ジェルはドライヤーで乾かすべき?プロが解説する正しい知識とテクニック
ヘアジェルを使ったスタイリングに関して、「ジェルを付けた後、ドライヤーで乾かしても良いのだろうか?」という疑問は、多くの方が一度は抱くものです。早くセットを終わらせたい、あるいは、より強力に固定したい、といった思いから、ジェルを付けた髪にドライヤーを当てている方もいらっしゃるかもしれません。
この「ジェルをドライヤーで乾かす」という行為は、一概に正しいとも、間違っているとも言えません。重要なのは、その「目的」と「正しい方法」を理解することです。この記事では、プロの視点から、ジェルとドライヤーの適切な関係性について、基本的な原則から応用テクニックまでを詳しく解説いたします。
まずは基本原則の再確認:ドライヤーは「形作り」、ジェルは「固定」
まず、美しいヘアスタイルを創る上での最も基本的で信頼性の高い原則は、「ドライヤーで形を作り、その後にジェルで固定する」という順番です。スタイリングにおけるドライヤーの主な役割は、髪を乾かすこと以上に、熱と風の力で髪の根元を立ち上げてボリュームを出したり、全体の毛流れを整えたりといった、スタイルの「土台」を構築することにあります。そしてジェルは、そのドライヤーによって創られた土台を、強力なセット力で維持し、ツヤや束感を加えて「仕上げる」役割を担います。この基本原則を理解しておくことが、応用テクニックを正しく実践するための前提となります。
応用テクニック:ジェルを付けた後にドライヤーを使う目的
基本原則は上記のとおりですが、特定の目的のためには、ジェルを付けた後にドライヤーを使うことが非常に効果的な場合があります。
セットを急速に、そして強力に固める
一つ目の目的は、スタイリングをより速く、そしてより強力に固定することです。ジェルを髪に馴染ませて形を創った後、ドライヤーの風を当てることで、ジェルの水分が急速に蒸発し、硬化するまでの時間を大幅に短縮できます。これにより、朝の忙しい時間でも、素早くヘアセットを完了させることが可能になります。
パーマやウェーブの質感を再現する
二つ目の目的は、パーマやご自身のくせ毛が持つ、カールやウェーブの質感を美しく再現することです。濡れた髪にジェルを揉み込んだ後、そのまま自然乾燥させると、髪の重みでカールが伸びてしまうことがあります。ここでドライヤーを使うことで、カールが持つ本来の立体感を維持したまま、スタイルを固定することができます。
間違いを避けるための正しい「乾かし方」
ジェルを付けた髪にドライヤーを使用する際は、その「乾かし方」に細心の注意が必要です。間違った方法で行うと、かえってスタイルを損なう原因にもなりかねません。
温風ではなく「冷風」を基本とする
スタイルを急速に固めたい場合、使用すべきはドライヤーの「冷風」です。温風を当ててしまうと、ジェルの成分によってはセット力が弱まったり、髪が必要以上に乾燥してパサついた質感になったりする可能性があります。冷風を当てることで、髪やジェルに余計な負担をかけることなく、優しく、そして素早く水分を飛ばし、スタイルを固定することができます。
パーマヘアには「弱風」と「ディフューザー」
パーマヘアの質感を活かすために乾かす場合は、ドライヤーの風量を「弱風」に設定し、風を拡散させるための「ディフューザー」というアタッチメントを使用するのが理想的です。強い風を直接当ててしまうと、せっかくのカールが伸びたり、ばらばらになったりしてしまいます。ディフューザーを使い、髪を下から優しく持ち上げるように、包み込むように乾かすことで、ふんわりと立体感のあるカールを再現できます。
基本は「ドライヤーが先、ジェルが後」。しかし、目的を理解した上で、適切な方法で「ジェルを付けた後にドライヤーを使う」というテクニックを取り入れれば、あなたのスタイリングの幅はさらに広がります。ご自身の髪質やスタイルに合わせた、より専門的なアドバイスをご希望の際は、ぜひお気軽にサロンのスタイリストにご相談ください。