坊主頭へのワックスの付け方|自然でおしゃれに仕上げる手順とコツ
少し長めの坊主頭に、ワックスという選択
すっきりとした坊主頭の中でも、9mm以上の少し長さを残した髪型や、頭頂部(トップ)を長めにした「おしゃれ坊主」スタイルは、ほんの少し手入れを加えるだけで、その印象を大きく変えることができる、魅力的な髪型です。
そして、その手入れのための最も代表的な整髪料が、「ワックス」です。ワックスを上手に使うことで、短い髪に自然な動きや毛束感が生まれ、単なる「伸びかけの髪」ではない、「計算されて作られた、おしゃれな髪型」として、ご自身の個性を表現することができるのです。
坊主頭にワックスを使う目的
坊主頭にワックスを使う目的は、ジェルやグリースのように、髪に「濡れたような艶」を与えることとは少し異なります。ワックスの主な目的は、髪が本来持つ自然な質感を活かしながら、さりげない変化を加えることにあります。
例えば、髪の毛をいくつかの小さな束として見せる「毛束感」を作ることで、髪型全体に立体感が生まれます。また、頭頂部や前髪といった、少し長さを残した部分の髪を軽く立たせたり、自然な毛流れを整えたりといった、「軽い動き」を出すのにも適しています。さらに、髪のぱさつきを抑え、まとまりのある健康的な質感に見せる効果も期待できます。
坊主頭に適したワックスの選び方
坊主頭に使うワックスは、どのようなものでも良いというわけではありません。髪が短いため、硬すぎてセットする力が強すぎるワックスは、髪に馴染ませにくく、白い塊(ダマ)になってしまう原因となります。
お勧めしたいのは、クリームタイプなどの、比較的柔らかく、手のひらでよく伸びるワックスです。また、艶が出すぎるタイプのものよりも、仕上がりが自然に見えるものや、あるいは艶のないマットな質感のものを選ぶと、短い髪にも馴染みやすく、さりげないおしゃれを演出しやすいでしょう。
プロが教える、ワックスの正しい付け方
ワックスを使って坊主頭をおしゃれに仕上げるためには、いくつかの大切な手順とコツがあります。
手順1:ごく少量を手に取る
ワックスの手入れで、最もよくある失敗の原因は「つけすぎ」です。髪が短い坊主頭の場合、本当にごく僅かな量で十分です。まずは、「米粒一つ分」から、多くても「小豆一粒分」程度の、ごくごく少量を指先に取りましょう。
手順2:手のひらで完璧に伸ばす
次に、手に取ったワックスを、両手の手のひら、指の先、そして指と指の間まで、完全に透明になって、その存在が分からなくなるまで、体温で温めるようにしながら、徹底的に、そして均一に伸ばしてください。これが、ダマを防ぎ、髪に薄く馴染ませるための、最も重要な準備です。
手順3:髪の根元を避けて、中間から毛先へ
準備ができたら、頭皮に直接ワックスがつかないよう、髪の根元は避けながら、髪の表面を優しく撫でるように、あるいは髪全体を空気を含ませるように、わしづかみにするようにして、まずは全体に薄くワックスを付着させます。
手順4:指先で毛束をつまむ
最後に、指先に残った、ごく僅かなワックスを使い、頭頂部や前髪など、特に動きを出したい部分の毛束を、優しくつまむようにして形を整えていきます。この時、あまり作り込みすぎず、「さりげなく」整えるのが、自然でおしゃれに見せるための最大のコツです。
まとめ:ひと手間で変わる、あなたの印象
少し長さを残した坊主頭は、ワックスを使った簡単なひと手間を加えるだけで、その日の気分に合わせて様々な表情を楽しむことができる、非常に表現豊かな髪型です。そして、その魅力を最大限に引き出すためには、土台となるカットそのものが、何よりも重要になります。お客様の髪質や骨格に合わせて、ワックスをつけた時に最も格好良く見えるように、計算して髪の量を調整することこそ、私達プロの理容師の技術です。カットの際には、ご自宅での簡単な手入れの方法なども、どうぞお気軽にお尋ねください。