五厘刈りをバリカンで。セルフカットの限界とプロの技術が違う理由
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セルフカットの基本。五厘刈りのためのバリカンの知識
「五厘刈りにしよう」と決めた時、多くの方が「バリカンさえあれば、自分でもできるのでは?」と考えます。確かに、五厘刈りはセルフカットに挑戦しやすいスタイルの一つです。まずは、ご家庭で挑戦する場合の基本的な知識を押さえておきましょう。
* 何mmのアタッチメントを使えばいい?
五厘刈りは、本来の尺寸で言うと約1.5mmの長さを指します。しかし、市販されている家庭用バリカンのアタッチメントには、1.5mmという設定がないことがほとんどです。そのため、最も近い「1mm」または「2mm」のアタッチメントを選ぶことになります。1mmはより地肌が透けてシャープな印象に、2mmは少し青々しさが残る仕上がりになります。
* 基本的なバリカンの使い方
① まず、髪が長い場合は、長めのアタッチメント(9mmや12mmなど)で全体を一度短くしておくと、その後の作業がスムーズになります。
② 次に、目的の長さのアタッチメントに付け替え、襟足から頭頂部に向かって、毛の流れに逆らうように、ゆっくりとバリカンを動かします。
③ 頭は球体なので、その丸みに合わせて、手首を返しながらバリカンの刃が頭皮から離れないように角度を調整するのがコツです。
* セルフカットで特に難しい場所
・後頭部:自分では鏡を使っても完全に見ることができず、完全に感覚で刈ることになります。そのため、長さが不均一な「虎刈り」になりやすい最大の難所です。
・耳周り:耳の複雑な形に沿ってバリカンを当てるのは非常に難しく、誤って耳を切ってしまうケガのリスクも伴います。
・襟足のライン:首筋のうぶ毛との境目を、自然で美しいラインに仕上げるのは至難の業です。
なぜプロの仕上がりは違うのか?道具と技術の決定的な差
ご家庭でのセルフカットと、理容室でのプロの仕事。その仕上がりには、なぜ歴然とした差が生まれるのでしょうか。その理由は、使う「道具」と、それを扱う「技術」の決定的な違いにあります。
* ① 道具が違う:プロ用バリカンの圧倒的なパワーと切れ味
理容師が使うプロ仕様のバリカンは、家庭用とはモーターのパワーが全く違います。どんなに硬い髪質や多い毛量でも、引っかかることなくスムーズに刈り進めることができます。また、刃の素材や構造も精密で切れ味が鋭いため、刈り口が美しく、均一な仕上がりになります。
* ② 技術が違う:「均一」に刈り上げる繊細な手元の動き
プロは、頭のあらゆる凹凸に合わせて、常にバリカンの刃が頭皮に対して最適な角度で当たるよう、手首のスナップを効かせながらミリ単位で動きを調整しています。この、体に染み付いた繊細な技術があるからこそ、360度どこから見てもムラのない、完璧に均一な仕上がりが生まれるのです。
* ③ デザインが違う:「グラデーション」を創り出す芸術性
プロの技術の真骨頂は、単に均一に刈るだけではありません。サイドを地肌に近い短さからトップに向かって、滑らかな濃淡(グラデーション)をつけていく「フェードスタイル」は、まさにバリカン技術の芸術です。数種類のバリカンやアタッチメントを巧みに使い分け、計算され尽くした美しいシルエットを創り出す。これは、セルフカットでは絶対に到達できない領域です。
バリカン1本では終わらない、理容室のトータル仕上げ
理容室での五厘刈りは、バリカンを入れて終わり、ではありません。最高のスタイルを完成させるための、プロならではの工程があります。
* ハサミによる丁寧な微調整
バリカンだけでは刈り残してしまいがちな、つむじ周りの細かい毛や、生え際のクセのある毛などを、ハサミを使って一本一本丁寧に整え、全体の完成度を高めます。
* カミソリが可能にする、シャープなラインアップ
理容師の特権であるカミソリを使い、襟足やもみあげ、生え際のラインをシャープに整えます。このシャープな一本のラインがあるかないかで、清潔感とスタイルの締まり具合が劇的に変わります。
* シャンプーと頭皮ケアによる、最高のサッパリ感
カットで出た細かい毛を、気持ちの良いシャンプーで完全に洗い流します。その後、保湿ローションなどで頭皮を優しくケア。この、セルフカットでは味わえない、プロによる仕上げの心地よさとサッパリ感も、理容室ならではの価値です。
セルフカットで失敗してしまったら…
万が一、セルフカットで取り返しのつかない失敗をしてしまった場合でも、諦めないでください。
* まずはプロにご相談ください
自分で何とかしようとすると、さらに傷口を広げてしまうことがほとんどです。恥ずかしがらずに、できるだけ早く理容室に相談するのが最善の策です。
* プロによる「リカバリーカット」
プロの理容師は、あなたの失敗の状態を冷静に見極め、それをカバーしながら、できる限り自然でかっこいいスタイルに修正してくれます。例えば、失敗部分を活かして、そこを起点にしたフェードスタイルに作り変えるなど、ポジティブなデザイン提案も可能です。
まとめ
バリカンを使えば、五厘刈りの形を「作る」こと自体は、誰でもできるかもしれません。しかし、それを「美しく、かっこよく、洗練されたスタイル」へと昇華させるには、プロ仕様の道具と、長年の経験によって培われたミリ単位の繊細な技術が不可欠です。最高の仕上がりと、セルフカットの手間や失敗のリスクからの解放を考えれば、プロの理容師に任せることが、最も賢明で満足度の高い選択と言えるでしょう。ぜひ一度、本物のバリカン技術を体験しに、お近くの理容室へお越しください。
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