ベリーショートのハイライトの入れ方|セルフのリスクとプロの技
すっきりとしたベリーショートスタイル。そのままでも十分に清潔感がありますが、心のどこかでこう感じてはいませんか?
「黒髪のままだと、少し重たくて、動きが見えにくい…」
「髪全体を派手に染める勇気はないけれど、何かさりげなくお洒落な変化が欲しい」
そんな、あなたの繊細なこだわりを叶える最高のテクニックが、髪に光の筋を描き出す**「ハイライト」**です。
短い髪にハイライトを入れることで、あなたのベリーショートは、劇的に立体的で、垢抜けたスタイルへと進化します。
しかし、その一方で、「こんなに短い髪に、どうやってハイライトを入れるんだろう?」という疑問や、セルフカラーへの興味が湧くかもしれません。この記事では、ハイライトの基本的な「入れ方」から、失敗しないための重要なポイントまでを、プロの視点から詳しく解説します。
ハイライトがベリーショートを“格上げ”する理由
ベリーショートというシンプルなスタイルだからこそ、ハイライトを入れることで、多くの素晴らしい効果が生まれます。
- ① 圧倒的な立体感が生まれる
ベースとなる地毛の暗い色の中に、明るい色の筋が入ることで、髪全体に自然な陰影が生まれます。これにより、平面的でのっぺりとしがちだった短髪が、非常に立体的で、奥行きのあるスタイルへと変化します。 - ② “動き”がはっきりと見えるようになる
スタイリングで創った毛束や毛流れが、色の違いによってくっきりと強調されます。ワックスを軽くつけただけで、まるでプロが緻密にセットしたかのような、躍動感のある動きが見えるようになるのです。 - ③ 軽やかさと透明感をプラス
黒髪が持つ、時に重たく見えがちな印象を、ハイライトの持つ明るさが和らげ、スタイル全体に軽やかで、垢抜けた雰囲気をプラスしてくれます。 - ④ 白髪ぼかしにも最適
生え始めた気になる白髪を、明るいハイライトの中に自然に紛れ込ませて、お洒落にカモフラージュする効果も期待できます。
自宅で挑戦?セルフハイライトの基本的な「入れ方」と潜むリスク
「やり方さえ分かれば、自分でもできるかも」と思うかもしれません。セルフでハイライトを入れるための、一般的な手順を見てみましょう。
準備するもの
市販のブリーチ剤、染めたい色のカラー剤、ハイライトキャップ(細かい穴の空いたキャップ)、かぎ針、ケープ、手袋などが必要です。
基本的な手順
- 髪をよくとかし、頭にハイライトキャップをぴったりと被ります。
- かぎ針を使い、キャップの穴から、ハイライトを入れたい部分の毛束を、均等な量で引き出していきます。
- 引き出した毛束にのみ、ブリーチ剤を丁寧に塗布します。
- 指定された時間放置した後、キャップを被ったままブリーチ剤を洗い流し、一度髪を乾かします。
- 再度、ブリーチした毛束に、希望の色のカラー剤を塗布し、洗い流して完成です。
セルフでやる際の“重大なリスク”
この手順を見て、「思ったより大変そうだ」と感じたかもしれません。その通り、ベリーショートへのセルフハイライトは、プロでも神経を使う非常に難易度の高い技術であり、多くのリスクを伴います。
- 根元に薬剤がついてしまい、頭皮がかぶれる危険性。
- ブリーチ剤がキャップの内側に漏れ、意図しない部分まで脱色されてしまう(失敗の最大の原因)。
- 均一な太さや量で毛束を引き出せず、仕上がりがムラだらけになる。
- 髪に深刻なダメージを与えてしまう。
一度失敗してしまうと、プロでも修正が困難な場合があります。大切な髪を守るためにも、セルフでの挑戦は慎重に検討する必要があります。
プロはここが違う!サロンでのハイライトの「入れ方」
私たちプロは、ハイライトキャップを使うことはほとんどありません。アルミホイルを使い、「スライシング」(髪を薄い板状に取る技法)や**「ウィービング」**(細かく筋状に取る技法)といった専門技術で、あなたの骨格や、ベースとなるカットデザインに合わせて、ミリ単位でハイライトを入れる場所、太さ、量を完璧に設計していきます。
また、根元に薬剤がつかないようにギリギリを攻める塗布技術や、あなたの髪質に合わせた薬剤の選定で、ダメージを最小限に抑えることを常に心がけています。
失敗しないオーダー術
- ①「デザインカラー」が得意なサロンを選ぶ
ハイライトは、施術者のデザイン力が仕上がりを大きく左右します。経験豊富なサロンを選びましょう。 - ② 写真を見せるのが最強の手段
あなたの理想とするハイライトのスタイル写真を用意し、「こんな雰囲気のハイライトを入れたいです」と見せるのが、最も確実です。 - ③ なりたいイメージを伝える
「あまり派手にしたくないので、細めでさりげなくお願いします」「束感がはっきりわかるように、太めに入れたいです」など、あなたの好みも伝えましょう。
なぜ、メンズのデザインカラーは理容室(バーバー)なのか
ハイライトの美しさは、その土台となるベリーショートのカットラインが、完璧であってこそ輝きます。ミリ単位の精度が求められるベリーショートや、ツーブロック、フェードカットは、まさに私たちプロの理容師が最も得意とするところ。
男性がハイライトを入れた時に、いかにして「チャラい」ではなく「お洒落」で「クール」に見せるか。その絶妙なバランスを、メンズヘアの専門家として提案します。
まとめ
最高のハイライトは、最高の技術で手に入れる。
ベリーショート×ハイライトは、あなたのマンネリ化した短髪スタイルを、立体的で表情豊かな、お洒落ヘアへと劇的に進化させる、非常に効果的なテクニックです。
しかし、その美しい仕上がりは、セルフカラーでは決して到達できない、プロの緻密な計算と繊細な技術があってこそ生まれるもの。
取り返しのつかない失敗という、大きな代償を払う前に。ぜひ一度、メンズヘアのプロである私たち理容師に、あなたの「なりたい」をご相談ください。