坊主頭にドライヤーは必要?|健やかな頭皮を保つための正しい乾かし方
タオルで拭いて終わり、では不十分かもしれません
すっきりと短い坊主頭にした後、シャンプー後の手入れが非常に楽になり、お風呂上がりには、タオルで頭を拭くだけで済ませている、という方も多いことでしょう。その手軽さこそが、坊主頭の大きな魅力の一つであることは、間違いありません。
しかし、その「タオルで拭いて自然に乾かす」という習慣が、もしかすると、意図せずして、かゆみやフケといった、頭皮の悩みを引き起こす原因の一つになっている可能性もあるのです。実は、「髪を乾かす」という目的のためではなく、「頭皮を健やかに保つ」という、大切な目的のために、坊主頭にもドライヤーは非常に有効な道具となります。
坊主頭にドライヤーを使った方が良い、二つの理由
ではなぜ、髪が短い坊主頭にも、ドライヤーを使った方が良いのでしょうか。そこには、主に二つの、頭皮の健康に関わる大切な理由があります。
理由1:雑菌の繁殖を防ぎ、頭皮を清潔に保つため
これが、最も重要な理由です。私たちの頭皮には、もともと、目には見えない多くの常在菌が存在しています。これらの菌は、適度な「温度」と「湿度」がそろうと、それを好んで活発に繁殖を始めます。
シャンプー後の、水分を含んで湿ったままの頭皮は、まさに、これらの菌にとって絶好の繁殖環境となってしまうのです。この雑菌の過剰な繁殖が、多くの方が悩まされる、頭皮のかゆみやフケ、そして不快なにおいの、大きな原因となります。ドライヤーを使い、洗髪後、できるだけ素早く頭皮を乾かすことは、菌が繁殖するための時間と環境を与えない、最も効果的な予防策なのです。
理由2:頭皮の冷えを防ぐため
特に、気温の低い季節に注意したいのが、頭皮の「冷え」です。濡れた頭皮から水分が蒸発する際には、「気化熱」によって、頭皮の熱が奪われていきます。この頭皮の冷えが、血行を悪くしてしまう一因となることも考えられます。頭皮の血行は、健やかな髪を育む上でも大切な要素ですので、ドライヤーの温かい風で適度に温めながら乾かすことは、頭皮の健康維持にも繋がります。
頭皮に優しい、正しいドライヤーの使い方
ドライヤーの熱が、かえって頭皮にダメージを与えるのではないか、とご心配になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、正しい使い方さえ守れば、その心配はございません。
まず、シャンプーの後は、清潔なタオルを使い、頭皮をゴシゴシと擦るのではなく、優しく押さえるようにして、できる限りの水分を、あらかじめ吸収させておきます。これにより、ドライヤーを当てる時間を、最小限に短縮することができます。
ドライヤーを使う際には、熱が頭皮の負担とならないよう、送風口を、頭皮から最低でも15センチメートル以上は離して使うようにしましょう。そして、ドライヤーを小刻みに振りながら、風を頭全体に分散させ、一箇所に熱が集中しすぎないように、優しく乾かしていきます。
全体がある程度乾いたら、最後に、仕上げとしてドライヤーの風を「冷風」に切り替え、頭全体に軽く当ててみてください。これにより、温まって開いた毛穴が引き締まり、頭皮を落ち着かせる効果が期待できます。
この、ひと手間とも思える正しい乾かし方の習慣が、坊主頭の持つ本来の清潔感を、より一層引き立ててくれます。私達理容師は、お客様の髪を美しく整えるだけでなく、その後の日々の手入れについても、専門家としての正しい知識をお伝えすることを、大切な使命だと考えております。どうぞ、お気軽にご質問ください。