ヘッドスパの効果はドライヤーで決まる。プロが教える正しい髪の乾かし方
理容室でヘッドスパを受けた後の、すっきりと軽く、そして清潔な頭皮と、根元からふんわりと自然に立ち上がる髪。この最高の状態を一日でも長くキープするためには、実は施術後の「ドライヤー」による髪の乾かし方が非常に重要になることをご存じでしょうか。ヘッドスパ後のデリケートな頭皮と髪を正しく丁寧に乾かすことは、施術の効果を最大限に持続させ、新たな頭皮トラブルを防ぐための、いわば最後の総仕上げとも言える大切な工程なのです。この記事では、プロの理容師がサロンで実践しているドライヤー技術と、ご自宅でもできる正しい髪の乾かし方のコツを詳しく解説します。
なぜヘッドスパ後のドライヤーが重要なのか
プロによるヘッドスパを受けた後の頭皮と髪は、普段とは少し違う、非常にクリーンで、そして同時にとてもデリケートな状態にあります。この特別なタイミングでのヘアケアが、その後のコンディションを大きく左右するのです。
施術後の頭皮と髪のデリケートな状態
- 無防備で刺激に敏感な頭皮
毛穴の奥の汚れや古い角質までが徹底的に洗浄された頭皮は、この上なく清潔な状態ですが、同時に頭皮を外部刺激から守っている皮脂膜もリセットされ、普段よりも乾燥しやすく、刺激に敏感になっています。 - キューティクルが開いて傷つきやすい髪
濡れた状態の髪は、表面を覆ううろこ状の組織であるキューティクルが、傘のように開いている状態です。この状態では、髪の内部からタンパク質や水分といった栄養が流出しやすく、少しの摩擦でもダメージを受けやすくなっています。 - 自然乾燥がもたらす大きなリスク
面倒だからと髪を濡れたまま放置する「自然乾燥」は、絶対に避けるべきです。濡れた頭皮は温度と湿度が高まり、かゆみやフケ、嫌な臭いの原因となる雑菌が繁殖するための絶好の環境となってしまいます。また、キューティクルが開いたままの状態で乾いてしまうため、髪はパサつき、ツヤのないダメージヘアの原因となります。
プロが実践するヘッドスパ後のドライヤー術
理容室では、お客様がサロンを出た後も最高の状態が続くように、ただ髪を乾かすのではなく、ヘッドスパの効果を最大限に引き出すための計算されたドライ技術が用いられています。
プロならではの緻密なテクニック
- ステップ1
摩擦を避ける丁寧なタオルドライ
ドライヤーの時間を短縮し、熱によるダメージを最小限にするため、まずはタオルで徹底的に水分を吸い取ります。この時、ゴシゴシと強く擦るのではなく、頭皮を優しくマッサージするように、そして髪はタオルで挟み込んでポンポンと優しく叩くように水分を取り除くのが鉄則です。 - ステップ2
雑菌の繁殖を防ぐ「根元」からのドライ
ドライヤーを当てる順番は、最も乾きにくく、雑菌が繁殖しやすい「髪の根元(頭皮)」からが基本です。指の腹を使って髪を優しくかき分け、地肌に直接、温風を送るようなイメージで乾かしていきます。 - ステップ3
髪の流れとツヤを作る中間から毛先へのドライ
根元がほぼ乾いたら、次に髪の毛の流れに沿って、中間から毛先へとドライヤーの風を当てていきます。この時、ドライヤーを常に左右に振りながら動かし、一箇所に熱が集中しすぎないように注意します。 - ステップ4
キューティクルを引き締める「冷風」での仕上げ
全体の8割から9割程度が乾いたと感じたら、最後にドライヤーのモードを冷風に切り替えます。この冷風を髪全体に当てることで、熱で開いていたキューティクルがキュッと引き締まり、髪に美しいツヤを与え、セットしたヘアスタイルを長時間キープさせる効果があります。
自宅でできる。ヘッドスパ効果を長持ちさせる乾かし方
サロンでの感動をご自宅でもできるだけ長く維持するために、日々のドライヤーの使い方を少しだけ見直してみましょう。
セルフケアで意識したいポイント
- ドライヤーの前に頭皮と髪の保湿ケア
タオルドライを終えた後、ドライヤーの熱から髪と頭皮を守るために、洗い流さないタイプのトリートメントオイルや、頭皮用の保湿ローションをつけてから乾かし始めるのがおすすめです。 - ドライヤーは必ず20cm以上離す
ドライヤーの吹き出し口が頭皮に近すぎると、過乾燥や熱による炎症の原因になります。必ず頭皮から20cm程度は離して使用することを心がけましょう。 - ボリュームを出したい場合の裏技
髪の根元をふんわりと立ち上げてボリュームを出したい場合は、つむじや分け目など、毛流れに逆らうように下から上へと風を当てて乾かすと、自然な立ち上がりが生まれやすくなります。 - 「完全に乾かしきる」という意識
少しでも湿り気が残っていると、雑菌繁殖のリスクや、翌朝の厄介な寝癖の原因になります。「もう大体乾いたかな」と感じてから、もう一手間、最後に髪全体をチェックする意識で、頭皮から毛先まで完全に乾かしきることが非常に大切です。
まとめ
理容室で受けたヘッドスパの効果を最大限に引き出し、その心地よさと健康な状態を一日でも長く持続させるためには、「ドライヤー」による正しい仕上げの工程が不可欠です。プロの技術は、丁寧なタオルドライから始まり、「根元から乾かす」「冷風で仕上げる」といった、頭皮と髪のことを考え抜いた計算された工程で成り立っています。ご自宅での日々のケアにおいても、これらのポイントを少し意識するだけで、サロン帰りのような健康的な頭皮と髪の状態を長く保つことができ、ヘッドスパの効果を最大限に享受することができるでしょう。