【その“ブロック”、野暮ったくない?】フェードカットを洗練させる、プロの技術
メンズヘアスタイルの世界で、すっかりお馴染みとなった「フェードカット」と「ツーブロック」。
どちらもサイドをスッキリと刈り上げるスタイルですが、その違いを正確に説明できる方は、意外と少ないかもしれません。
そして、時に、オーダーしたフェードカットが、どこか野暮ったい「ブロック」のように見えてしまう…。
なぜ、そんなことが起きてしまうのでしょうか?
この記事では、フェードカットと「ブロック」の、切っても切れない関係性を解き明かし、あなたのスタイルを、ただの刈り上げではない、洗練されたものへと昇華させるための、プロだけが知る秘密を徹底的に解説します。
まずは結論から。「フェード」と「ツーブロック」の決定的な違い
あなたが抱える疑問を、まず最初に解決しましょう。この二つの言葉は、似ているようで、その本質が全く異なります。
- ツーブロックとは、髪の「構造」の名前トップの長い髪と、サイドの短く刈り上げた部分との間に、明確な**「段差(ブロック)」があるヘアスタイル全体の構造**を指します。「被せる髪」と「刈り上げる部分」という、長さの違う2つのブロックで構成されているのが特徴です。
- フェードカットとは、刈り上げの「技法」の名前一方、フェードカットとは、刈り上げる部分を、0mmなどの極端に短い長さから、上に向かってミリ単位で徐々に長くしていくことで、滑らかな「グラデーション(濃淡)」を作る、専門的なカットの技法を指します。
例えるなら、ツーブロックは「崖」のように、はっきりとした段差があり、フェードカットは「丘」のように、滑らかな斜面を描く。これが、二つの最も大きな違いです。
なぜフェードカットに“野暮ったいブロック”が生まれてしまうのか?
では、なぜオーダーしたフェードカットが、丘ではなく、不自然な崖やブロックのように見えてしまうことがあるのでしょうか。
その原因は、非常にシンプルです。それは、理容師の「ブレンディング(ぼかし)」の技術が、不足しているからです。
異なる長さの髪の境界線を、ハサミやバリカンを駆使して、滑らかに、そして完璧に繋げる。この、ごまかしの効かない繊細な技術がなければ、美しいグラデーションは生まれず、そこに無様な「段差(ブロック)」が残ってしまうのです。
つまり、“野暮ったいブロック”のあるフェードは、未完成な、あるいは失敗したフェードである、と言えます。
究極のスタイル。“計算され尽くしたブロック”を創る
しかし、その一方で、この「ブロック」を、あえて意図的に、そしてデザインとして創り出す、究極にお洒落なスタイルも存在します。
それが、「ツーブロックの構造」と「フェードの技法」を融合させたスタイルです。
これは、ツーブロックの刈り上げ部分を、ただ均一な長さで刈るのではなく、美しいフェードのグラデーションで仕上げるという、非常に高度なスタイルです。
このスタイルが人気の理由は、
- ツーブロックが持つ、サイドの膨らみを抑える機能性と、
- フェードが持つ、圧倒的な清潔感と、高いデザイン性という、両者の“いいとこ取り”ができるからです。
失敗しないオーダー方法|理想の“ブロック”を伝える
あなたが求めるスタイルに応じて、オーダーの仕方は変わります。
- 滑らかなフェード(ブロックなし)にしたい場合「ブロック(段差)ができないように、滑らかなグラデーションでお願いします」「トップの髪とは、自然に繋げてください」
- 計算されたツーブロックフェード(ブロックあり)にしたい場合「ツーブロックをベースにして、中の刈り上げ部分をフェードにしてください」
どちらの場合でも、最も確実なのは、あなたの理想とするスタイルの写真を見せることです。その一枚が、最高の仕上がりへの、何よりの近道となります。
その“境界線”をデザインするのが、プロの仕事です
最後に、これだけは知っておいてください。
野暮ったい「失敗のブロック」と、計算され尽くした「デザインとしてのブロック」。
そして、一切のブロックを許さない、完璧に滑らかな「グラデーション」。
この**“境界線”を、お客様の骨格や髪質、そしてなりたいイメージに合わせて、自由自在に、そして完璧にデザインし、コントロールすること**。それこそが、私たちプロの理容師の仕事であり、腕の見せ所なのです。
それは、ただバリカンを動かすだけの作業ではありません。お客様一人ひとりの頭というキャンバスに、最も美しい線を引く、デザイン行為なのです。
まとめ
あなたが求めるフェードカットに、不自然な「ブロック」は必要ありません。
必要なのは、どこまでも滑らかで、美しい「グラデーション」です。
あるいは、あなたの個性を最大限に引き出す、計算され尽くした「デザインとしてのブロック」です。
その、どちらの答えも、私たちプロの理容師は、最高の技術でご用意することができます。
あなたのスタイルを、偶然の産物ではなく、完璧な計算の上に成り立つ“作品”へと、昇華させてみませんか?
ぜひ一度、ご相談ください。