【メンズヘアセット】カチモリで創る、究極の無造作ヘア。計算された「抜け感」の作り方
K-POPアイドルや、ファッション感度の高い俳優たちのヘアスタイルでよく見かける、作り込んでいないのに、なぜかおしゃれで目を引く、あの独特の無造作感。
そのスタイルの秘密の一つが、韓国語で「カチモリ」と呼ばれるスタイリング術です。
一見すると、まるで寝癖のようなラフなスタイルですが、実はその裏には、緻密に計算され尽くした「無造作感」と「抜け感」が隠されています。
今回は、今どきのカチモリヘアの作り方と、そのスタイルを成功させるための最も重要な秘訣を、私たちプロの視点から徹底的に解説します。
「カチモリ」とは?ただの寝癖と何が違うのか
「カチモリ(까치머리)」とは、韓国語で「カササギの頭」を意味する言葉で、そこから転じて、鳥の巣のように、あちこちに髪がハネた「寝癖のようなヘアスタイル」を指す言葉として使われています。
しかし、おしゃれなカチモリヘアと、ただの寝癖には、決定的な違いが存在します。
- 清潔感がある
全ての土台として、髪そのものが清潔で、きちんと手入れされていることが絶対条件です。
フケや過度なベタつきがある状態は、ただの不潔な寝癖にしか見えません。 - 計算されたシルエット
一つ一つの毛束はランダムに動いていても、ヘアスタイル全体のシルエットは、ひし形などの美しい形に計算されています。
抑えるべきサイドは抑えられ、ボリュームを出すべきトップは出ている、というメリハリがあります。 - 意図的なハネと束感
ランダムに見える毛先のハネや、繊細な束感は、全てドライヤーやヘアアイロン、そしてスタイリング剤によって、意図的に、そして計算して作られたものです。
この「計算され尽くした無造作感」こそが、カチモリの本質であり、ただの寝癖との境界線なのです。
自宅で挑戦!カチモリヘアセットの基本手順
いくつかのポイントを押さえれば、誰でもカチモリヘアに挑戦することができます。
STEP1:ドライヤーで、根元をランダムに乾かす
まず、髪全体を根元からしっかりと濡らし、タオルドライします。
そして、ドライヤーで乾かす際に、髪を一つの方向にとかしつけるのではなく、頭を左右に振ったり、下を向いたりしながら、あらゆる方向から風を当て、指の腹で地肌を擦るようにして、根元からランダムに乾かしていきます。
この工程が、無造作感の土台となります。
STEP2:ヘアアイロンで、ランダムな動きをプラス
次に、ストレートアイロンを使い、髪に意図的な動きを加えていきます。
毛束を少量ずつ、細かく取ります。
そして、「内巻き(Cカール)」と「外ハネ」を、交互に、そしてランダムに混ぜながら、髪全体に動きをつけていきます。
特に、ハチ周りや後頭部に動きをつけると、頭の形がよく見え、立体感が生まれます。
STEP3:マットワックスを少量、馴染ませる
カチモリの質感は、艶のない「ドライ」な質感が基本です。
そのため、スタイリング剤は、艶の出ないマット系や、クレイ系のハードワックスを選びましょう。
適量を手のひら、指の間まで完璧に伸ばしたら、髪の内側から、空気を含ませるように、下から上に持ち上げるようにして馴染ませます。
STEP4:つまんで、散らして、シルエットを整える
最後に、指先で仕上げていきます。
指先で毛束を細かくつまんで、繊細な束感を創り出します。
そして、アイロンで作ったハネを、さらに指でつまんで、ランダムな方向に散らしていきます。
最後に、鏡で全体のシルエットを確認し、ハネさせる部分と、抑える部分のメリハリを調整して、完成です。
カチモリが映える、おすすめのベースカット
カチモリの無造作な動きを、より簡単に、そして効果的に表現するためには、ベースとなるカットも重要です。
- マッシュショート
丸みのあるシルエットと、無造作な質感の相性は抜群です。
重めに残したトップの髪が、ランダムな動きを表現しやすくしてくれます。 - ウルフカット
襟足部分の髪を長めに残したウルフカットは、その襟足のハネを活かしやすく、よりワイルドで、動きの大きなカチモリスタイルを作ることができます。 - 軽めのレイヤースタイル
髪全体にレイヤー(段)が入っていると、髪の毛一本一本が独立して動きやすくなるため、無造作な質感を非常に簡単に創り出すことができます。
なぜ、究極のカチモリは「プロのカット」から生まれるのか
セルフセットでも楽しむことができるカチモリヘア。
しかし、そのクオリティを、本物の「作品」のレベルにまで高めるには、プロのカット技術が不可欠です。
- 「無造作」を、カットでデザインする
一見、ランダムに見える、あの絶妙なハネや束感。
実はプロの理容師は、お客様の髪質や生えグセを見極め、髪が自然に、そして無造作に動くように、すきバサミやレザー(カミソリ)を使い、毛量や質感を、見えない部分で緻密に調整しているのです。
つまり、「無造作」そのものを、カットの段階でデザインしているのです。 - 清潔感の土台となる「刈り上げ」
どんなにおしゃれなカチモリスタイルでも、耳周りや襟足が伸びていては、一気にだらしない印象になってしまいます。
ベースとして、サイドや襟足を、ツーブロックやフェードカットですっきりと刈り上げておくこと。
このクリーンな部分と、トップの無造作感との、計算されたギャップこそが、スタイルを格上げする鍵となります。 - あなたの髪質を「無造作」に変える、パーマという提案
「自分は直毛だから、動きが出ない…」
そんな方でも、ごく緩い、クセ毛のような質感を再現する「ニュアンスパーマ」をかけることで、誰でも簡単に、毎朝、カチモリの質感を再現できるようになります。
あなたの髪質に合わせた、最適な提案ができるのも、プロならではの強みです。
まとめ
カチモリヘアは、単なる手抜きや寝癖ではありません。
それは、計算され尽くした、緻密な技術の上に成り立つ、高度なスタイリング術です。
そして、その「計算された無造作感」を、毎朝、誰でも簡単に再現できるようにしてくれるのが、全ての土台となる、プロの「ベースカット」に他なりません。
頑張っているように見えないのに、なぜか最高におしゃれ。
そんな究極のスタイルを、あなたも手に入れませんか。
最高の「無造作」は、最高の「基礎」から生まれるのです。
ぜひ一度、ご相談ください。