明るい髪から暗くするヘアカラー、ただの黒じゃない「暗髪」のすすめ

就職活動やインターンシップ、あるいは気分を一新したい時など、それまで楽しんできた明るい髪色を落ち着いたトーンに戻したいと考える男性は多くいます。しかし、その際に「暗くする＝黒染め」と短絡的に考えてしまうのは、少しもったいないかもしれません。最近では、ただ真っ黒にするのではなく、透明感や柔らかさを残した、おしゃれな「暗髪（くらかみ）」が人気を集めています。この記事では、よくある失敗を避けながら、理想の暗髪を手に入れるための重要なポイントを詳しく解説します。

なぜ今、ただの黒ではない「暗髪」が選ばれるのか

「暗髪」とは、黒髪に近いけれど、光に当たるとほんのり色味や透明感が感じられる、地毛のように自然なダークトーンカラーのことです。黒染めとは一線を画す、その洗練された魅力が支持されています。

暗髪の魅力

• 透明感と柔らかさ
  黒染め特有の、絵の具で塗りつぶしたような重たい印象がなく、光に透けるような透明感を保つことができます。これにより、髪質が柔らかく見え、自然で優しい雰囲気を演出できます。
• ファッションとの相性
  重くなりすぎないため、黒髪よりも垢抜けた印象に見え、様々なファッションに合わせやすいのが特徴です。清潔感や誠実な印象はしっかりと保ちつつ、さりげないおしゃれ感も両立できます。
• 色落ちの過程も楽しめる
  プロが計算して染めた暗髪は、色が落ちていく過程で、徐々にまろやかなブラウンやグレージュへと変化していきます。その褪色のプロセスまで計算に入れて、長く楽しめるようにデザインすることも可能です。

「暗くする染め直し」で起こりがちな3つの落とし穴

「明るい髪に暗い色を入れるだけ」と軽く考え、セルフカラーで染め直すと、予期せぬトラブルに見舞われることが少なくありません。

陥りやすい失敗例

• 落とし穴1
  色が入りすぎる「沈み込み」
  ブリーチなどで明るくした髪は、ダメージによって染料を過剰に吸い込む性質があります。そのため、カラー剤を塗布すると、想定していたよりもはるかに暗く、重たい色に仕上がってしまう「沈み込み」という現象が起きやすくなります。
• 落とし穴2
  すぐに色が抜ける「褪色」
  ダメージによって髪の内部が空洞化していると、入れた色素を髪の中に留めておくことができません。染めた直後は暗くても、シャンプーのたびに色が流れ出て、数週間後には金髪に近い状態に戻ってしまうことがあります。
• 落とし穴3
  意図しない「色味の変化」
  明るい髪に残っている黄色みと、落ち着いた色を出そうとして選んだアッシュ系のカラー剤（青系の色素）が混ざり合うと、化学反応で緑色っぽく発色してしまうケースもよく見られます。

理想の暗髪を叶えるためのオーダーのポイント

サロンで染め直す際に、いくつかのポイントを押さえておくだけで、理想の仕上がりにぐっと近づきます。

カウンセリングでの伝え方

• 「黒染め」ではなく「暗髪」と伝える
  もしあなたが、将来的にまた明るくする可能性を残したい、あるいは透明感が欲しいと考えているなら、「黒染めはしたくないです。地毛のような自然な暗髪にしてください」と伝えることが非常に重要です。
• 将来のプランを共有する
  「来年にはまた明るくしたい」「しばらくはこの暗さを維持したい」といった、あなたの今後のプランを理容師に共有しましょう。それを聞くことで、プロは次に繋がりやすい薬剤を選ぶなど、最適な提案をしてくれます。
• 見本となる写真を用意する
  言葉だけでは伝わりにくい微妙な色合いは、理想とするスタイルの写真を見せるのが最も確実です。SNSなどで見つけたイメージを保存しておきましょう。

プロの技術が創り出す、計算された「暗髪」

品のある美しい暗髪は、髪の状態を正確に読み解き、緻密な計算のもとに行われるプロの技術の結晶です。

プロフェッショナルな施術工程

• 髪の状態に合わせた「前処理」
  色が沈みすぎたり、すぐに抜けたりするのを防ぐために、染める前の髪に、不足している栄養分やブラウンの色素を補給する「前処理」を行うことがあります。これは、美しい仕上がりと色持ちを良くするための重要な工程です。
• 色落ちを防ぐための「色素調合」
  プロは、ただ暗い色の薬剤を単体で使うことはほとんどありません。色持ちを良くするためのブラウンの色素や、褪色してもきれいに見える補色（紫など）を、お客様の髪の状態に合わせてミリグラム単位で調合しています。
• 色を定着させる「後処理」
  カラー施術後、薬剤の影響でアルカリ性に傾いた髪を、専用のトリートメントで本来の弱酸性に戻します。これにより、開いていたキューティクルがキュッと引き締まり、色素の流出を防ぎ、ツヤのある美しい髪に仕上がります。

まとめ

明るい髪から暗い髪への染め直しは、ただ色を暗くするだけの単純な作業ではありません。「暗髪」という洗練された選択肢は、あなたの印象をより誠実で、おしゃれなものに変える力を持っています。その繊細な色合いと美しい質感を完璧に表現するためには、髪の状態を正確に読み解き、緻密な計算ができるプロの理容師の存在が不可欠です。失敗して後悔する前に、ぜひ一度、信頼できる専門家にご相談ください。

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古賀昌平(こがしょうへい)

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天神大牟田線・西鉄小郡駅前のメンズヘアサロン「FRESHNESS BARBER shop」の広報担当です。福岡県出身。学生時代は水泳部に所属。趣味は、漫画やアニメを見ること（HUNTER×HUNTER、NARUTO -ナルト-、BLEACHなど）。