るように軽くして、おしゃれな感じに見せたいです」といったように。この「目的」を共有することで、私たちはお客様と同じゴールを目指す、最強のパートナーになることができるのです。
最高の頼み方③:最強のツール「写真」を使う
言葉ではどうしても伝えきれない、繊細な質感や軽さのニュアンス。それを伝えるための最強のツールが、ご存知、理想のヘアスタイルの「写真」です。スマートフォンの画面でお見せいただくだけで、私たちプロは、お客様が思い描くイメージを、瞬時に、そして正確に共有することができます。その際に、ただ写真を見せるだけでなく、「この写真の、この部分の軽やかな感じが理想です」というように、写真のどの部分に特に魅力を感じていらっしゃるのかを指し示しながらお伝えいただくこと。これこそが、イメージを完璧に共有するための、究極のテクニックと言えるでしょう。
少しだけ注意したい「頼み方」
お客様の想いを尊重する一方で、プロとして、少しだけ注意をお願いしたい「頼み方」もございます。それは、「とにかく、たくさん梳いてください」というご要望です。お客様の「軽くしたい」という強いお気持ちは痛いほど理解できますが、この言葉は、時に「梳かれすぎてスカスカになってしまう」という失敗に繋がりやすい、危険性も孕んでいます。どのくらい梳くのが最適かの加減は、ぜひ私たちプロの判断にお任せいただけますと幸いです。
誠実な理容師は、あなたの言葉に耳を澄ましています
ここまで、上手な「頼み方」について様々な角度から解説してまいりましたが、どうか、うまく話さなければ、とプレッシャーに感じる必要はございません。誠実な理容師は、お客様のどんな言葉、たとえそれが拙く、曖昧なものであったとしても、その奥にある本当の願いを汲み取ろうと、全身全霊で耳を傾けます。お客様が話しやすいように、優しい質問であなたの想いを引き出していくことこそ、私たちの最も重要な仕事の一つなのです。
最高の「頼み方」とは、完璧な言葉を選ぶことではありません。それは、あなたの悩みや想いを、勇気を出して、素直に私たちに打ち明けていただくこと、そのものなのです。私たちは、技術のプロであると同時に、あなたの想いを聞くプロでもあります。どうぞ安心して、あなたの理想のスタイルについて、私たちと心ゆくまで語り合いましょう。最高の対話と、最高の技術で、あなたをお迎えすることをお約束いたします。