【メンズカット】「どこから切るか」で全てが決まる。プロが解説する、髪型の設計思想
「メンズカットは、一体、どこから切り始めるのが正解なのだろう?」
ご自身でセルフカットに挑戦しようと考えている方や、ヘアカットの技術そのものに、純粋な興味を持つ方なら、一度はそんな疑問を抱いたことがあるかもしれません。
実は、この「どこから切るか」という問いの答えにこそ、プロの理容師が持つ、深い思考と、素人との決定的な違いが隠されています。それは、単なる作業手順の話ではありません。あなたのヘアスタイルを、最高の作品へと導くための、緻密な「設計思想」の物語なのです。
この記事では、プロが、なぜその場所からハサミを入れるのか、その理由と、ヘアスタイル別に異なるアプローチの全貌を、詳しく解説します。
答えは一つではない。全ては「設計図」から始まる
まず、最も重要なことからお伝えします。「どこから切るか」という問いに、たった一つの絶対的な正解は、存在しません。なぜなら、カットを始める場所は、お客様一人ひとりのために創られる、オーダーメイドの「設計図」によって、毎回決定されるからです。
なりたい髪型が、「切る順番」を決定する
あなたが目指す、最終的なゴールとなる髪型が、カットの順番、すなわち、どこから切り始めるかを決定づける、最も大きな要因です。全体のシルエットを決める上で、どの部分が最も重要な「基準点」となるか。プロは、そこから逆算して、最も合理的な手順を組み立てていきます。
お客様の髪質と骨格が、「アプローチ」を変える
同じ髪型を目指す場合でも、お客様の髪質や骨格によって、アプローチは変わります。例えば、サイドが膨らみやすい「ハチ張り」の骨格の方なら、まずその悩みを解決するためにサイドから。あるいは、後頭部が平らな「絶壁」が悩みの方なら、まず後頭部のシルエットを作ることから、といったように、プロは、常に最短で最高のゴールにたどり着くためのルートを選択するのです。
【スタイル別】プロは「どこから」切り始めるのか?
それでは、具体的なスタイル別に、一般的なカットの開始地点とその理由を見ていきましょう。
ケース1:刈り上げや、ベリーショートスタイルの場合
この場合の開始地点は、多くの場合、「サイド(横)」や「襟足(後ろ)」です。
なぜなら、これらのスタイルは、刈り上げ部分の長さや、襟足のラインといった、短い部分が、全体の印象を決定づける、最も重要な「土台」となるからです。プロは、まずこの土台を完璧に創り上げ、その基準に合わせて、残りのトップの髪を繋げていく、という、極めて合理的な手順を踏みます。
ケース2:マッシュや、ミディアムスタイルの場合
この場合の開始地点は、多くの場合、「前髪」や「トップ」です。
なぜなら、これらのスタイルは、前髪の長さや、トップのボリューム感、そして柔らかな毛流れが、デザインの「主役」となるからです。プロは、まずこの最も重要な主役部分の長さを設定し、その基準から、全体のシルエットが最も美しく見えるように、サイドやバックへと繋げていきます。
ケース3:骨格補正が最優先の場合
この場合の開始地点は、お客様が最も気にしている「悩みの部分」です。
例えば、絶壁をカバーし、後頭部に美しい丸みを出したい、というご要望が最優先であれば、プロは、まず後頭部のシルエットを完璧に創り上げることから、カットを始めることがあります。最初に、最も重要な部分を完成させることで、全体のバランス調整が、より正確になるのです。
なぜセルフカットで「どこから切るか」を間違うと、致命的なのか
「ガイド」を失い、全体のバランスが崩壊する
プロのカットにおいて、最初に切る部分は、その後の全てのカットの基準となる、重要な「ガイド」の役割を果たします。セルフカットで、この最初のガイド設定を間違えてしまうと、全ての基準がずれてしまい、左右非対称で、バランスの崩壊したスタイルへと、迷い込んでしまいます。
やり直しが効かない、不可逆的なミスに繋がる
髪は、一度短く切ってしまうと、元には戻せません。例えば、最初に前髪から切り始めて、それを切りすぎてしまったら。その時点で、本来創りたかったはずの、全体の設計図は、完全に破綻してしまうのです。
まとめ:どこから切るか、は理容師の「経験」と「哲学」の表れ
メンズカットにおいて、「どこから切るか」という、その最初の一太刀。それは、その理
容師が、これまで何千、何万というお客様と向き合い、培ってきた「経験」と、ヘアデザインに対する「哲学」の、まさに集大成なのです。
それは、単なる作業手順ではありません。お客様一人ひとりの個性を、最高の形で輝かせるための、プロフェッショナルな思考プロセスそのものです。
当サロンでは、お客様との対話を通じて、あなたのためだけの、最高の設計図を描き、長年の経験に裏打ちされた、最適な手順で、あなたの理想を形にすることをお約束します。ぜひ一度、私たちのこだわり抜いた、プロフェッショナルな仕事を、ご体験ください。