女性の「襟足」をバリカンで美しく。プロが語る、失敗しないデザインの法則
ショートヘアやボブスタイル。あるいは、髪をアップにした時の、うなじから襟足にかけてのライン。
その数センチのエリアの美しさが、ヘアスタイル全体の完成度を、そして、あなたの後ろ姿の印象を、大きく左右します。
近年、その襟足を、ハサミだけでなく「バリカン」を使って、よりシャープに、より美しく整えたいと考える、美意識の高い女性が増えています。
「でも、バリカンを使うと、男性っぽくならない?」
「失敗して、不自然な襟足になったらどうしよう…」
そのご懸念、当然のことです。
この記事では、メンズグルーミングのプロであり、バリカンの扱いに誰よりも精通した私たち理容師が、女性の襟足をバリカンで仕上げる際の、失敗しないためのデザイン法則について、詳しく解説します。
「ハサミ仕上げ」と「バリカン仕上げ」、その違いとは?
まず、伝統的なハサミによる仕上げと、バリカンを使った仕上げの違いについて、ご説明します。
ハサミによる仕上げは、毛先が柔らかく、自然な質感になるのが特徴です。しかし、細い産毛までを完璧に処理するのは難しく、整えたラインが、比較的早くぼやけてきてしまう傾向があります。
一方、バリカンによる仕上げは、剃り上げる長さをミリ単位で正確にコントロールできるため、非常にシャープで、均一なラインを創り出すことができます。産毛も綺麗に処理でき、その美しい状態が、長く持続するのが最大のメリットです。
女性らしい襟足デザイン、3つの鉄則
では、バリカンという、ともすれば男性的なツールを使い、いかにして、女性らしい、上品な襟足を創り上げるのでしょうか。そこには、プロが必ず守る、3つの鉄則が存在します。
・鉄則1:襟足の「形」は、あくまでも丸く、柔らかく
男性の襟足は、角を残した直線的なデザインにすることが多いですが、女性らしさを表現するためには、あくまでも「丸み」と「柔らかさ」が重要です。あなたの首筋のラインに沿って、自然で、優しいアーチを描くように形を整えることが、最も大切なポイントになります。
・鉄則2:産毛との「境目」は、自然にぼかす
刈り上げた部分と、肌の境目が、くっきりとした線になってしまうと、途端に不自然で、硬い印象になってしまいます。バリカンの設定を微調整しながら、産毛の生え際へと、色が滑らかに薄くなっていくような、繊-細な「ぼかし」の技術を加える。これにより、肌馴染みの良い、自然な仕上がりが生まれます。
・鉄則3:首が長く見える「位置」を計算する
襟足のラインを、どの高さに設定するか。それによって、首の長さや、頭の形の印象は、大きく変わります。プロは、お客様の全身のバランスを見ながら、あなたの首が、最もすっきりと、そして長く美しく見える「黄金の位置」を、ミリ単位で計算し、デザインしています。
なぜ、その繊細な作業を「理容師」にこそ、任せるべきなのか
ここまで読んで、お気づきかもしれません。
美しい襟足をバリカンで創り上げるためには、極めて高度で、繊-細な技術が要求される、ということを。
そして、そのバリカンの扱いに、誰よりも精通し、絶対的な自信を持っているのが、私たち「理容師」です。
私たちの日常は、ミリ単位以下の精度で、バリカンを操る仕事の連続です。お客様一人ひとりの頭の形や髪質に合わせて、滑らかなグラデーションを創り上げる。その、長年の訓練によって培われた精密な技術こそが、女性のデリケートな襟足を、最も美しく仕上げるために、不可欠なのです。
もし、あなたの隣にいる男性が、ヘアスタイルに悩んでいるなら
さて、この記事を読んでくださっている、美意識の高いあなたへ。
襟足の数ミリの違いにまでこだわる、あなたのその繊-細な感性は、素晴らしいものです。
もしかしたら、あなたのすぐ隣にいる、大切な男性パートナーや、ご家族も、あなたと同じように、ご自身のヘアスタイル、特に「襟足」や「もみあげ」といった、細部の処理に、悩んでいるかもしれません。
男性のヘアスタイルにおいて、襟足やもみあげの清潔感は、その人のビジネスにおける信頼感や、人としての品格を、無言のうちに物語る、非常に重要な要素です。
もし、あなたが、この記事を通じて、プロの仕事の価値を感じてくださったのなら。
ぜひ、あなたの隣にいる大切な男性に、「こんな、細部までこだわってくれる、プロのお店があるみたいだよ」と、教えてあげてはいただけないでしょうか。
本物の技術は、性別を超える
美しい襟足は、性別を問わず、その人の美意識の象徴です。
そして、それは、お客様と、プロの技術者との、深い信頼関係があって初めて、生まれる芸術品だと、私たちは信じています。
私たちの専門は、メンズグルーミングです。
しかし、私たちの技術と哲学は、本物を求める、すべての方に、きっとご理解いただけると信じています。
あなたの大切な方のご来店を、心よりお待ちしております。