ジェルで髪が薄く見える悩み。原因と対策で解消するスタイリング術
ヘアジェルを使ってスタイリングをした際に、ふと鏡を見て「地肌が透けて髪が薄く見えてしまう」「禿げて見える」と感じたご経験はございませんでしょうか。本来、ヘアスタイルをより良く見せるためのスタイリング剤が、かえってお悩みの原因になってしまうのは避けたいものです。
まず、皆様に知っていただきたい大切なことは、ヘアジェルを使うこと自体が、直接的に薄毛や抜け毛の原因になるわけではないということです。多くの場合、髪が薄く見えてしまうのは、ジェルの特性と使い方に原因があります。
この記事では、なぜジェルを使うと髪が薄く見えてしまうのか、その原因を一つひとつ解明し、髪のボリューム感を損なうことなく、スタイリッシュに仕上げるための具体的な対策とスタイリングのテクニックを詳しく解説いたします。
なぜジェルを使うと髪が薄く見えてしまうのか
ジェルでスタイリングした際に地肌が目立ってしまう現象には、いくつかの明確な理由が存在します。一つ目は、ジェルが含む「水分の重さ」です。特に髪が細く柔らかい軟毛質の方がジェルを使用すると、その重みで髪の根元が寝てしまい、ふんわりとしたボリュームが失われてしまうことがあります。
二つ目の理由は、ジェルの持つ「強いセット力」にあります。このセット力は、髪の毛同士を強く接着させ、はっきりとした太い毛束を作り出します。その結果、毛束と毛束の間に地肌が見える隙間ができてしまい、普段よりも髪が少なく見えてしまうのです。また、ジェルを髪の根元や頭皮にまで付けてしまうと、髪が根元からべったりと寝てしまい、地肌が透けて見える直接的な原因となります。
薄く見せないためのスタイリング前の準備
ジェルで髪が薄く見えるのを防ぐためには、ジェルを付ける前の「準備段階」が最も重要です。特に、ドライヤーを使って髪を乾かす工程が、スタイリング全体の成功を左右すると言っても過言ではありません。髪を洗った後、あるいはスタイリング前に髪を濡らしたら、まずはドライヤーを使って髪の根元をしっかりと立ち上げることを意識してください。
ドライヤーの風を下から当て、指の腹で頭皮を優しく擦るようにしながら、髪の生えグセに逆らうように根元を起こして乾かします。この工程で髪の内部に空気を含ませ、ボリューム感のある土台をあらかじめ作っておくことが、ジェルを付けてもスタイルが潰れないための最大の秘訣です。
ジェルを使いこなすための正しい付け方
ドライヤーで髪の土台作りを終えたら、いよいよジェルを付けていきます。ここでのポイントは、使用する量と付ける場所にあります。まず、手に取るジェルの量は、パール一粒程度のほんの少量から始めてください。その少量のジェルを手のひら、指の間まで薄く均一に伸ばし、ドライヤーで立ち上げた根元部分には決して付かないように注意しながら、髪の中間から毛先にかけて馴染ませます。
この時、太い毛束を作るように握り込むのではなく、指先で髪の毛をつまんだり、髪全体を優しく散らしたりするように、素早く付けていくのがコツです。これにより、地肌が目立つようなはっきりとした隙間ができるのを防ぎます。全体のシルエットを整えたら、最後に指先に残ったごくわずかなジェルで、トップの毛束の先端をつまんで動きを出すと、ボリュームを維持したままスタイルをキープすることができます。
スタイリング剤選びも見直してみる
これらの方法を試しても、ジェルの質感がご自身の髪質に合わないと感じる場合は、無理に使い続ける必要はありません。例えば、ツヤのないマットな質感のワックスや、軽い付け心地のクレイワックスなどは、光の反射を抑えるため地肌が目立ちにくく、ふんわりとしたボリュームを出しやすいという特徴があります。また、スタイリングの仕上げに、ボリュームキープタイプのヘアスプレーを根元に軽く使用するのも大変効果的です。
ジェルで髪が薄く見えるというお悩みは、スタイリング前の準備と、ジェルを付ける場所や量を見直すことで、十分に解消することが可能です。ご自身の髪質やお悩みに合わせた最適なスタイリング剤の選び方や、より専門的なスタイリングの技術についてお知りになりたい場合は、どうぞ一人で悩まず、お気軽にサロンのスタイリストにご相談ください。