ヘアカラーの染め直し、適切なタイミングと失敗しないための注意点

「今の髪色に飽きてきたから、次は違う色に挑戦したい」「セルフカラーをしたら、思ったより暗くなってしまった」など、ヘアカラーの「染め直し」を考える理由は人それぞれです。しかし、一度染めた髪に再びカラーリングを施すのは、想像以上にデリケートな作業です。適切な知識なく行ってしまうと、取り返しのつかない失敗や、髪への深刻なダメージに繋がる可能性があります。この記事では、ヘアカラーの染め直しを成功させるための、適切なタイミングや知っておくべき注意点について詳しく解説します。

染め直しを考える、主な2つのケース

まず、ご自身がどのような理由で染め直しを検討しているのかを整理してみましょう。目的によって、アプローチの方法も変わってきます。

染め直しの目的

• イメージチェンジのための染め直し
  現在のヘアカラーに満足はしているものの、季節の変わり目や気分の変化で、全く違う色味や明るさに変えたいというケースです。暗い色から明るい色へ、またはその逆など、計画的にスタイルチェンジを目指します。
• カラーの失敗を修正するための染め直し
  セルフカラーで起こりがちな、染めムラや、色が思ったより暗すぎた・明るすぎたといったトラブルを修正したいケースです。できるだけ早く、きれいな状態に戻したいという緊急性の高い目的と言えます。

染め直しの前に知っておくべき「適切な期間」

染め直しを考えた時、多くの方が「すぐにでも染め直したい」と感じるかもしれませんが、焦りは禁物です。髪と頭皮の健康を守るために、適切な期間を空けることが非常に重要です。

期間を空けるべき理由

• 髪と頭皮の休息期間
  ヘアカラーは、少なからず髪と頭皮に化学的な負担をかける施術です。特にアルカリカラーを短期間に繰り返すと、髪のキューティクルが剥がれ落ち、ダメージが深刻化します。また、頭皮のバリア機能が低下し、かぶれや炎症を引き起こすリスクも高まります。
• 最低でも1週間は空ける
  どのような理由であれ、染め直しを行う際は、前回のカラーリングから最低でも1週間、できれば2週間から3週間は期間を空けることが推奨されます。この間に、髪と頭皮の状態を落ち着かせることが大切です。
• 安易な「黒染め」の注意点
  失敗した髪色を隠そうと、安易に市販の黒染め剤を使用するのは注意が必要です。黒染めに含まれる濃い染料は、一度髪の内部に入ると非常に抜けにくく、次に髪を明るくしたいと思った時に、深刻なムラやダメージの原因となります。

なぜセルフでの染め直しはリスクが高いのか

特に失敗を修正したい場合、セルフでの染め直しは、状況をさらに悪化させる可能性が非常に高く、避けるべき選択と言えます。

セルフ染め直しが危険な理由

• 髪の状態が均一ではない
  染め直しが必要な髪は、新しく生えてきた地毛の「新生毛」、前回染めた「既染毛」、そしてダメージが蓄積した「毛先」など、部分によって状態が全く異なります。ここに同じ薬剤を塗布すれば、色がバラバラに入ってしまい、さらにひどいムラになるのは必然です。
• 必要な薬剤の知識がない
  暗くなった髪を明るくするためには、脱染剤やブリーチが必要な場合があります。これらの薬剤は非常にパワーが強く、専門知識のないまま使用すると、髪が深刻なダメージを負う可能性があります。

プロが行う「染め直し（カラーコレクション）」の技術

理容室やサロンでは、染め直しのことを「カラーコレクション（色補正）」と呼ぶこともあります。これは、プロの専門知識と高度な技術が求められる、非常に繊細な施術です。

プロの染め直しプロセス

• 正確な履歴と状態の診断
  まずプロは、お客様がいつ、どんな薬剤で、どのように染めたのかを丁寧にヒアリングし、現在の髪の状態を正確に診断することから始めます。これが、成功への最も重要な第一歩です。
• 緻密な薬剤の塗り分け
  髪の各部分の状態に合わせて、薬剤の強さや種類、放置時間をミリ単位・分単位でコントロールします。この緻密な塗り分け作業によって、複雑な状態の髪でも、均一で美しい色に仕上げることが可能になります。
• ダメージへの最大限の配慮
  髪の状態に応じて、不要な色素だけを優しく取り除く脱染剤を使用したり、髪の強度を高めるトリートメントを施術に組み込んだりと、ダメージを最小限に抑えるための最善策を尽くします。

まとめ

ヘアカラーの染め直しは、新しい自分に出会うためのワクワクするイベントであると同時に、髪の未来を左右する重要な施術でもあります。特に、セルフカラーの失敗を修正したい場合、焦って自分で対処しようとすることは、さらなる失敗と後悔を招く可能性が非常に高いです。複雑に絡み合った髪の状態を一度リセットし、本当に理想とする髪色を安全に手に入れるためには、専門家である理容師の知識と技術が不可欠です。悩んだ時は、まず信頼できるプロに相談することから始めてみてください。

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古賀昌平(こがしょうへい)

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天神大牟田線・西鉄小郡駅前のメンズヘアサロン「FRESHNESS BARBER shop」の広報担当です。福岡県出身。学生時代は水泳部に所属。趣味は、漫画やアニメを見ること（HUNTER×HUNTER、NARUTO -ナルト-、BLEACHなど）。