軟毛でも大丈夫。ヘアジェルで実現するボリュームスタイリング術
髪が細く柔らかい「軟毛」の方は、スタイリング剤を使うと髪が重さでぺたんこになってしまったり、時間をかけてセットしてもボリュームがすぐに失われてしまったりと、特有のお悩みをお持ちのことと存じます。特に、水分を多く含み重たい印象のあるヘアジェルは、軟毛には不向きなスタイリング剤だとお考えの方も少なくないかもしれません。しかし、製品の選び方とスタイリングの方法を少し工夫するだけで、軟毛の方でもヘアジェルを効果的に活用し、軽やかで立体感のあるスタイルを長時間維持することが可能です。ここでは、そのための具体的な方法について詳しく解説いたします。
軟毛とヘアジェルの相性について
軟毛のスタイリングにおいて最も重要なのは、髪の重さをいかに軽減し、根元からの立ち上がりをいかに維持するかという点です。確かに、ジェルはその水分量から重さが出やすいという側面を持っていますが、同時に他のスタイリング剤にはない強力なセット力という大きなメリットも持ち合わせています。このセット力を上手く利用すれば、細くて柔らかい髪の一本一本をコーティングしてハリを与え、ドライヤーで作ったふんわりとした質感を一日中しっかりと固定することができるのです。つまり、全てのジェルが軟毛に不向きなわけではなく、「軟毛に適したジェル」を選び、「正しい使い方」を実践すれば、むしろ力強い味方となってくれます。
軟毛の方が選ぶべきジェルの特徴
軟毛の方がヘアジェルを選ぶ際には、いくつかのポイントがございます。まず注目したいのは、製品の「軽さ」です。スタイリング剤のパッケージに「ライトタイプ」や「エアリー」といった表記があるものや、比較的軽い使用感のジェルは、髪への負担が少なく、ボリュームを損ないにくいためお勧めです。また、少量でも伸びが良いテクスチャーの製品を選ぶことも、付けすぎによる重さを防ぐ上で重要となります。
次に大切なのが「セット力」です。軟毛は時間が経つとスタイルが崩れやすいため、軽やかな質感でありながらも、セット力は強力なハードタイプのジェルが適しています。作ったボリューム感をしっかりと維持する能力が高い製品を選びましょう。
ボリュームを最大限に引き出すスタイリング手順
軟毛の方のスタイリングは、ジェルを付ける前の「ドライヤーでの土台作り」が成功の九割を占めると言っても過言ではありません。髪を濡らした状態から、まずは根元をしっかりと立ち上げることを意識して乾かしていきます。髪の生え方や毛流れとは逆の方向に指で髪を引っぱりながら、根元に下からドライヤーの温風を当てるのが基本です。この工程で、どれだけ根元を力強く立ち上げられるかが、仕上がりのボリューム感を大きく左右します。
髪が完全に乾き、土台ができあがったら、いよいよジェルを付けていきます。手に取る量は、まずは小豆一粒程度のごく少量から始めてください。手のひらで指の間まで均一に伸ばしたら、最も重要なポイントである「根元を避けて」髪に馴染ませます。立ち上げた根元部分にはジェルが付かないように注意しながら、髪の中間から毛先に向かって、髪全体を散らすように素早く付けていきましょう。最後に、指先に残ったジェルでトップの毛束をつまみ上げたり、前髪の流れを整えたりして、全体のシルエットを完成させます。作ったスタイルをより長く維持するために、仕上げにキープ用のヘアスプレーを軽く使用するのも大変効果的です。
軟毛だからといって、スタイリングの可能性を諦める必要は全くありません。「軽いタイプのジェル選び」「ドライヤーでの土台作り」「根元を避けて付ける」という三つのポイントを意識するだけで、これまでとは違うボリューム感と持続性を実感できるはずです。ご自身の髪質に最適なスタイリング剤の選び方や、より詳細なテクニックについてお悩みの際は、どうぞお気軽にサロンのスタイリストにご相談ください。