プロが教えるグリースの馴染ませ方|ムラなく仕上げる基本テクニック
ヘアスタイリングが思うように決まらない、その原因の多くは、実はスタイリング剤が髪に均一に「馴染んでいない」ことにあります。自分では全体に付けたつもりでも、髪の表面だけにしか付いていなかったり、一部分にだけ固まって付いていたりすることは、非常によくある失敗例です。
特に、ヘアグリースはその特性上、この「馴染ませ方」一つで、仕上がりの美しさが劇的に変わってきます。この記事では、あなたのスタイリングをワンランク上のものにする、プロが実践するグリースの正しい馴染ませ方の基本と、そのテクニックについて詳しく解説していきます。
なぜ「馴染ませ方」がスタイリングの鍵を握るのか
まず、なぜスタイリング剤を髪に均一に馴染ませることが、それほどまでに重要なのでしょうか。
ムラのある仕上がりを防ぐ
スタイリング剤が均一に馴染んでいないと、艶が出ている部分とパサついている部分が混在し、スタイルに統一感がなく、どこか清潔感に欠ける印象を与えてしまいます。均一に馴染ませることで初めて、計算された美しい質感が生まれます。
スタイルの持続性を高める
髪の毛一本一本がスタイリング剤でコーティングされることで、湿気などの外部からの影響を受けにくくなり、作ったスタイルが一日中崩れにくくなります。
馴染ませる前の準備:2つの重要なポイント
グリースをスムーズに、そして効果的に馴染ませるためには、髪に付ける前の準備が非常に重要です。
ポイント1:髪は「ハーフウェット」の状態が最適
グリースが最も伸びやすく、髪全体に馴染ませやすいのは、タオルドライ後の、髪に水分が適度に残っている「ハーフウェット」の状態です。髪が持つ水分が、グリースを運ぶ潤滑油のような役割を果たしてくれます。
ポイント2:手のひらで「透明になるまで」完全に伸ばす
手に取ったグリースは、必ず両方の手のひらと指の間まで使い、透明になるまでしっかりと擦り合わせてください。固形のグリースを、液体状に近づけるようなイメージです。これが、髪に付けた際にダマやムラになるのを防ぐための絶対条件です。
プロが実践する、グリースの正しい馴染ませ方
準備が整ったら、いよいよ髪に馴染ませていきます。ここでの手の動かし方が、プロとアマチュアの大きな違いを生み出します。
ステップ1:髪の内側から、シャンプーするように大胆に
多くの方がやりがちな失敗は、髪の表面から撫でるように付けてしまうことです。正しい馴染ませ方の最大のコツは、後頭部や頭頂部の「髪の内側」から指を入れ、根元付近(頭皮には直接付けないように注意)から毛先に向かって、まるで髪をシャンプーするかのように、ワシャワシャと少し大胆に手を動かすことです。
ステップ2:下から上へ、空気を含ませるように
髪の内側全体にグリースが行き渡ったら、次にサイドや前髪も同様に、下から上へと髪を持ち上げるようにして、空気を含ませながら馴染ませていきます。この段階では、まだ完璧な形を作る必要はありません。まずは髪の毛一本一本にグリースをコーティングさせることだけを意識してください。
ステップ3:最後に全体の毛流れを整える
髪全体にグリースが均一に馴染んだことを確認したら、最後に手ぐしやコームを使い、あなたが作りたいスタイルの毛流れやシルエットへと整えていきます。ここまでくれば、髪は非常に素直に言うことを聞いてくれるはずです。
「馴染ませやすさ」を追求したサロン専売品
日々のスタイリングを快適でストレスのないものにするためには、グリース自体の「馴染ませやすさ(操作性)」が、実はセット力や艶と同じくらい重要です。サロンで私たちが使用するプロ仕様の製品は、どんな髪質にもスムーズに対応できるよう、少量でも驚くほど伸びが良く、髪にすっと馴染むようにテクスチャーが緻密に設計されています。
まとめ
ヘアグリースの正しい馴染ませ方は、「最適な髪の状態で」「手のひらで完全に伸ばし」「髪の内側から大胆に」という三つのポイントが鍵を握ります。この基本をマスターするだけで、これまで悩んでいたスタイリングのムラがなくなり、仕上がりのレベルが格段に向上することを、きっと実感していただけるはずです。ぜひ、このプロのテクニックを日々のスタイリングに取り入れてみてください。