ヘアセットにワセリンは使える?正しい使い方と注意点をプロが解説
sho0202
スタイリング剤を切らしてしまった時や、肌が敏感で市販のワックスが合わない時など、身近な保湿剤である「ワセリン」をヘアセットに使えないだろうか、と考えたことはありませんか。インターネット上でも様々な情報が飛び交っていますが、実際のところどうなのでしょうか。結論から言うと、ワセリンはヘアセットに「使えます」。しかし、それにはいくつかの重要なコツと、知っておくべき注意点が存在するのです。この記事では、ワセリンをヘアセットに活用するための正しい知識と、より本質的な解決策までを、プロの理容師の視点から詳しく解説していきます。
Contents
ワセリンをヘアセットに使うメリットとデメリット
まず、ワセリンをスタイリング剤として使うことの良い点と悪い点を、公平に見ていきましょう。
メリット
- 保湿効果と自然なツヤ
ワセリン本来の目的は、肌の水分蒸発を防ぐ「保湿」です。この効果は髪にも同様に働き、乾燥によるパサつきを効果的に抑えることができます。また、その油分によって、ジェルのようなウェット感とは異なる、自然で上品なツヤ感を演出できます。 - 肌への刺激が少ない
ワセリンは、石油から不純物を取り除いて精製された、非常にシンプルな成分でできています。香料やアルコールといった、人によっては刺激となり得る成分が含まれていないため、敏感肌の方でも比較的安心して使用することができます。 - 手に入りやすく安価
どこのドラッグストアでも手軽に、そして非常に安価に購入できるのも大きなメリットです。いざという時のための、一つ持っておくと便利なアイテムと言えるでしょう。
デメリット
- セット力・キープ力はほぼない
ワセリンには、髪を立ち上げたり、作った形をキープしたりするような、いわゆる「セット成分」は含まれていません。そのため、髪に動きを出したり、ボリュームを出したりするスタイルを作ることはできません。あくまで、髪にまとまりとツヤを出すためのものと考えるべきです。 - 付けすぎると非常に重く、ベタつく
ワセリンは非常に重い油分でできています。そのため、少しでも付けすぎてしまうと、髪が油でギトギトの、いわゆる「お風呂に入っていない人」のような状態になってしまい、清潔感を著しく損ないます。髪のボリュームも完全になくなってしまいます。 - シャンプーで落としにくい
水に溶けにくい強力な油膜を髪に張るため、一度のシャンプーではなかなか完全に落ちにくいという欠点があります。洗い残しは、毛穴の詰まりや頭皮のベタつきといった、新たなトラブルの原因になりかねません。
ワセリンを使ったヘアセットの正しいやり方
上記のデメリットを回避し、メリットだけを享受するための、失敗しない使い方を解説します。
向いているスタイル
- ウェットな質感のナチュラルヘア
センターパートや、パーマヘアの広がりを抑えたい時など、髪を固めずに、自然なツヤとまとまり感を出したいスタイルにのみ向いています。 - 髪を立ち上げるスタイルには不向き
アップバングや、束感のあるショートスタイルなど、セット力やキープ力が必要な髪型には全く向いていません。
セットの手順
- 1. 【最重要】ごく少量を手に取る
これが成功と失敗を分ける、最大のポイントです。まずは米粒半分から1粒程度の、本当にごくごく少量を指先に取ってください。「これだけで足りるの?」と思うくらいが、ちょうど良い量です。 - 2. 手のひらでしっかり透明になるまで伸ばす
取ったワセリンを、両手の手のひらで、体温でしっかりと温めながら、完全に透明でサラサラのオイル状になるまで、時間をかけて伸ばします。 - 3. 毛先中心に、優しく馴染ませる
いきなり髪の根元や頭皮に付けるのは絶対にNGです。パサつきが気になる毛先を中心に、髪の内側から、優しく握り込むようにして馴染ませていきます。 - 4. 手に残った分で表面を整える
最後に、手のひらにわずかに残ったワセリンで、髪の表面を上から撫でるようにして、全体のまとまりとツヤを整えれば完成です。
それでもワセリンを使いたいあなたへ、プロからの提案
肌が弱く、どうしても専用のスタイリング剤が使えない、という方もいらっしゃるでしょう。そんな方にこそ、知っていただきたいことがあります。
ワセリンは「応急処置」と考える
- 専用スタイリング剤の優位性
ワセリンは、あくまで代用品です。現代では、肌への刺激が少ないオーガニック成分で作られていたり、セット力があるのにお湯だけで簡単に洗い流せたりするような、髪と頭皮のことを考えた優れたスタイリング剤も数多く存在します。 - 本当のヘアケアとは
髪のパサつきが気になるから、保湿のためにワセリンを使う、という場合、それは対症療法にすぎません。本当に必要なのは、なぜ髪がパサつくのかという原因を突き止め、髪質そのものを内側から改善していく、正しいヘアケアです。
最高のヘアセットは、最高の「素髪」と「カット」から
ワセリンを使う、使わないにかかわらず、本当に格好良いヘアスタイルは、土台となる髪そのものと、ベースとなるカットで決まります。
髪質を改善するプロのヘアケア
- あなたに合ったケア方法の診断
私たちプロの理容師は、お客様の髪や頭皮の状態を専門家の視点から正確に診断します。そして、パサつきや乾燥の根本的な原因を突き止め、あなたに本当に合ったシャンプーやトリートメントの選び方、そして日々の正しいケア方法をアドバイスします。髪質そのものが改善されれば、ワセリンに頼る必要もなくなるかもしれません。
スタイリング剤に頼らない「ベースカット」
- 乾かすだけで決まる髪型
究極の理想を言えば、スタイリング剤を何も付けなくても、ある程度まとまり、美しい形になるのが最高のヘアスタイルです。私たちは、お客様一人ひとりの骨格や髪質、生え癖を緻密に計算し、ドライヤーで乾かすだけで美しいシルエットが生まれるような、再現性の高いカットを施します。
敏感肌のための「スタイリング剤選び」
- プロユースの製品知識
私たちは、市販されている製品だけでなく、サロンでしか扱えない、プロユースの肌に優しいスタイリング剤についても豊富な知識を持っています。あなたの肌質と、なりたいスタイル、その両方を諦めることなく両立させる、最適な一品を一緒に見つけ出すお手伝いができます。
まとめ
ワセリンは、正しいやり方と量を守れば、ヘアセットの代用品として使える、非常に便利なアイテムです。しかし、それはあくまで応急処置や、特定の質感出しのためのテクニックと考えるのが賢明です。本当にあなたの髪や頭皮のことを考えるなら、その場しのぎのスタイリングから、髪質そのものを改善する本質的なヘアケアと、スタイリング剤に頼らなくても格好良く決まるプロのカットへと、視点を変えてみませんか。あなたのどんな小さな悩みにも、私たちプロの技術と知識で、真摯にお応えします。
ABOUT ME