ヘアカラーをキープする新常識。色落ちの過程まで楽しむプロの技術とは
sho0202
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
サロンで手に入れた理想のヘアカラー。多くの人は、その美しい色が失われる「色落ち」を、防ぐべきネガティブな現象だと考えています。しかし、本当に優れたヘアカラーは、時間が経ってもその美しさを失いません。色が変化していく過程さえもデザインの一部として計算されているのです。
この記事では、「色落ちを防ぐ」という従来の考え方から一歩進み、カラー直後から次回のサロン訪問まで、変化の全過程を美しく楽しむための「新常識」を、プロの理容師の視点から解説します。
Contents
前提知識:「綺麗な色落ち」と「汚い色落ち」の違いはどこにあるのか
すべての色落ちが同じではありません。時間が経つほどに魅力が増すカラーと、ただ色が抜けて汚く見えてしまうカラーには、施術の段階で生まれる決定的な違いが存在します。
汚い色落ちの原因
- 不均一なベース
ブリーチのムラがあったり、髪のダメージレベルが場所によって大きく異なったりすると、色の抜け方がまばらになり、汚い印象を与えます。 - 残留色素の影響
日本人の髪に残りやすい赤みや黄みをブリーチで十分に削りきれていないと、上に乗せた寒色系の色が抜けたときに、ギラついた品のない色味が表面化してしまいます。
綺麗な色落ちの条件
- 完璧に均一なベース
どこを見てもムラなく、均一な明るさに整えられた髪は、色が抜けていく過程も均一で美しく、グラデーションのように自然に変化していきます。 - 計算されたカラー調合
色が抜けるスピードが異なる染料を巧みに組み合わせることで、特定の好ましくない色味が出るのを防ぎ、褪色しても美しい色合いを保ち続けます。これら全てが、プロの専門技術の根幹をなしています。
サロンだからできる「時間軸をデザインする」カラー技術
プロの理容師は、お客様がサロンの椅子を立った瞬間のことだけを考えているわけではありません。1週間後、1ヶ月後のお客様の髪がどうなっているか、その「時間軸」までをデザインしています。
技術1:褪色計算と染料のレイヤリング
- 色の変化を予測する
プロは、お客様の髪質やライフスタイルから色の抜けやすさを予測し、カラーを調合します。例えば、アッシュ系カラーの場合、最も抜けやすい青系の色素が抜けた後に、ベースの黄色と混ざらないよう、補色である紫の色素を微量に加える、といった緻密な計算が行われています。
技術2:髪の体力を残すダメージコントロール
- 美しい土台作り
色素がしっかりと定着し、美しく色落ちしていくためには、土台となる髪自体が健康的でなければなりません。ダメージを最小限に抑える「ケアブリーチ」の選定や、カラー後に髪を弱酸性の安定した状態に戻す「pHコントロール」といった施術は、美しい色落ちの実現に不可欠です。
「綺麗な色落ち」をサポートするライフスタイル別セルフケア
サロンで創り上げられた「美しい色落ち」のデザインを最大限に活かすためには、ご自身のライフスタイルに合わせたセルフケアが重要になります。
アウトドアやスポーツが趣味の方
- 紫外線と汗への対策
紫外線は色褪せの、汗に含まれるアルカリ性は色落ちの直接的な原因です。外出時は髪用のUVカットスプレーを活用し、運動後や汗をかいた後はできるだけ早く髪を洗い、弱酸性の状態に戻してあげることが大切です。
ヘアアイロンを毎日使う方
- 熱ダメージからの保護
過度な熱は、髪のタンパク質を硬化させ、染料を破壊します。ヘアアイロンを使用する際は、温度を160℃以下に設定し、必ず事前に熱から髪を守る「ヒートプロテクト剤」を使用する習慣をつけましょう。
デスクワーク中心であまり汗をかかない方
- 過度な洗浄を避ける
汗や皮脂の分泌が少ない場合、毎日のシャンプーが過度な洗浄となり、色落ちを早めている可能性があります。髪のべたつきが気にならない日は、お湯だけで優しくすすぐ「湯シャン」を取り入れるなど、洗いすぎを防ぐことも有効なケアの一つです。
それでも色落ちが気になった時の「駆け込み寺」としてのサロン活用法
ライフスタイルや髪質によっては、どうしても特定の色が早く抜けてしまうこともあります。そんな時は、次のフルカラーまでの間にサロンを賢く活用しましょう。
カラーとカラーの間の「メンテナンスカラー」
- 色味の補充
全体を染め直すほどではないけれど、少し色味がぼやけてきたという場合に最適なのが、短時間でできるメンテナンスカラーです。シャンプー台で行えるカラートリートメントや、薄い染料で色味だけを補うトナー施術など、髪への負担を最小限に抑えつつ、カラーの鮮度を蘇らせることができます。
プロによる現状診断とケアプランの見直し
- 定期的な健康診断
季節の変化やライフスタイルの変化によって、髪の状態や最適なケア方法は変わります。定期的にサロンでプロに髪の状態を診断してもらい、自宅でのケア方法が合っているかを見直すことで、常により良いコンディションを保つことができます。
まとめ
ヘアカラーを長く楽しむための秘訣は、色落ちを単に「防ぐ」対象と捉えるのではなく、質の高い施術によって「美しい色落ち」を手に入れ、その変化の過程さえも楽しむという新しい視点を持つことです。それは、お客様の1ヶ月後、2ヶ月後の髪の未来までをデザインしてくれる、信頼できる理容師との出会いから始まります。ぜひ一度、あなたの髪の未来について、プロに相談してみてはいかがでしょうか。
ABOUT ME