メンズヘアセットの基本方法|初心者でも失敗しない手順とコツ
髪型は、その人の第一印象を大きく左右する重要な要素です。毎朝のヘアセットが決まれば、その日一日を自信を持って過ごすことができます。しかし、実際には「毎朝なんとなくワックスをつけているだけ」「正しいやり方がわからず、結局うまくいかない」といった悩みを抱えている男性は少なくありません。この記事では、そんな方々のために、メンズヘアセットの基本的な方法を、よくある失敗例とその対策を交えながら、一から丁寧に解説していきます。この記事を読めば、明日からのあなたのスタイリングがきっと変わるはずです。
なぜヘアセットが上手くいかないのか?よくある失敗例
具体的な方法に入る前に、まずはなぜヘアセットが上手くいかないのか、多くの人が陥りがちな失敗パターンを見ていきましょう。ご自身に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
髪がぺたんこに潰れてしまう
- スタイリング剤の付けすぎ
スタイルをキープしようと、ワックスなどのスタイリング剤を大量に付けていませんか。必要以上の量は、その重みでかえって髪を押しつぶし、トップのボリュームがなくなる原因になります。 - ドライヤーでのベース作り不足
スタイリング剤を付ける前の、ドライヤーの段階が不十分な可能性があります。髪の根元がしっかりと乾いておらず、立ち上がっていない状態でセットを始めても、ふんわり感は生まれません。
時間が経つと崩れてしまう
- 寝癖のままセットしている
髪の癖は、一度しっかり濡らしてリセットしないと、時間が経つにつれて元の状態に戻ろうとします。寝癖がついたままの髪に上からスタイリング剤を付けても、根本的な解決にはならず、すぐに崩れてしまいます。 - 仕上げのスプレーをしていない
ワックスやジェルだけで作ったスタイルは、実はまだ未完成です。特に湿気や動きに対しては弱く、固定力が不足しています。最後の仕上げを怠っていることが、崩れの原因かもしれません。
全体的にベタついて見える
- スタイリング剤が均一に伸びていない
スタイリング剤を手のひらで十分に伸ばさず、塊のまま髪に付けてしまうと、一部分だけがベタつく原因になります。清潔感とは程遠い、不潔な印象を与えかねません。 - 髪質に合わない製品選び
ご自身の髪質に対して、油分が多すぎるスタイリング剤を選んでしまっている可能性があります。製品の特性を理解せずに使っていると、ベタつきやすくなります。
これが正解!ヘアセットの基本的な方法と手順
それでは、失敗しないための正しいヘアセットの方法を、5つのステップに分けて解説します。この手順通りに進めれば、誰でも見違えるような仕上がりになります。
ステップ1:髪を根元からしっかり濡らす
- 全ての土台となる「リセット」工程
まずは、スタイリングの土台を整えるために、髪をリセットします。寝癖やうねりを直し、髪を自由自在に動かせる素直な状態にするため、髪の根元を中心にしっかりと濡らしましょう。朝シャワーを浴びるのが最も理想的ですが、時間がない場合はスプレーボトル(霧吹き)などで根元が湿るまで濡らすだけでも効果はあります。
ステップ2:ドライヤーで8割の形を作る
- スタイリングの心臓部
多くの人が勘違いしていますが、ヘアセットの仕上がりはスタイリング剤ではなく、このドライヤーの工程で8割が決まります。まず、タオルでしっかりと水気を拭き取った後、髪全体の根元を乾かします。次に、トップにボリュームを出したり、サイドの膨らみを抑えたり、前髪を上げたりと、自分が作りたいスタイルの大枠をドライヤーの熱と風で作っていきます。最後に冷風を全体に当てることで、作った形が髪に記憶され、崩れにくくなります。
ステップ3:スタイリング剤を正しく選んで付ける
- 適材適所の製品選び
ドライヤーで土台が完成したら、次にスタイリング剤を使います。作りたいスタイルに合わせて、ワックス、ジェル、グリース、オイルなど、最適なものを選びましょう。 - 付け方の基本
スタイリング剤を適量(最初は10円玉サイズくらいから)手に取り、両手を使って、手のひらから指の間まで透明になるまでしっかりと伸ばします。そして、髪の後ろの部分から前へ、髪の内側から外側へと、髪に空気を含ませるように全体に均一に馴染ませていくのが基本です。前髪から付けてしまうと、ベタつきの原因になるので注意しましょう。
ステップ4:シルエットを整え、細部を作る
- 全体のバランス調整
スタイリング剤が髪全体に馴染んだら、鏡を見ながら全体のシルエットを整えます。正面だけでなく、横や後ろからの見た目も意識し、特に「ひし形」のシルエットを目指すと、誰でもバランスの良いスタイルに見えやすくなります。 - 毛束感や動きを出す
全体の形が整ったら、最後にディテールを作り込みます。指先に残ったスタイリング剤を使い、毛束をつまんだり、ねじったりして、髪に動きや立体感を出していきます。
ステップ5:ヘアスプレーでスタイルを固定する
- 崩れを防ぐ最後の砦
完成したスタイルを一日中キープするために、最後の仕上げとしてヘアスプレーを使います。髪から20cmほど離した位置から、全体にふんわりと吹きかけましょう。これで湿気や風、不意な動きから髪型を守るコーティングが完成します。
究極のヘアセット方法は「カット」にある
ここまで、ご自身でできるヘアセットの基本的な方法を解説してきました。この手順をマスターすれば、あなたのスタイリング技術は格段に向上するでしょう。しかし、毎日のセットを最も簡単で、かつ最高に格好良くするための究極の方法は、実は「プロによるカット」そのものにあります。
セットしやすい髪はデザインされている
- 骨格と髪質に合わせた設計
私たちプロの理容師は、お客様一人ひとりの骨格の形、髪の硬さや太さ、毛量、そして生え癖といった、全ての要素をミリ単位で計算した上で、ヘアスタイルをデザインします。どこにボリュームを出し、どこをタイトに抑えるべきかが、ハサミを入れるカットの時点で決まっているのです。 - 再現性の高いカット技術
「サロンでは格好良かったのに、家に帰って自分でやると同じようにはできない」という経験はありませんか。真に優れたカット技術とは、お客様自身がご自宅で、簡単な手順でサロンの仕上がりを再現できるものです。私たちは、その「再現性の高さ」を最も重視しています。
パーマでスタイリング時間を短縮
- 動きやボリュームを記憶させる
直毛で動きが出にくい、あるいは軟毛でボリュームが出ない、といった悩みにはパーマが非常に有効です。髪自体にカールや根元の立ち上がりを記憶させることで、毎朝のスタイリング時間を劇的に短縮し、セットのクオリティを格段に向上させることができます。
プロに教わる「あなただけの方法」
- 正しい知識と技術の伝授
私たちは、ただ髪を切るだけの場所ではありません。お客様の髪質に合った最適なスタイリング剤は何か、ご自宅でできる最も簡単で効果的なセット方法は何か、といったプロの知識と技術を、お客様一人ひとりに合わせて惜しみなくお伝えします。
まとめ
メンズヘアセットは、正しい方法と手順を踏めば、誰でも必ず上達します。今回ご紹介した5つのステップを、ぜひ明日からのスタイリングに取り入れてみてください。しかし、毎日の数分間を、もっと楽に、もっと楽しく、そしてもっと自信に満ちた時間に変えるための一番の近道は、あなたの髪質や骨格を知り尽くしたプロが作る「最高のベース(カット)」を手に入れることです。自己流のセットに悩む日々から卒業し、新しい自分に出会ってみませんか。そのための扉は、いつでも私たちのサロンに開かれています。