【プロが教える】フェードカットに合うワックスの選び方と、正しい使い方
シャープでクリーンな印象が魅力の「フェードカット」。
そのスタイリングといえば、ツヤのあるジェルやグリースでビシッと固める、クラシカルなスタイルを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、
「もっと自然な質感で、ラフに仕上げたい」
「カチッと固めすぎるのは、自分のファッションに合わない」
「髪に、計算された“動き”や“束感”が欲しい」
と感じている、こだわりを持つあなたへ。
その答えは、**「ワックス」**を使ったスタイリングにあります。
この記事では、あなたのフェードスタイルに最適なワックスの選び方から、プロが実践する驚くほど簡単なセット方法まで、そのすべてを徹底的に解説します。ワックスをマスターすれば、あなたのスタイリングの幅は、間違いなく格段に広がります。
なぜ、あえて「ワックス」を選ぶのか?ジェルやグリースとの違い
スタイリング剤の王道であるワックス。ジェルやグリースと比較した時、そこにはワックスならではの、明確なメリットが存在します。
- ワックスの最大の魅力
- 自然な質感:ジェルやグリースのような強いツヤではなく、マット(ツヤなし)から、ごく自然なツヤ感まで、作り込みすぎていないナチュラルな仕上がりを演出できます。
- 束感と動きの表現力:髪を完全に固めてしまわないため、毛束を動かしたり、散らしたり、あるいは繊細な束感を創り出したりと、自由自在なスタイリングが可能です。
- 優れた再整髪力:セットした後に、スタイルが少し崩れてしまっても、手ぐしで簡単に修正できるのも、ワックスの大きな強みです。
ビシッと、そしてウェットに決めたい日はジェルやグリース。柔らかく、そして自然に動かしたい日はワックス。このように、シーンやファッションに合わせて使い分けることで、あなたはもっとお洒落になれるのです。
【目的別】フェードカットに合うワックスの選び方
「ワックス」と一言で言っても、その種類は様々。あなたの「なりたいスタイル」に合わせて、最適なものを選びましょう。
マットワックス/クレイワックス
- 特徴:ツヤが全くなく、ドライな質感が特徴。クレイ(泥)成分配合のものは、特にセット力が非常に高いです。
- 向いているスタイル:クロップスタイルや、無造作なショートヘアなど、ラフで、力強い束感を強調したい時に最適です。
ファイバーワックス
- 特徴:その名の通り、繊維(ファイバー)が配合されており、伸びが良く、髪に絡みつきやすいのが特徴。毛束を作りやすく、少しツヤが出るものが多いです。
- 向いているスタイル:毛先に動きをつけたい、少し長めのスタイルや、トップに高さを出すソフトモヒカンなどに向いています。
クリームワックス
- 特徴:水分が多く、柔らかいクリーム状のワックス。髪になじませやすく、自然なまとまりと、程よいツヤ感を与えてくれます。
- 向いているスタイル:センターパートや、パーマスタイルなど、髪が持つ本来の質感を活かしながら、優しく整えたい時に最適です。
プロが実践する、ワックススタイリングの基本手順
正しい手順を覚えれば、誰でも簡単に、プロのような仕上がりが可能です。
- STEP 1:ドライヤーで8割完成させる全てのスタイリングの基本です。髪を濡らした後、ドライヤーで根元をしっかりと立ち上げ、全体のシルエットと毛流れを、この段階でほぼ完璧に作ってしまいます。
- STEP 2:ワックスは“ごく少量”を、完璧に伸ばす使用量は、小豆一粒大から。足りなければ足せば良いのです。その少量のワックスを、手のひら、指の間、指の第一関節まで、**完全に透明になるまで、これでもかというほどしっかりと伸ばします。**これが、ベタつきや付けムラを防ぐ、最も重要なコツです。
- STEP 3:根元から、空気を含ませるようにつける髪の表面だけを撫でるのは、絶対NGです。バック→サイド→トップの順で、髪の内側に指を入れ、根元を優しく立ち上げるように、髪全体に空気を含ませながら揉み込んでいきます。
- STEP 4:毛束を「つまんで」「散らして」整える全体にワックスがなじんだら、最後に仕上げです。指先でトップの毛束を数カ所**「つまんで」束感を出したり、全体の毛束を軽く「散らして」**ボリュームを調整したりして、理想のシルエットを完成させます。
その“動き”や“束感”は、カット技術で作られている
最後に、これだけは知っておいてください。
なぜ、サロンでセットしてもらうと、ワックスだけであんなにも綺麗で、立体的な束感が生まれるのでしょうか。
それは、スタイリング剤の力だけでなく、そのずっと前の**「カット」の段階**で、私たちプロの理容師が、ワックスをつけた時に、理想の束感や動きが生まれるように、ハサミで“仕込み”をしているからです。
髪の内側の量を、束が生まれやすいように「隙間」を作りながら調整する**「質感調整(セニング)」**。
毛先が、重力に逆らって軽やかに動くように、一本一本を先細りにカットしていく技術。
この「見えないカット」こそが、簡単なスタイリングで、お洒落な質感を再現するための、本当の秘密なのです。
まとめ
フェードカットのスタイリングは、ジェルやグリースだけではありません。「ワックス」を使いこなすことで、より自然で、動きのある、こなれたスタイルを、あなたのものにすることができます。
そして、そのワックスの性能を120%引き出すのは、質感までを完璧に計算された、プロのカット技術です。
あなたの髪質に合った最高のカットと、それを最大限に活かすワックスの選び方、そして使い方まで。
スタイリングを、もっと楽しみたいなら、ぜひ一度、私たちプロにご相談ください。