センターパートをヘアアイロンで格上げする。基本操作とスタイルの作り方
カットしただけのセンターパートスタイルに、何か物足りなさを感じてはいないでしょうか。「サロン帰りのような、ツヤのあるまとまりが出ない」「毛先に、柔らかな動きをつけたい」。その悩み、一本の「ヘアアイロン」が解決してくれるかもしれません。
ヘアアイロンは、今や男性にとっても、ヘアスタイルを自在にコントロールし、その完成度を格段に引き上げるための必須ツールです。特に、湿気で髪がまとまりにくい夏の季節には、うねりや広がりを抑え、一日中クリーンなスタイルを保つための最も強力な武器となります。
この記事では、センターパートのスタイリングにおける、ヘアアイロンの基本的な使い方から、洗練されたスタイルを創り出すための応用テクニックまでを、詳しく解説していきます。
ヘアアイロンが可能にする、多彩な表情
ヘアアイロンの役割は、単に髪をまっすぐにするだけではありません。使い方一つで、様々な質感やシルエットを創り出すことができます。
・圧倒的なツヤとまとまりのある「ストレートスタイル」
熱を加えることで髪の表面のキューティクルが整い、驚くほどのツヤが生まれます。髪のパサつきを抑え、誰もが振り返るような、美しくまとまりのあるストレートヘアを演出できます。
・毛先に柔らかな動きをつける「Cカールスタイル」
毛先だけを内側に、あるいは外側に軽くカールさせることで、硬い印象の直毛に、柔らかな動きとニュアンスを加えることができます。これが、お洒落なセンターパートスタイルの基本となります。
・ぺたんとした髪を立ち上げる「根元のボリュームアップ」
髪が細く、トップにボリュームが出にくい方も、アイロンを使えば、根元を自然に、そして力強く立ち上げることが可能です。
・湿気による広がりやうねりを抑える「髪質コントロール」
熱の力で髪の内部の水分を整え、スタイリングすることで、湿度の高い日でも、うねりや広がりが出にくい状態をキープすることができます。
始める前に。アイロン選びと髪を守るための準備
まず、道具選びと、髪への配慮が重要です。メンズのセンターパートスタイルのような、比較的短い髪に使う場合、プレートの幅が15mmから24mm程度の、細めのヘアアイロンが、小回りが利いて扱いやすいためおすすめです。
そして、最も大切なのが、熱によるダメージから髪を守るための準備です。
・必ず「ヘアプロテクト剤」を使用する
アイロンを通す前の乾いた髪に、熱から髪を守るための専用のローションやスプレーを必ず使用してください。これが、未来の髪の健康を守るための、絶対に省略してはならないルールです。
・適切な「温度設定」を心がける
一般的な髪質であれば、160℃前後が目安です。髪が細い方や、ダメージが気になる方は140℃程度の低温から試し、決して180℃以上の高温で長時間使用するのは避けましょう。
Cカールで創る、基本のセンターパートスタイリング
ここでは、最も汎用性が高く、洗練された印象を与える「Cカール」の作り方を解説します。
・手順1:髪を完全に乾かし、ブラッシングする
アイロンは必ず、髪が完全に乾いた状態で使用します。濡れた髪に使うと、深刻なダメージの原因になります。
・手順2:髪を上下左右に分け、クリップで留める(ブロッキング)
スタイリングの質を上げるための重要な工程です。髪全体を一度にスタイリングしようとせず、上下、あるいは左右に分け、作業しない部分をヘアクリップなどで留めておきます。
・手順3:下の段の髪から、毛束を薄く取る
ブロッキングした下の段の髪から、厚さ1~2センチ程度の薄い毛束を取ります。
・手順4:根元から中間はまっすぐに、毛先で手首を返す
取った毛束の根元近くをアイロンで挟み、毛先に向かってまっすぐに滑らせます。そして、毛先まで来たら、アイロンを持つ手首を、内側に向かって「C」の字を描くように、くるっと半回転させます。
・手順5:トップの髪は、根元を少し持ち上げて熱を通す
トップの髪に熱を通す際は、毛束を真上、あるいは斜め上に少し持ち上げながらアイロンを通すと、根元に自然なボリュームが生まれます。
・手順6:前髪は、顔の外側に向かって斜め後ろに流す
最も重要な前髪部分は、アイロンを顔の外側、そして斜め後ろ方向へと流すように通します。これにより、顔周りがすっきりと見え、動きのある優雅な毛流れが完成します。
なぜ、サロンの仕上がりは自分で再現できないのか
セルフスタイリングに挑戦する中で、多くの人が「プロと同じようにやっているはずなのに、なぜかサロンのような仕上がりにならない」という壁にぶつかります。その理由は、非常にシンプルです。
ヘアアイロンは、あくまで「素晴らしい設計図(=ヘアカット)を、忠実に再現するための道具」だからです。
プロの理容師は、お客様がアイロンを使いやすいように、あらかじめカットの段階で、毛先の重さを取り除き、自然なCカールがつきやすいように「質感調整」をしています。また、髪が自然に後ろへと流れていくように、「毛流れ」を計算してカットしています。
つまり、あなたがアイロンを使って感じている「やりやすさ」や「仕上がりの美しさ」は、その土台となる、緻密に計算されたヘアカットによって、大きく左右されているのです。重たく、流れが計算されていない髪に、いくらアイロンを通しても、美しいカールや毛流れは生まれません。
まとめ
ヘアアイロンは、あなたのセンターパートスタイルを、間違いなく格上げしてくれる魔法の杖のようなツールです。正しい使い方をマスターすれば、日々のスタイリングはもっと楽しく、そして完成度の高いものになるでしょう。
しかし、その魔法の効果を最大限に引き出すためには、良質な「土台」が不可欠です。もし、あなたがご自身のスタイリングに限界を感じているのであれば、ぜひ一度、私たちプロにご相談ください。アイロンでのスタイリングが、もっと楽しくなるような、あなた史上最高の「設計図」を、私たちが責任を持って描かせていただきます。