グリースが固まらない理由とは?そのメリットと活かし方を解説
ヘアスタイリング剤を選ぶ時、「セットした後に固まるかどうか」は、仕上がりの質感を左右する非常に重要なポイントです。ヘアジェルのようにパリッと固まるタイプがある一方で、ヘアグリースは時間が経っても固まらないという特徴を持っています。この「固まらない」という性質に、疑問を感じたり、セット力が足りないのではと不安に思ったりする方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実はこの「固まらない」という特性こそが、ヘアグリースが持つ最大の魅力であり、多くのメリットを生み出しているのです。この記事では、グリースが固まらない理由とその仕組み、そしてその特性を活かしたスタイリング方法について詳しく解説していきます。
グリースが固まらない仕組みと理由
まず、なぜグリースは固まらないのでしょうか。その答えは、主成分の違いにあります。例えば、固まるスタイリング剤の代表であるジェルは、水分を主成分としています。髪に付けた後、時間と共に水分が蒸発していくことで、配合されている樹脂成分が固まり、スタイルを強力にロックするのです。
一方、ヘアグリースの主成分は、油分や保湿成分といった、蒸発しにくい原料で構成されています。そのため、時間が経過しても水分のように蒸発することがなく、製品そのものの質感が維持されます。つまり、グリースは髪を「固める」のではなく、その粘性や油分によって髪の毛一本一本をコーティングし、束感とまとまりを生み出すことで「形を整える」スタイリング剤なのです。
「固まらない」ことによるスタイリング上のメリット
「固まらない」と聞くと、スタイルが崩れやすいというデメリットを想像するかもしれませんが、実際には多くのメリットが存在します。
手直しが何度でもできる(再整髪性)
グリースが持つ最大のメリットは、スタイリングの「再整髪性」にあります。固まらないため、例えば強風で髪型が乱れてしまったり、一度帽子をかぶってスタイルが崩れてしまったりしても、手ぐしやコームで簡単にもとの形に手直しすることができます。この利便性は、一日中アクティブに過ごす方にとって大きな魅力となるでしょう。
自然で柔軟な仕上がり
髪がパリパリに固まらないため、仕上がりは非常に自然で、髪本来が持つ柔らかさや動きを損ないません。作り込みすぎない、こなれた雰囲気を演出したい場合に最適です。触れてもごわつくことがなく、柔軟な質感を保ち続けます。
固まらないグリースが活きるヘアスタイル
この「固まらない」という特性は、特に以下のようなヘアスタイルでその魅力を最大限に発揮します。
パーマスタイル
パーマのカールやウェーブを固めることなく、艶と潤いを与えながら、柔らかな動きを活かしたスタイリングが可能です。パサつきがちなパーマヘアに、みずみずしい束感を与えてくれます。
毛流れを活かすナチュラルスタイル
センターパートやマッシュスタイルなど、自然な毛流れを重視するスタイルにも適しています。髪を固めずにまとまりを与えることで、決めすぎないエフォートレスな雰囲気を演出します。
「セット力が心配」な場合のグリースの選び方
「固まらない」イコール「セット力がない」というわけではありません。グリースにも、髪をまとめる力の強弱があり、製品によってソフトタイプからスーパーハードタイプまで様々です。髪質が硬い方や、作ったスタイルを長時間キープしたい方は、セット力の強いハードタイプのグリースを選べば、固まることなくしっかりとスタイルを維持することが可能です。どうしても崩れが気になる場合は、仕上げに全体へ軽くヘアスプレーをかけるという方法も有効です。
あなたに合うグリースをサロンで見つける
グリースは「固まらない」という共通の特性を持ちながらも、そのセット力、艶感、テクスチャーは製品ごとに千差万別です。ご自身の髪質や理想のヘアスタイルに本当に合ったグリースを見つけるためには、髪のプロフェッショナルであるスタイリストに相談するのが最も確実な方法です。サロンで取り扱っている製品は、操作性や仕上がりの質感にこだわって作られた高品質なものが多く、あなたの新たな魅力を引き出す一品がきっと見つかります。
まとめ
ヘアグリースが固まらないのは、その成分による特性であり、それが「何度でも手直しができる」「自然な仕上がりになる」といった、他のスタイリング剤にはない大きなメリットを生み出しています。この特性を正しく理解し、ご自身の目指すスタイルに合わせて活用することで、スタイリングの幅は格段に広がります。