【剛毛のメンズへ】ヘアバームという新常識。硬い髪に、自然なまとまりとツヤを。
ワックスのように作り込みすぎず、かといって何もしないわけでもない。街で見かけるお洒落な男性が醸し出す、あの「さりげない、自然なまとまり感」。その秘密が、実は「ヘアバーム」というスタイリング剤にあることをご存知でしょうか。ご自身の硬く、多い「剛毛」の髪質を前に、そんなナチュラルなスタイルは無縁だと諦めてしまってはいませんか。実はその考えとは裏腹に、このヘアバームこそ、剛毛の髪質と見事に調和し、これまでにない新しい魅力を引き出してくれる、注目のアイテムなのです。
そもそも「ヘアバーム」とは、どのようなスタイリング剤なのか
ヘアバームとは、シアバターなどの天然由来のオイルを主成分とし、常温では固形、もしくは半固形状のスタイリング剤のことを指します。手のひらの体温で溶かすことで、オイル状に変化するのが特徴です。ワックスやジェルのように、髪を強力に固めて形を創り出すというよりも、髪に自然なツヤと潤いを与え、その人本来の髪質を活かしながら、優しく「整える」というニュアンスが強いアイテムです。
なぜ「剛毛」と「ヘアバーム」は、これほどまでに相性が良いのか
一見すると、セット力の穏やかなバームは、力強い剛毛には不向きのように思えるかもしれません。しかし、剛毛が抱える悩みの本質を考えると、これほど相性の良い組み合わせはございません。
1. パサつきを抑える、圧倒的な「保湿力」
剛毛の最大の弱点とも言える、パサつきや乾燥。バームが持つ豊富な油分は、その乾燥した髪にしっとりとした潤いを与え、一日中まとまりやすい状態をキープしてくれます。髪が潤うことで、広がりも自然と抑制されます。
2. 頑張りすぎていない、「自然なまとまり」
強い反発力を持つ剛毛を、ワックスなどで無理に押さえつけると、不自然な仕上がりになりがちです。バームは、髪をガチガチに固めるのではなく、その適度な重さと油分で、髪の力を優しく「なだめる」ようにしてまとめ上げます。これにより、作り込みすぎていない、ナチュラルでこなれたスタイルが完成するのです。
3. ケアとスタイリングの両立
バームの多くは、天然由来の保湿成分で構成されているため、スタイリングをしながら、同時に髪をケアできるという大きなメリットがございます。製品によっては、そのままハンドクリームやリップクリームとしても使えるものもあり、日々のライフスタイルに寄り添ってくれるアイテムです。
バームの実力を120%引き出す、プロが教える使い方
バームを使いこなす上で、最も重要な工程が一つだけございます。それは、手のひらで「完璧に溶かす」ことです。バームは固形のため、まず指で適量(最初は米粒大から小豆大程度)を取り、それを両手のひらで、体温を使ってじっくりと、完全に透明なオイル状になるまで溶かしながら伸ばしてください。この工程を怠ると、髪に白い塊が残ってしまい、ベタつきの原因となります。オイル状に変化したら、髪の内側から手ぐしを通すように馴染ませ、特に広がりやすい部分やパサつきがちな毛先を中心に付けていきます。最後に、手に残ったごくわずかなバームで、髪の表面や前髪の毛流れを整えれば完成です。
最高のバームスタイルは、最高の「素材」から
ヘアバームが創り出すのは、あくまでナチュラルなスタイルです。そして、その「ナチュラルな美しさ」は、土台となるヘアカットが完璧であってこそ、最大限に輝きを放ちます。剛毛の持つ不要な重さを的確にコントロールし、バームを少量馴染ませるだけで、髪が自然にまとまり、美しい束感が生まれるような「質感」を、カットによってあらかじめ創り出しておくこと。それこそが、私たちプロの理容師の腕の見せ所です。私たちは、お客様のなりたい「雰囲気」を共有し、それを実現するための最適なカットと、バームのようなスタイリング剤の選定・使い方までをトータルでご提案する、髪の専門家です。
剛毛だからと、ナチュラルでお洒落なスタイルを諦める必要はございません。ヘアバームという新しい選択肢と、それを支えるプロの技術があれば、お客様の髪はもっと自由で、もっと魅力的になります。ぜひ一度、その可能性を試しにご相談ください。