フェードスタイルのセットが決まらない方へ。プロが教える基本と髪型別テクニック
理容室で完璧に仕上げてもらった、シャープでクリーンなフェードスタイル。「明日から自分でもこのスタイルを再現するぞ!」と意気込んだものの、翌朝、鏡の前で思い通りにいかず、苦戦してしまった…そんな経験はありませんか?
「同じスタイリング剤を使っているのに、なぜかプロのように決まらない」
その違いを生み出しているのは、実はスタイリング剤をつける前の**「準備」と、ほんの少しの「一手間」**に隠されています。
この記事では、あなたの毎朝のセットが劇的に変わり、一日中崩れない理想のスタイルを手に入れるための秘訣を、プロの視点から徹底的に解説します。
セットの成否はここで決まる!スタイリング前の「3つの掟」
多くの方が、乾いた髪にいきなりスタイリング剤をつけてしまいがちですが、それは失敗の元。プロのセットは、髪を濡らすことから始まります。
掟1:必ず髪を根元からしっかり濡らす
朝起きた髪には、寝癖や皮脂がついており、そのままではスタイリング剤が均一になじみません。まずはシャワーやお湯で、髪の根元からしっかりと濡らし、一度「素の状態」にリセットしましょう。これが、思い通りのスタイルを作るための最初のステップです。
掟2:タオルドライは「優しく、擦らず」
濡れた髪はキューティクルが開いており、非常にデリケートな状態です。ゴシゴシと力強く擦ると、髪が傷むだけでなく、余計な広がりやパサつきの原因になります。タオルを頭に乗せ、指の腹で頭皮を優しくマッサージするように、ポンポンと水分を吸い取るのが正解です。
掟3:ドライヤーで「設計図」を描く(最重要)
ここがプロとアマチュアの、最も大きな差がつくポイントです。スタイリング剤はあくまで「仕上げの肉付け」であり、スタイルの骨格となる**「設計図」はドライヤーで描きます。**
- 基本は「根元」から: 髪は根元が乾くと毛先の方向が決まります。必ず根元から乾かし始めましょう。
- ボリュームを出すコツ: 作り上げたい毛流れとは逆方向からドライヤーの風を当てて根元を乾かし、髪を一度立ち上げます。その後、本来流したい方向へ風を当てて形を整えることで、ふんわりとしたボリュームが生まれます。
- ブラシやコームを使う: デンマンブラシやコームを使い、毛流れを整えながら乾かすと、よりまとまりのある、プロのような仕上がりになります。
【髪型別】スタイリング剤の選び方とセットのコツ
完璧なベースができたら、いよいよスタイリング剤の出番です。髪型に合ったものを選び、仕上げていきましょう。
クロップスタイルのセット
- おすすめスタイリング剤: ジェル or ハードワックス
- セットのコツ: ドライヤーで前方向へしっかりと乾かした髪に、スタイリング剤を根元からつけます。ジェルならコームで軽く整えてツヤを出し、ワックスなら手ぐしでラフに散らして束感を出します。作り込みすぎず、自然に仕上げるのがポイントです。
サイドパート / スリックバックのセット
- おすすめスタイリング剤: ポマード or グリース
- セットのコツ: ドライヤーで完璧な毛流れを作っておくことが絶対条件。スタイリング剤を全体になじませた後、目の細かいコームを使って、パートライン(分け目)をシャープに引き、全体の面を整えます。櫛目(くしめ)が綺麗に残るように仕上げるのが、クラシックスタイルの流儀です。
パーマスタイルのセット
- おすすめスタイリング剤: グリース or ムース or ワックス
- セットのコツ: ドライヤーで完全に乾かしきらず、髪が少し湿った「半乾き」の状態でスタイリング剤を塗布するのが最大のポイント。カールを潰さないように、髪を持ち上げるように優しく揉み込み、自然乾燥またはドライヤーの弱風で仕上げます。
なぜプロのセットは崩れないのか?その秘密は「カット」にある
「手順通りにやっても、やっぱり何かが違う…」
もしそう感じるなら、その根本的な原因は、あなたのセット技術ではなく、土台となる**「カット」**そのものにあるのかもしれません。
- 「セットのしやすさ」を逆算したカットプロの理容師は、お客様が自宅でセットすることを想定し、「この人の髪質なら、ここをこれだけ短くしておけば、何もしなくても自然に収まる」「ここに少し重さを残せば、ドライヤーだけでボリュームが出やすくなる」というように、全てを計算してカットしています。
- 質感調整(セニング)の妙ただ毛量を減らすのではなく、束感や動きが出やすいように、毛先の質感(テクスチャー)を専用のハサミで巧みに調整しています。これが、パーマなしでも髪に自然な動きが生まれる秘密です。
- 完璧な土台としてのフェードサイドとバックが、完璧なグラデーションでタイトに収まっているからこそ、あなたはトップのセットだけに集中できます。この土台がしっかりしていなければ、どんなにトップを頑張っても、美しいスタイルは完成しません。
まとめ
フェードスタイルのセットを成功させる鍵は、スタイリング剤をつける前の「準備段階」、特にドライヤーの使い方にあります。そして、髪型に合ったスタイリング剤を選び、正しい手順でセットすれば、誰でもプロに近い仕上がりを手に入れることが可能です。
しかし、その全ての前提であり、最も重要な要素は、**「セットが楽になるように計算され尽くした、プロによるカット」**です。
もしあなたが毎朝のセットに悩み、ご自身のヘアスタイルに100%満足できていないのであれば、ぜひ一度、技術に信頼のおける理容室を訪れてみてください。そして、カットのオーダーと共に、「自分に合ったセットの方法を教えてほしい」と、プロに相談してみてはいかがでしょうか。