ジェルで「ガチガチ」に固める方法と、そうならないためのスタイリング術
ヘアジェルの最大の特徴と聞いて、多くの方が思い浮かべるのが、髪を「ガチガチ」に固める、その圧倒的なセット力ではないでしょうか。この強力な固定力は、ある種のヘアスタイルにとっては理想的な仕上がりであり、またある種のスタイルにとっては、できれば避けたい不自然さの象徴にもなり得ます。
面白いことに、「ジェルでガチガチにしたい」という方も、「ガチガチになるのは避けたい」という方も、スタイリングにおける目的は正反対でありながら、その解決策はジェルの特性を正しく理解するという一点に集約されます。
この記事では、ジェルスタイリングの醍醐味である「ガチガチ」な仕上がりを意図的に創り出すための方法と、逆に、強いセット力は活かしつつも、自然な質感を保つためのテクニックの両面から、詳しく解説いたします。
究極のキープ力を求める。「ガチガチ」に固めるための技術
まず、ヘアスタイルを微動だにしないほど、完璧に固定したい場合のテクニックです。短い髪をツンツンに立たせるスパイキーなスタイルや、絶対に崩したくないフォーマルな場面、あるいは非常に硬く、言うことを聞かない髪質を抑え込む際などに有効です。
この目的を達成するためには、まず製品選びの段階で「スーパーハード」や「フリーズキープ」といった、最もセット力の高いタイプのジェルを選択することが基本となります。スタイリングする際は、髪がある程度乾いた状態、タオルドライ後に軽くドライヤーをかけた程度の髪に、少し多めのジェルを素早く馴染ませます。水分が少ない状態で付けるほうが、ジェルの成分が濃く髪に付着し、より硬質な仕上がりになります。形を整えた後、ドライヤーの冷風を当てて急速に乾燥させると、セット力はさらに向上します。
強さは欲しいが、不自然さは避けたい。「ガチガチ」にならない方法
次に、ジェルの持つキープ力は欲しいけれど、不自然な硬さや、触った時のゴワゴワ感は避けたい、という場合のテクニックです。こちらを目指す方のほうが、現代のスタイリングにおいては主流かもしれません。
この場合、最も重要なのはジェルの「量」です。まずはパール一粒大ほどのごく少量から始め、足りなければ足す、という基本を徹底してください。不自然な硬さのほとんどは、ジェルの付けすぎが原因です。次に重要なのが、髪の「水分量」です。髪がしっとりと濡れている、タオルドライ直後の状態でジェルを付けると、水分によってジェルが薄まり、髪全体に均一に伸びるため、より自然で柔軟な仕上がりになります。
また、手のひらでジェルを伸ばす際に、数滴の水を混ぜてから使うのも、硬さを和らげるためのプロのテクニックです。髪に付ける際も、表面から塗り固めるのではなく、髪の内側から手ぐしを通し、空気を含ませるように馴染ませることで、自然なボリューム感を維持したまま、スタイルをキープすることができます。
もし「ガチガチ」になりすぎてしまったら
万が一、意図せずに髪が固まりすぎてしまった場合でも、諦める必要はありません。少量の水を手に取り、硬くなった部分を優しく揉み込むように馴染ませてみてください。水溶性であるジェルの多くは、水分が加わることで一時的に硬化が和らぎ、ある程度の修正が可能になります。
「ガチガチ」という質感は、失敗の産物ではなく、ジェルの量、髪の水分量、そして付け方をコントロールすることで、自在に操ることができる表現の一つです。ご自身の目指すスタイルに合わせて、ぜひその質感をコントロールするスタイリングを楽しんでみてはいかがでしょうか。より専門的な製品の選び方や、あなたの髪質に合わせたテクニックについてお知りになりたい場合は、どうぞお気軽にサロンのスタイリストにご相談ください。