センターパートを「クレイワックス」で。ドライな質感を作る、プロのスタイリング術
ツヤのあるウェットなスタイルもいいけれど、もっと自然で、ラフな雰囲気のセンターパートにしたい。そんな、気取らないのにおしゃれに見える「こなれ感」を求めるあなたに、最適なスタイリング剤が「クレイワックス」です。
その名の通り、粘土(クレイ)成分を含んだこのワックスは、他のスタイリング剤とは一線を画す、独特のマットな質感が魅力です。この記事では、クレイワックスの正しい使い方と、あなたのセンターパートを格上げするためのプロのテクニックを徹底解説します。
クレイワックスとは?他のワックスとの違い
まず、クレイワックスがどのような特徴を持つのか、正しく理解しておきましょう。
- 「クレイ=粘土」由来の成分
その名の通り、天然の粘土鉱物(カオリン、ベントナイトなど)が成分として配合されています。これが、他のワックスにはない、独特の質感を生み出す秘密です。
- 圧倒的な「マット感(ツヤなし)」
最大の特徴は、ツヤを徹底的に抑えた、ドライでマットな仕上がりになることです。まるで何もつけていないかのような、ごく自然な質感を演出します。
- 強い「セット力」と「キープ力」
粘土成分が髪の毛一本一本をコーティングするようにセットするため、非常に高いセット力とキープ力を誇ります。作ったスタイルを一日中、力強く維持します。
- 優れた「再整髪性」
ジェルやスプレーのように固まりすぎることがないため、スタイルが崩れても、手ぐしで何度でもスタイルを修正(再整髪)することが可能です。
どんな髪質の人におすすめ?
クレイワックスは、特に以下のような髪質の悩みを抱える方に、非常に有効なスタイリング剤です。
- 軟毛・細毛で、ボリュームが出ない方
油分が少なく軽い質感でありながら、髪にハリとコシを与えてくれるため、ぺたんこになりがちな髪を、根元からふんわりと立ち上げることができます。
- 髪の量が多く、湿気で広がりやすい方
クレイ成分が、湿気や髪の余分な油分を吸収してくれる効果があるため、髪の広がりを抑え、ドライな質感でタイトにまとめることができます。
- 直毛で、動きや束感が出にくい方
強いセット力で、動きの出にくい直毛にも、ラフで無造作な束感と、立体的な動きを与えることができます。
これが基本!クレイワックスの正しい使い方
クレイワックスの性能を最大限に引き出すには、正しい使い方が不可欠です。
- STEP1:髪を完全に乾かし、土台を作る
グリースなどのウェット系とは逆に、クレイワックスは基本的に、完全に乾いた髪に使用します。スタイリングの前に、ドライヤーで根元をしっかりと立ち上げ、スタイルの土台を作っておくことが重要です。
- STEP2:ごく少量を手に取り、徹底的に伸ばす(最重要工程)
量は、小豆一粒大から試しましょう。クレイワックスは硬めのテクスチャーのものが多いため、手のひら、そして指の間まで、ワックスが白く残らず、完全に透明になるまで、これでもかというくらい、体温で温めるようにしっかりと伸ばしてください。これが、失敗しないための最大のポイントです。
- STEP3:根元から、髪全体に揉み込むように馴染ませる
髪の表面から撫でつけるのはNGです。髪の内側から手を入れて、根元を立ち上げるように、髪全体をわしゃわしゃと揉み込むように、空気を含ませながら馴染ませていきます。
- STEP4:毛束をつまみ、シルエットを整える
全体にワックスが馴染んだら、指先で毛束をつまむようにして、束感と動きを作っていきます。最後に、全体のシルエット(ひし形を意識)を手で整えたら完成です。つけすぎない、やりすぎないのが、こなれ感を出すコツです。
なぜマットな質感はプロ、特に「理容師」にしか極められないのか
おしゃれなマットスタイルと、「ただパサついて手入れされていない髪」は、全くの別物です。その決定的な違いは、全ての土台となる「カット」にあります。
プロの理容師は、あなたがクレイワックスをつけた時に、自然な束感が生まれ、ドライな質感が最も美しく見えるように、毛量や毛先の状態を緻密に計算してカットします。
表面の長さを変えることなく、内側の毛量だけを的確に調整し、見た目にはない軽さと扱いやすさを生み出す。スタイリングの土台となる、根元の立ち上がりを、カットの段階で仕込んでおく。こうしたプロの技術があるからこそ、クレイワックスはその性能を120%発揮できるのです。
さらに、直毛で動きが出にくい、あるいは毎朝のセットが面倒、という方には、クレイワックスで仕上げることを前提とした、ドライな質感のパーマを提案することも可能です。
まとめ:計算された「無造作」を、あなたの武器に
クレイワックスは、あなたのセンターパートに、気取らない「こなれ感」と、洗練されたドライでマットな質感を加えるための、非常に強力な武器です。
しかし、その「計算された無造作」は、完璧にデザインされたカットという土台があってこそ、初めて本物の輝きを放ちます。最高の質感を求めるなら、ぜひ一度、メンズヘアの専門家である理容師に、あなたの髪を預けてみてはいかがでしょうか。