ヘアジェルとバームの違いとは?「固定」と「保湿」で選ぶスタイリング剤
メンズのスタイリング剤コーナーに足を運ぶと、定番のヘアジェルと並んで、「ヘアバーム」というアイテムを目にする機会が増えたのではないでしょうか。どちらも髪を整えるための製品ですが、その名前や見た目が異なるように、本来の目的や仕上がりの質感は、全くの別物です。
この二つのスタイリング剤の違いを正しく理解し、ご自身の目的に合わせて使い分けることが、より現代的で洗練されたヘアスタイルを創り上げるための第一歩となります。この記事では、ヘアジェルとヘアバームが持つ、それぞれの根本的な役割と、最適な選び方について詳しく解説いたします。
スタイルを「固定」するためのヘアジェル
まず、皆様に馴染みの深いヘアジェルは、その主な目的がヘアスタイルを強力に「固定」することにある、純粋な「スタイリング剤」です。水分を多く含んだゼリー状のテクスチャーが特徴で、髪に塗布した後に乾燥する過程で硬化し、創り上げたスタイルを一日中、力強く維持します。
仕上がりは、製品にもよりますが、ウェットで光沢のある「ツヤ感」と、シャープで硬質な「束感」を生み出すことを得意とします。髪を触るとパリッとした感触があり、一度セットすると手直しは困難ですが、その分、風や湿気にも負けない圧倒的なキープ力を誇ります。短い髪を立たせたり、七三分けやオールバックといった、きっちりとした髪型を創る際に最適なアイテムです。
髪を「保湿」し整えるためのヘアバーム
一方、近年人気が高まっているヘアバームは、その主な目的が髪を「保湿・補修」することにある、「ヘアケア剤」に近いスタイリング剤です。シアバターやミツロウといった、天然由来のオイルやロウを主成分としており、固形のバターのようなテクスチャーが特徴です。
手のひらの熱で溶かして髪に馴染ませることで、髪の乾燥やパサつきを抑え、自然なまとまりと、潤いのある柔らかな質感を与えます。ジェルほどの強力なセット力はありませんが、髪を固めることなく、広がりや静電気を抑え、あくまでも自然な毛流れを整えることを得意とします。仕上がりは、ベタつくことのない、健康的なツヤ感が生まれます。髪をいたわりながら、作り込みすぎないナチュラルなスタイルを目指す方に最適なアイテムです。
決定的な選択基準:あなたはどちらの目的を優先しますか?
ジェルとバーム、どちらを選ぶべきか。その選択は、あなたがスタイリングにおいて、何を最も優先するかによって決まります。
もし、あなたが求めるものが、ヘアスタイルを絶対に崩さない「強力な固定力」や、シャープで「ウェットな質感」であるならば、選ぶべきは「ヘアジェル」です。
それに対して、あなたが求めるものが、髪のパサつきを抑える「保湿力」や、固めることのない「自然なまとまり」であるならば、選ばTべきは「ヘアバーム」ということになります。
髪の長さとコンディションで考える使い分け
髪の長さや状態も、どちらを選ぶかの重要な指針となります。髪を立たせる必要のあるショートヘアには、やはりジェルが適しています。一方で、髪の自然な流れや質感を活かしたいミディアムからロングのヘアスタイルには、バームが非常に良い相性を見せます。
また、ヘアカラーやパーマによって髪が乾燥している、あるいはダメージが気になるといった場合には、保湿効果の高いバームを積極的に取り入れることをお勧めします。
ジェルは「外部を固める鎧」、バームは「内部を潤す美容液」と表現することもできるかもしれません。この根本的な役割の違いを理解し、ご自身の髪と対話しながら、最適なスタイリング剤を選んでみてはいかがでしょうか。より専門的な製品選びや、あなたの髪質に合わせたケア方法についてお知りになりたい場合は、ぜひお気軽にサロンのスタイリストにご相談ください。