ジェルで前髪をあげる方法。一日中崩れないアップバングの作り方
前髪をすっきりと上げて額を見せる「アップバング」スタイルは、表情を明るく見せ、清潔感と自信に満ちた印象を与えることができる、メンズヘアスタイルの定番です。このスタイルを作る上で、ヘアジェルは非常に強力な味方となりますが、多くの方が「時間が経つと前髪が落ちてきてしまう」というお悩みを抱えています。
実は、一日中崩れない、しっかりとしたアップバングを創り上げる秘訣は、ジェルの付け方そのものだけでなく、その前の準備段階に隠されています。この記事では、プロが実践する基本に忠実な手順を追いながら、誰でも再現可能な、落ちてこない前髪の作り方を詳しく解説いたします。
スタイリングの土台を作る「ドライヤー」が最も重要
多くの方が、ジェルの力だけで前髪を上げようと試みますが、それこそが失敗の最も大きな原因です。ジェルはあくまで「形を固定する」ためのものであり、前髪を「立ち上げる」ための土台は、ドライヤーを使って作る必要があります。
まず、スタイリングを始める前には、前髪の根元を中心にしっかりと濡らし、生えグセや寝癖をリセットしてください。次に、ドライヤーを使い、下から上に向かって温風を当てながら、指の腹で前髪の根元を優しく擦るようにして乾かしていきます。この時、指で前髪を上に引っ張り上げながらドライヤーの熱を数秒間当て、その後、ドライヤーを冷風に切り替えて同じように数秒間冷やすと、髪の毛は立ち上がった形のまま記憶されます。この「温めて、冷やす」という工程が、重力に負けない土台作りの鍵となります。
ジェル選びと正しい付け方の手順
前髪を上げるスタイルには、セット力が強力な「ハードタイプ」または「スーパーハードタイプ」のジェルを選ぶのが基本です。手に取る量は、一度に多くを付けるのではなく、まずは小豆一粒程度の少量から始めましょう。量が多すぎると、その重さで逆に前髪が下がりやすくなる原因になります。
手に取ったジェルは、手のひらだけでなく、指の間まで含めて、両手全体に透明になるまで均一に伸ばしてください。そして、いきなり前髪に付けるのではなく、まずはトップや後頭部など、髪全体のシルエットを整えるように、大まかに馴染ませていきます。
前髪をしっかりと立ち上げるための最終工程
髪全体にジェルがある程度馴染んだら、いよいよ主役である前髪のセットに入ります。指先に残ったジェルを使い、ドライヤーで作った根元の立ち上がりを補強するように、前髪を下から上へと手ぐしを通します。この時、指を髪の生え際にしっかりと入れ、根元から毛先に向かって持ち上げるのがポイントです。
理想の高さと毛流れが決まったら、指先で毛束を少しずつつまみ、動きと立体感を出していきます。こうすることで、ただ固めただけの不自然な仕上がりではなく、こなれた印象のスタイリ-ングが完成します。前髪の根元部分に、意識を集中させることが、崩れないアップバングを作る上で最も大切です。
より高いキープ力を求めるなら
ここまでの手順でも十分にスタイルを維持できますが、湿気が多い日や、スポーツなどで汗をかく日など、絶対に崩したくないという場合には、仕上げにハードタイプのヘアスプレーを併用するのも非常に効果的です。ジェルが乾いてスタイルが完全に固定されたのを確認した後、髪から20cmほど離した位置から、前髪を中心に軽くスプレーを吹きかけることで、表面がコーティングされ、鉄壁のキープ力を実現できます。
前髪を上げるスタイリングの秘訣は、ジェルの量や強さだけに頼るのではなく、ドライヤーによる丁寧な下準備にあることをご理解いただけたかと存じます。この基本のステップをマスターすれば、皆様のアップバングスタイルは、これまでとは比べ物にならないほど美しく、そして長く維持できるはずです。ご自身の髪質や生えグセに合わせた、より具体的なスタイリング方法についてお知りになりたい場合は、ぜひお気軽にサロンのスタイリストにご相談ください。