グリースとヘアオイルの使い分け|混ぜても良い?効果的な併用テクニック
メンズスタイリングの世界において、髪に「艶」を与えることは、清潔感や品格、そして大人びた印象を演出するための重要なテクニックです。その艶出しの代表的なアイテムとして、「ヘアグリース」と「ヘアオイル」が挙げられますが、この二つの違いや、正しい使い分けについて、詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。
「これらは一緒に使っても良いのだろうか?」「混ぜて使うことはできるのだろうか?」そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、似ているようで全く異なる、ヘアグリースとヘアオイルの役割と、それぞれの魅力を最大限に引き出すための、プロが実践する効果的な使い分け・併用テクニックについて詳しく解説していきます。
似ているようで全く違う、二つの役割
まず、グリースとヘアオイルの最も根本的な違いは、その主な使用目的にあります。この違いを理解することが、正しく使い分けるための第一歩です。
ヘアグリースは「スタイリング」のためのアイテム
ヘアグリースは、髪にまとまりとセット力を与え、七三分けやオールバックといった、特定のヘアスタイルを作り、それを維持するための「スタイリング剤」です。その艶は、あくまでスタイルを構成する要素の一つです。
ヘアオイルは「ヘアケア」のためのアイテム
一方、ヘアオイルの主な目的は、髪のパサつきを抑えて保湿し、ダメージを補修し、指通りを滑らかにするための「ヘアケア剤」です。ドライヤーの熱から髪を守ったり、髪のコンディションを整えたりする役割を担います。
【基本の使い分け】セット力が必要かどうか
この二つをどう使い分けるか、その最もシンプルな判断基準は「セット力が必要かどうか」です。髪型をしっかりと作り込み、一日中キープしたいのであれば、選ぶべきは「ヘアグリース」です。一方で、髪型を固定する必要はなく、あくまで自然なまとまりと、髪本来が持つようなサラサラとした艶が欲しい場合には、「ヘアオイル」が適しています。
【応用テクニック1】重ねて使う場合の正しい順番
グリースとヘアオイルは、重ねて使うことで、それぞれのメリットを両立させることも可能です。その場合、重要になるのが「使う順番」です。基本は、「オイルが先、グリースが後」と覚えておきましょう。
まず、お風呂上がりのタオルドライした髪に、ヘアオイルを少量馴染ませます。これにより、髪が保湿され、ドライヤーの熱から保護されます。そして、ドライヤーで髪を乾かし、スタイルの土台を作った後、仕上げに「ヘアグリース」を使って、形と艶を整えていきます。
【応用テクニック2】混ぜて使う方法とその効果
上級テクニックとして、二つを手のひらで混ぜて使う方法もあります。手のひらに取ったグリースに、ヘアオイルをほんの数滴だけ加え、白っぽくなるまで混ぜ合わせます。これにより、硬めのグリースのテクスチャーが滑らかになり、髪への伸びが格段に向上します。また、グリースの強いウェット感が少しマイルドになり、より自然な艶感を演出することもできます。ただし、オイルを加えすぎると、グリースのセット力が弱まってしまうため、加える量は慎重に調整する必要があります。
究極の質感を求めるなら、プロの選択を
「セット力は欲しいけれど、質感はオイルのようにナチュラルにしたい」といった、より高度で繊細な質感を求める場合、セルフでの調整は非常に難しくなります。サロンで私たちが使用するプロ仕様の製品には、グリースとオイルの境界線にあるような、高いセット力とケア効果を両立させた「スタイリングオイル」や、ベタつくことなく最高の艶とまとまりを与える高品質なグリースが数多く存在します。お客様一人ひとりの髪質と、理想の質感に合わせて、最適な製品や、その組み合わせをご提案するのが、私たちプロのスタイリストの役目です。
まとめ
ヘアグリースとヘアオイルは、それぞれ「スタイリング」と「ヘアケア」という明確な役割を持っています。しかし、その違いを理解し、時には重ねて、時には混ぜて使うことで、お互いの長所を引き出し合い、あなたのスタイリングの可能性をさらに広げてくれる、強力なパートナーとなり得るのです。ぜひ、この記事を参考に、様々な使い方に挑戦してみてください。