髪を梳くと切れ毛が増える?プロが教える、美しい髪を守るためのカット術
念願のヘアサロンで髪を梳いてもらい、理想の軽さを手に入れたはずが、数日後、鏡をよく見ると短い毛がピンピンと表面に立っていたり、光に透かすと途中で切れた毛が目立ったり…。そんな「切れ毛」の思わぬ増加に、心を悩ませてしまったご経験はございませんか。「量を減らすための施術が、かえって髪を傷つけ、美しさを損なってしまうなんて…」。そのように感じてしまうお気持ち、私たちプロとして非常によく理解できます。しかし、その切れ毛の発生は、決して避けられない宿命ではございません。正しい知識と、どこまでも丁寧な技術があれば、お客様の大切な髪を切れ毛から守りながら、理想のスタイルを実現することは十分に可能なのです。
なぜ、「梳く」という行為が切れ毛を招くのか
まずご理解いただきたいのは、切れ毛が発生する最も大きな原因が、カットの際に髪の毛へ「不必要な物理的負担」がかかってしまうことにある、という点です。例えば、日々の手入れを怠り、切れ味の悪くなった「すきバサミ」で髪を梳いたとします。すると、髪はスパッと切断されるのではなく、刃と刃の間で挟まれ、無理やり引きちぎられるような状態になってしまいます。この時、髪の内部組織は深刻なダメージを受け、後日、ブラッシングなどのわずかな刺激が加わっただけで、その傷ついた部分からプツッと切れてしまうのです。これが、髪を梳いた後に切れ毛が増えてしまう、代表的なメカニズムの一つです。
切れ毛を防ぐ、プロフェッショナルの「優しい」技術
私たちプロの理容師は、お客様の大切な髪に切れ毛を一本でも作らないために、日々の仕事の中で、髪への「優しさ」を何よりも大切にしています。
第一に、道具(ハサミ)の完璧なメンテナンス
私たちが、営業後に毎日欠かさずハサミを丁寧に手入れし、定期的に専門の職人へ研ぎに出すのは、お客様の髪に一切の不必要な負担をかけないためです。常に最高の切れ味を保った道具で施術に臨むこと。それは、プロとしてお客様をお迎えするための、最低限の責任であり、誠意であると考えています。
髪の流れに沿った、滑らかなカット
私たちは、お客様一人ひとりが持つ、異なる髪の生え方や毛流れを正確に見極めます。そして、その自然な流れに決して逆らうことなく、ハサミを滑らせるように、優しく、そして的確に量を調整していきます。無理な力で毛束を引っ張ったり、乱暴にハサミを引き抜いたりするようなことは、決してございません。
本当に必要な箇所だけを、最小限に
切れ毛は、特に無計画に根元近くを梳いた場合に、短い毛が表面に出てきて目立ちやすくなります。私たちは、ヘアスタイルを創り上げる上で、本当に調整が必要な部分だけを慎重に見極め、最小限の施術で最大限の効果を引き出すことを、常に心掛けています。
もし切れ毛が気になった時の、オーダーとケア
もし、ご自身の髪が切れ毛になりやすい、あるいはダメージを受けやすいと感じていらっしゃる場合は、どうぞご遠慮なく、最初のカウンセリングの際に私たちにお伝えください。お客様の髪の状態を共有していただくことで、私たちはより一層、髪に優しい技術を選択し、慎重に施術を進めることができます。また、日々のケアとして、トリートメントなどで髪の保湿を心掛けていただくことも、切れ毛の予防と改善に繋がります。
デザインの前に、髪の健康がある
どのような素晴らしいデザインのヘアスタイルも、それを構成する髪一本一本が健康であってこそ、その本来の輝きを放つことができる。私たちは、そのように考えております。そのため、目先のデザインのためだけにお客様の髪の健康を犠牲にするような仕事は、決していたしません。お客様の髪の状態を最優先し、時には「今はこれ以上梳かない方が、髪のために良いですよ」と、正直にお伝えすること。それもまた、お客様の髪の未来を真剣に考える、私たちの誠実さの表れなのです。
「髪を梳くと切れ毛が増える」というお悩みは、施術者の髪への深い理解、道具へのこだわり、そしてお客様一人ひとりへの丁寧な技術によって、その結果が大きく左右されます。あなたの大切な髪を、まるで我が子のように優しく、そして丁寧に扱う。そんな、安心して毛量調整を任せられるプロの技術を、ぜひ私たちのサロンでご体験ください。