ヘアカラーの「リタッチ」とは？賢く美髪を維持するメンテナンス術

ヘアカラーを継続して楽しむ人ほど、賢く取り入れているメンテナンス方法が「リタッチ」です。伸びてきた根元の部分だけを的確に染め直すこの技術は、髪全体への負担を抑えながら、いつでも染めたてのような美しいスタイルをキープするための、まさに鍵となる存在です。この記事では、リタッチの基本的な知識から、そのメリット、そしてプロの技術がなぜ重要なのかを詳しく解説していきます。

まずは基本から、ヘアカラーの「リタッチ」を理解する

リタッチとは、具体的にどのような施術を指すのでしょうか。その定義と目的を正しく理解しておきましょう。

リタッチの定義と目的

• 伸びてきた根元部分だけを染める技術
  ヘアカラーをしてから時間が経ち、新しく生えてきた地毛の部分（新生部）だけを、すでに染まっている毛先（既染部）の色合いに合わせて、的確に染め直す技術のことを「リタッチ」または「リタッチカラー」と呼びます。
• リタッチの主な目的
  その目的は大きく二つあります。一つは、地毛と染めた部分の色の差、いわゆる「プリン状態」を解消し、ヘアスタイル全体の色の均一性を保つこと。そしてもう一つが、すでに染まっている毛先への不要なダメージを避け、髪の健康を守ることです。

なぜ毎回「フルカラー」ではなく「リタッチ」が良いのか

根元が伸びてくるたびに、毎回髪全体を染め直す「フルカラー」を繰り返すのではなく、間にリタッチを挟むことには、多くのメリットがあります。

リタッチのメリット

• 髪のダメージを最小限に抑える
  これがリタッチの最大のメリットです。すでに一度染まっている毛先の部分は、カラーのたびに薬剤に触れると、その分ダメージが蓄積し、パサつきや切れ毛の原因となります。必要な根元の部分だけを染めることで、髪全体の健康を長期的に維持することができます。
• 色のムラや沈みを防ぐ
  ダメージが進行している毛先に、根元と同じ強い薬剤を重ねてしまうと、色が入りすぎて部分的に暗くなってしまう「色の沈み込み」という現象が起こることがあります。リタッチは、こうした意図しない色のムラや沈みを防ぐ上でも非常に有効です。
• 経済的・時間的な負担の軽減
  一般的に、使用する薬剤の量が少なく、施術範囲も狭いため、サロンによっては髪全体を染めるフルカラーよりも、リタッチの方が料金が安く、施術時間も短く済む場合があります。

リタッチを行う、最適なタイミングと頻度

では、どのくらいの期間でリタッチを行うのがベストなのでしょうか。

リタッチの目安

• 根元が1.5cmから2cm伸びたら
  髪は1ヶ月におよそ1cm伸びるため、「1ヶ月半から2ヶ月」が、多くの方にとって根元の色の差が気になり始め、リタッチを考える最適なタイミングと言えます。
• スタイルによる違い
  ベリーショートなどの短いヘアスタイルや、ブリーチをしたハイトーンカラーで地毛の黒との色の差が激しい場合は、根元の伸びがより目立ちやすいため、1ヶ月程度の早めのメンテナンスがおすすめです。
• 放置しすぎのデメリット
  根元が3cm以上など、あまりに伸びすぎてしまうと、根元の中でも頭皮に近い部分と、そうでない部分とで温度差が生まれ、リタッチだけで均一に染めるのが難しくなる場合があります。

セルフリタッチがプロの仕上がりに敵わない理由

「根元だけなら、自分でも簡単にできそう」と思うかもしれませんが、実はリタッチは、プロの技術の中でも特に正確性と繊細さが求められる、非常に難易度の高い施術です。

プロの技術の重要性

• 褪色した毛先との完璧な色合わせ
  プロの理容師は、紫外線や日々のシャンプーで微妙に褪色した「現在の毛先の色」をプロの目で正確に見極めます。そして、その色に合わせて、根元を染めるための薬剤を、複数の色を混ぜ合わせてオーダーメイドで調合します。これは、既製品である市販の薬剤では決して不可能です。
• 境目を消す、ミリ単位の塗布技術
  前回染めた部分に薬剤が重なってダメージを与えないよう、かつ、塗り残しがないように、根元の伸びた部分「だけ」を正確に塗り分ける。このミリ単位の精密な塗布技術こそが、境目のない自然な仕上がりを生み出すための、プロの真骨頂です。
• 髪全体のコンディションを管理する視点
  プロは、ただ根元を染めるだけでなく、その時の毛先の状態を見て、必要であればダメージの少ない薬剤で色味とツヤを補充する「トナー」という技術を組み合わせるなど、常に髪全体が最も美しく見えるためのトータルな提案をすることができます。

まとめ

「リタッチ」は、お気に入りのヘアカラーを、髪の健康を守りながら長く楽しむための、非常に賢く、そして合理的なメンテナンス方法です。しかし、その簡単そうに見える作業の裏側には、プロの理容師が持つ、色彩に関する深い知識と、精密な塗布技術、そして髪全体を見通す広い視野が詰まっています。セルフでの失敗リスクを避け、いつでも完璧なヘアスタイルを維持するためには、あなたの髪質や履歴を最も深く理解してくれる、プロの理容師にお任せください。

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古賀昌平(こがしょうへい)

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天神大牟田線・西鉄小郡駅前のメンズヘアサロン「FRESHNESS BARBER shop」の広報担当です。福岡県出身。学生時代は水泳部に所属。趣味は、漫画やアニメを見ること（HUNTER×HUNTER、NARUTO -ナルト-、BLEACHなど）。