メンズヘアセットの新常識「ヘアフォーム」で創る柔らかな質感と動き
メンズのヘアセットといえば、ワックスやジェルを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし近年、パーマスタイルの人気と共に、泡状のスタイリング剤である「ヘアフォーム(ムース)」が再び注目を集めています。とはいえ、「泡でどうやってセットするの?」「ベタついたり固まったりしない?」「どんな髪型に合うんだろう」といった疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。この記事では、ヘアフォームの基本的な知識から正しい使い方までを詳しく解説し、あなたのスタイリングの幅を広げるお手伝いをします。
ヘアフォーム(ムース)とは?他のスタイリング剤との違い
ヘアフォームは、他のスタイリング剤にはない独特の特徴を持っています。ワックスやジェルとの違いを知ることで、その魅力がより深く理解できるはずです。
水分を多く含んだ泡状のテクスチャー
- 髪に馴染ませやすい
きめ細かい泡状であるため、髪一本一本に均一に伸ばしやすいのが最大のメリットです。スタイリング剤が一部分に固まってしまうような付けムラが起こりにくく、ヘアセットに慣れていない初心者の方でも簡単に扱うことができます。 - 自然なツヤ感
製品中に水分を多く含んでいるため、乾燥してパサつきがちな髪に潤いを与え、自然でみずみずしいツヤ感を演出します。ジェルのようにパリッと濡れた質感とは異なり、あくまでナチュラルで健康的な仕上がりになります。
ワックスやジェルとの比較
- セット力と質感
ワックスが得意とする毛束感や、ジェルが作るような硬さではなく、髪全体のボリュームアップや、パーマのウェーブ感を美しく表現することに特化しています。髪を固めすぎることなく、ふんわりと柔らかな質感を一日中キープします。 - 再セットのしやすさ
完全に固めてしまうハードなタイプでなければ、セットした後でも手で触れてスタイルを修正することが可能です。バリバリになることなく、風で乱れても手ぐしで簡単に整えられる自然な仕上がりが魅力です。
ヘアフォームはこんな人・こんな髪型におすすめ
ヘアフォームの特性を理解すると、どのようなスタイルに最も適しているかが見えてきます。特に、以下のような方には最適なスタイリング剤と言えるでしょう。
パーマをかけている方
- ウェーブを綺麗に再現
ヘアフォームは、パーマで作り出したウェーブやカールを再現するために開発されたと言っても過言ではありません。少し濡れた髪に揉み込むだけで、パーマがかったリッジ(カールの立体感)がくっきりと蘇り、まるでサロン帰りのようなスタイルが完成します。
くせ毛を活かしたい方
- 自然な癖を魅力に変える
広がりやすく、扱いにくいと思われがちな天然のくせ毛も、ヘアフォームの力を借りれば、その人だけの個性的な魅力に変わります。パサつきを抑えながら適度なまとまりを与え、生まれ持った髪の動きを活かしたスタイリッシュなヘアスタイルを楽しむことができます。
軟毛・細毛でボリュームが欲しい方
- 根元からふんわりと
髪が細く、トップにボリュームが出にくいという悩みを持つ方にもおすすめです。ヘアフォームを髪の根元付近に馴染ませてからドライヤーで乾かすことで、髪の根元を自然に立ち上げ、重さを感じさせないふんわりとしたボリューム感を作ることができます。
プロが教えるヘアフォームの正しい使い方
ヘアフォームのポテンシャルを最大限に引き出すためには、正しい使い方をマスターすることが重要です。簡単なステップで、プロのような仕上がりを目指しましょう。
準備と基本的な手順
- 1. 髪をしっかりと濡らす
ヘアフォームは、髪が水分を含んだ状態で最も効果を発揮します。朝のスタイリングであれば、シャワー後やお湯で髪を濡らした後、タオルで水滴が落ちない程度に拭いた「ハーフウェット」の状態からスタートします。 - 2. フォームを適量手に取る
製品の缶をよく振ってから、ピンポン玉1個から2個分くらいを目安に手に取ります。一度にたくさん付けすぎると、乾きにくくなったりベタつきの原因になったりするため、まずは少量から試すのがポイントです。 - 3. 髪に揉み込むように馴染ませる
手のひら全体に広げたフォームを、髪を持ち上げるように「くしゅくしゅ」と優しく揉み込みながら全体に馴染ませていきます。パーマのカールやウェーブをしっかりと出したい部分には、特に丁寧に行いましょう。 - 4. 自然乾燥またはドライヤーで仕上げる
濡れたような質感を長く楽しみたい場合は、そのまま自然乾燥させるのがおすすめです。よりふんわりとさせたい場合や、時間がない時には、ドライヤーの弱風でカールを崩さないように優しく乾かします。パーマヘア専用のディフューザー(ドライヤーの先端に付けるアタッチメント)を使うと、熱を分散させながら効率良く乾かすことができます。
ヘアフォームを活かす鍵は「ベースの髪」にある
正しい使い方をマスターすれば、ヘアフォームは非常に強力な武器になります。しかし、その効果を本当に最大限に引き出すためには、スタイリングの土台となる髪そのものの状態が何よりも重要です。
フォームが映えるカット技術
- 動きを計算したデザイン
パーマやくせ毛の美しい動きは、ベースとなるカット技術によって大きく左右されます。プロの理容師は、お客様がヘアフォームでスタイリングした時に、最も魅力的なウェーブやカールが出るように、毛量や質感を緻密に調整しながらカットを行います。 - 再現性の高いベース作り
お客様がご自宅でも簡単にサロンスタイルを再現できること。それがプロの仕事です。ロッドの太さや巻き方、薬剤の選定まで、髪質に合わせて工夫することで、ただパーマをかけるだけでなく、スタイリングしやすいベースを作り上げます。
髪のコンディションを整える
- 潤いのある髪が基本
ヘアフォームは水分を活かすスタイリング剤ですが、髪自体が乾燥し、ダメージが進行しているとその効果は半減してしまいます。美しいウェーブは、潤いに満ちた健康な髪があってこそ生まれます。サロンでのトリートメントなどで、髪のコンディションを良好に保つことも非常に大切です。
あなたに最適な一本を見つける
- プロによる的確な製品選び
一口にヘアフォームと言っても、セット力の強さや質感、トリートメント効果の有無など、様々な種類の製品が存在します。プロに相談すれば、あなたの髪質やなりたいスタイルを的確に判断し、無数にある選択肢の中から最適な一本を提案してもらうことができます。
まとめ
メンズヘアセットにおけるヘアフォームは、特にパーマやくせ毛スタイルの方にとって、柔らかな質感と自然な動きを表現できる、非常に魅力的なスタイリング剤です。その使い方をマスターすることも大切ですが、そのポテンシャルを最大限に引き出すには、あなたの髪質や骨格に合わせて計算されたカットやパーマ、そして日々のヘアケアが不可欠です。今までワックスやジェルしか使ってこなかったという方も、ぜひ一度ヘアフォームを試し、ご自身の髪の新たな可能性を発見してみてはいかがでしょうか。どんな製品が合うかわからない、そんな時は、ぜひお気軽に私たちプロの理容師にご相談ください。